ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

【観戦休題】「#タワレイクはMAIちゃん激推し 」からCDショップの立ち位置を考える

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4月16日、ダークポップダンスアイドルユニット・クロスノエシスのイベントでイオンレイクタウンに足を運ぶ。

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イオンレイクタウンに初めて足を運んだが、複数の施設が連結して形成されるショッピングモールの規模感には驚かされた。

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中学時代の同級生が吉川市に住んでおり、近場にあるイオンレイクタウンの利便性を何度か聞いていたが、本当に何でもある印象。

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イベント会場は奥にあるレイクイオンモールmoriの広場に設けられたステージ。後述するが、普段はイベントを開催する場所ではないらしい。

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イベント前に、リリイベを実質誘致し、筆者をレイクタウンに引き寄せたタワーレコードイオンレイクタウン店(以下「タワレイク」と言う)を訪問。

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タワレイクは、実際にイオンレイクタウンをよく利用していたメンバーのMAIさん(筆者の推しメンでもある)を大フューチャー。

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他の推し店舗にもある映像&等身大ポップだけに留まらず、専用ハッシュタグ「#タワレイクはMAIちゃん激推し」を設け、陳列スペースもギッシリと猛アピール。

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最終的にはタワレイク独自の特典としてオリジナルポスターを制作。その全貌が明らかになった筆者の感想は下記のとおりである。

正直、衣装展示を行なっている渋谷店に負けない、全国ナンバーワンの熱量でクロノスのイベント誘致したタワレイク。そして、レイクタウンのイベント情報を調べるうちに、とんでもない事実に気づいてしまったのである。

同日、ほぼ同時間帯に瑛人さんの発売記念イベントやってる・・・。

後日、調べてみたところ、タワレイクで開催する発売記念イベントは通常「木の広場」で、クロノスのイベント会場となった噴水広場は開催実績が皆無だった(記録のレベルでは2014年以来8年ぶりの開催のようだ)。つまり、何気ないリリイベは、推し店舗の剛腕で実現した奇跡のイベントだったのである。(多分)

そうした推し店舗の努力で実現したイベントであるが、人通りの多いエリアで行われたミニライブは盛況だった。

CD購入者=優先エリアで観覧するファンだけではなく、足を止めて眺めるカップル、メンバーが歌い踊るステージを凝視する少女、珍しげに見つめる老夫婦等、久々にライブ鑑賞を通じて色々な人の目を感じた。

しばらく忘れていたリリースイベントの空気感がそこにはあった。熱心に見るファンの立ち位置が浮きがちで、普段だと恥ずかしく感じるものだが、今日に限っては悪くない気分だった。

地元でイベントを開催できたことに対するMAIさんの喜びの言葉、笑顔を見聞きすることができて本当に良かった。ありがとうタワレイク、タワレイクに栄光あれ。。。

◯ 配信・サブスク時代のCDショップ

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フィジカルから音楽配信、近年はYouTubeチャンネルや定額配信サービス(サブスク)が普及した現在、タワーレコードをはじめとするCDショップは難しい立場にあると思う。

今回、予約〜リリイベ期間で平時より多くタワレコに足を運ぶ機会があり、改めて各店舗のフロアを回る機会があったが、様々な客層がいることに気づかされる。

例えば、アーティストの衣装やパネルのような企画展示は非常に盛況だ。タワレイクの翌日に足を運んだ渋谷店では公演日と併せて足を運んだファンを中心に盛り上がりを見せていた。

また、店舗を挙げた大規模なものだけでなく、自分が好きなジャンル等の販売スペースに足を運んで写真を撮ったり、友達同士で盛り上がる光景をよく見かけるように、ショップ巡り=推し活の一環となっているようだ。

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その意味では、今年3月に足を運んだタワーレコード静岡店では、地元・静岡を活動拠点とするfishbowlの特設コーナーなんかも、地元ファンだけでなく筆者のような遠征民にとっては巡礼スポットとして嬉しい企画だ。

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このように、CDショップがファンとアーティストを繋ぐ役割を果たすという流れは今後も生存戦略として加速するしていくのではないか。タワレイクが見せた熱量を通じて、1つの可能性を感じたリリースイベントであった。

◯ 音楽を知る場としてのCDショップ

ここまで書いて、本記事を締めても良かったのであるが、同時に活況あるジャンルに力を入れることをCDショップの生存戦略として前面に押し出すことに危うさを感じている。やはり、CDショップは、書籍であれば本屋、映像作品であればレンタルビデオ店のように、単純に商品を購入するだけではなく、店内を回り、物色することで新たな作品との出会いや発見を与えてくれる場だと考えている。

たしかに、ウェブショップが発達し、近年では動画コンテンツでの紹介・レビューも増えていることで、リアル店舗の位置づけは不透明になっているが、個人的には店舗に足を運ぶことで、ふいに目に入ったり、手に取った商品が気になり、視聴して購入する契機を得る。必然ではなく、偶然がそこにあることをアピールしても良いのではないか。

丁度、リリイベ前の時間を利用して渋谷店7階のJAZZコーナーでじっくり視聴する機会があったので何枚も聞いて、気に入ったものを3枚ほど購入した。特にコーナー内で大きく取り上げていたKyoto Jazz Sextetの新譜は鳥肌が立つほど良かった。リリイベで同じCDを購入していた筆者が最終日に買ったCDはこれだった。

タワレコ渋谷店も長く足を運んでいるが、洋書を中心とする書籍コーナーは縮小し、クラシック・JAZZといったジャンル音楽のフロア統合化が進んだ。そうした状況を嘆くのは簡単なのだが、こうした売り場が持つ魅力をユーザーも含めて大切にしていくことも大事かもしれない。音楽との様々な出会いの場、学びの場を提供してくれる文化資本としてのCDショップは生きながらえてほしい。

そんなことを考えながら、リリースイベント週を駆け抜けた。

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【エクストリーム遠征記】明治安田生命J1リーグ:ジュビロ磐田-川崎フロンターレ「意地」

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4月6日、大きい荷物を抱えて会社に出勤。

年度末〜新年度の平日開催試合は、社会人観戦者にとって観戦ハードルが上がる。かく言う、筆者も新年度の庶務に追われていたが、強い気持ちで午後休を取得してエクストリーム遠征を組むことにした。

1.会社員からサポーターへ

当たり前だが、担当業務でトラブルが発生すれば、その時点で遠征終了である。万全の体制で臨んだが、会社を出るお昼時のアディショナルタイムまで気が抜けない。

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全くオススメしないが、業務を終えて会社を出た時の開放感はエクストリーム遠征ならではの経験と言えるだろう(汗)

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とはいえ、余裕のないエクストリーム遠征は、旅行というより出張の感覚に近い。スーツのままカバンを抱えて新幹線に乗車しても、仕事モードの頭は切り替わらない。

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そんなこんなで東京駅から掛川駅まで新幹線で移動。翌日の出社を見越して新幹線の停車駅を宿泊地とする。ホテルでスーツからユニホームに着替え、会社員からサポーターに変身。スタジアムに向かう。f:id:y141:20220408080738j:image

東海道本線掛川駅から御厨駅に移動。

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2020年3月に開業した新駅。駅周辺の工場に勤務する方々に加えて、公共交通機関ヤマハスタジアムに足を運ぶ観戦者にはありがたい。

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御厨駅からヤマハスタジアムまで徒歩約20分。色々と案内表示があるので等々力迷宮のような事態には陥らないはずだ(多分)

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ヤマハスタジアムは、静岡ブルーレブズのホームスタジアムでもある。今度はラグビー観戦でも足を運びたいところ。

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選手弾幕の中に、磐田で開花したラルフを発見。活躍は嬉しいけど「恩返し弾、俺は成長したぞ弾は勘弁な」が素直な気持ち。試合前から念を送る。

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ヤマハスタジアムは3年ぶりの訪問。前回訪問時は雨観戦だったので晴れて良かった。

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エクストリーム遠征は、対戦に向けた高揚感よりも、会社からスタジアムにたどり着いたことの安堵感のほうが先立ってしまう(汗)目的到着にほっと一息する筆者。

2.「意地」と「気迫」

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勝つために叫ぶ、ことはできないが拍手と念を送ることが出来る。

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ジュビレーション。数年前に足を運んだ水樹奈々の野外ライブを思い出した。川崎側も青色のペンライトを光らせてたので見事にスタジアムが水色に染まった(笑)

試合は、マルシーニョの突破を活かして川崎が攻め込む場面を作ったが、磐田さんもサイド突破を駆使して決定機を作る。両チームともにアグレッシブな攻防を展開したこともあり、当該サポとしてはゴールに持ち込めないもどかしさを感じるが、両チームの選手たち頑張りが伝わる内容だったと思う。

攻勢をかけながらも自陣のミスで先制点を許した川崎は、アディショナルタイムに同点に追いつくことができた。完全に負け試合の展開を意地を見せてくれた。ココで見せた反発力を次戦の柏戦(4/9)に活かしてほしい、そんな思いで選手たちを見送った。

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一方、結果的に失点に絡んでしまった三浦選手のことを気にせずにはいられなかった。好セーブを連発し、無失点に抑える働きをしていたのは背後で応援していた我々がよく知るところだ。ワンプレーの怖さであり、GKというポジションの過酷さを改めて実感した。しかし、三浦選手の凄いところは、そうした失点のショックを消化しきれていないなかでも、最後の川崎の攻撃を好セーブで跳ね返したことだ。

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次の対戦でも、再び我々の前に立ちふさがるであろう三浦選手。その雄姿を思い描きながらスタジアムを後にした。勝敗とは別軸に存在するエモーショナルな雰囲気が次戦に向けて気持ちを高めてくれた。無理して足を運んで本当に良かった。

3.絶対に(睡魔に)負けなれない通勤がここにある

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ホテルに戻れば、会社員モードに頭は切り替わる。エクストリーム遠征はココからが本番である(汗)

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普段では考えられない時間に就寝した結果、寝坊することなく予定どおり新幹線に乗車して東京駅へ。

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新幹線通勤、あるいは出張等の乗客が多いが、EX予約で割引利用して予約したグリーン車は閑散としていた。

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到着後、東京駅から素早く会社まで移動。大荷物をコインロッカーに預けて何事もなかったかのように出勤してエクストリーム遠征は完結。流石に眠かったが、何とか乗り切ることができた(会議等が無くて本当に良かった)

4.コロナ禍のエクストリーム遠征を終えて考えたこと

エクストリーム遠征は、応援することに対する自問自答の旅だ(カッコつけた表現)。年齢を重ね、コロナ禍の現在を生きる中で、ライフワークとして続けてきたスポーツ観戦のある生活が失われたとしても、それを受け入れられる自分に気づいた。

私見であるが、スポーツ観戦に問わず、今般のエンタメ全般における「客が戻ってこない」状況はライフサイクルの強制リセットの影響が大きいと考える。3年目を迎えた新しい生活様式の中で、人々の意識はコロナ禍前のライフサイクルを復元するのではなく、新たなサイクルの中での改善に向かっているのではないだろうか。

スポーツ観戦もDAZN等の配信コンテンツによるリモート応援が定着した結果、熱心なスタジアム観戦者が配信コンテンツによる在宅観戦を妥協点として、足を運ばなくなったというケースは少なからずあるだろう。

かく言う筆者も、平日開催でそうしたマインドがより強く働いたが、現地に足を運ぶ決断をした。自分を突き動かしたのは、若いころの「チームを勝たせる応援をする!」とか「応援に人生をかけている!」という気持ちの表れではない。

勝敗による浮き沈みはあるが、仕事の激務に潰されそうになったとしても、観戦のある日常を何とかして守りたいと考えていたからだ。

今の自分なら、仕事と試合観戦を天秤にかけたら間違いなく仕事を選択する。しかし、双方を選択肢に挙げられるように仕事と趣味を両立させたいとも考えている。それが、サポーターのまま学校を卒業して、社会人になった自分の意地でもある。そうした自分の気持ちを確認する遠征にもなった。

 

新しい季節、変わらぬ自分。力強く前進する。

 

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【観戦記】明治安田生命J1リーグ: 川崎フロンターレ-セレッソ大阪『愛と勇気』

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4月2日、数年ぶりに桜が咲く時期にホームゲームを運んだ気がする。桜を見ながら自転車でスタジアムに向かうのが楽しい。

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コロナ禍でなければ、等々力緑地も花見で賑わっていたであろう。

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寒暖の激しさには困るが、スタジアム観戦を通じて季節を感じられる瞬間が愛おしい。サッカー観戦がある日常はやめられない。

1. 「悔しいなあ」

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試合を終えて「悔しいなあ」という言葉が自然と頭に浮かんだ。チーム作りとしては例年以上に試行錯誤が続く時期でもあるので、結果が伴わないこともあると割り切っている。しかし、チームとして戦えていない状態は何よりも辛かった。

前半3得点を奪ったC大阪さんは、前線からボールを追いかけ、人につくタイトな守備を展開。川崎のチーム状態を踏まえると、やりづらい守備であったと思う。

左SBの佐々木選手は、保持したボールを奪われる機会自体は少なかったものの、対人守備に苦戦し、その後のパスを相手に献上してしまう機会が多く見られた。

隣に立つ谷口選手も、苦戦する佐々木選手にボールを預ける選択肢を失ってしまう。選択肢に制限をかければ、相手からボールの奪いどころが絞り込むことができる。セレッソさんが川崎のミスからチャンスを作り、得点に繋げたのは良い守備で川崎を追い込めたことが大きかったと考える。

また、川崎における中盤の機能不全は、構成を変更した後半を含めて悪い意味で印象に残った。各選手でミスが多かったのは、選手間の意思疎通が図れておらず、タイミング・ポジショニングでズレが散見された。チャナ・脇坂・橘田の三者がユニットとして機能できるように相手のプレースタイルを理解し、その上でボールを要求してほしいと思う。

2. 愛と勇気のストライカ

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攻勢に出た後半に得点を奪えず、さらに失点も重ねてしまった川崎。非常に苦しい状況の中でも果敢に攻守で状況を打開しようと走り回ったのは途中出場の悠様だった。限られた時間の中で高いモチベーションでピッチに向かってくれるだけでも頼もしいのだが、最後まで諦めない姿勢に胸が熱くなった。

昨季、チームの精神的支柱として選手たちを支えてくれた悠様。他方、彼ほどの実績がある選手をベンチに置き続けていることに対して、1選手として勝負できる環境に挑むほうが幸せなのではないか等も考えたことがあった。

マルシーニョのゴールをアシストしたヒールパスに至るまで流れは、これぞ小林悠といった見事な動き出しだった。クラブへの愛、ゴールに向かう勇気に救われた。ありがとう悠様、ありがとう愛と勇気のストライカー。

3. 「負け」を「負け」にとどめてはいけない

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「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」という言葉は、故・野村克也氏を通じて知った人も多いだろう(筆者含む)。メディアを通じても度々発言されているが、元々は評論家時代の1984年に執筆した著書『負けに不思議の負けなし』で紹介された言葉でもある。

この言葉について、野村氏自身は本書の中でこのような言葉を残している。

この言葉は上の句と下の句からなっているが、明らかに「下」に力点が置かれている。意識したことはなかったが、私の野球人生は「負け」からスタートしている。しかし「負け」を「負け」にとどめてはいけない。どう勝利に転化させるか常に考え続けたつもりだ。いささか抹香臭くなったが、勝負ごとはこれに尽きるような気がする。

次の試合への切替は大事だ。しかし、大切なことは、野村氏が述べたとおり、敗戦を次の勝利に転化させるか?だと思う。

3連覇に向けて選手・監督・チームが試練をどう乗り越えるかを見守り、その挑戦を応援していきたいと思う。

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【ぼんやり遠征記】『ドライブ・マイ・カー』とボールパークを巡る冒険

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3月20日、広島遠征2日目。早起きできたので遠征恒例の朝散歩へ。生活圏から離れたエリアの街を歩くのは好きだ。と言いつつ、バスを利用(汗)海沿いにある広島市環境局中区工場に足を運ぶ。

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(工場の中央通路=エコリアム。こうした作りは行政の見える化とも言える)

同工場は、アカデミー賞ノミネートでも話題となっている濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』に登場する。

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工場中央のエコリアム(中央通路)を利用することで広島湾に通り抜けできる(朝9時から自由に見学することができる)

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(エコリアムを抜けると広島湾を見渡すことができる)

映画の中で同工場が紹介される場面は、本作の舞台となる広島の街を語る内容ともなっており、鑑賞時から行きたいと思っていた。実際に足を運べたことに加えて、天気にも恵まれて気持ちの良い朝を過ごすことができた。早起きは三文の徳。

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(広島駅の駅ビル内にある店舗は朝10時から営業。和菓子も食べたかった)

ただし、満喫しすぎてホテルの朝食時間を逃してしまった。朝食は広島県内に展開する老舗チェーン店『ちから』で肉うどんを食す。

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和菓子、うどん、中華そばの三刀流。ローカルチェン飯の開拓も旅の新たな楽しみとして注目しており、リサーチに力を入れるようになってきた。何度足を運んでも、深堀できるから遠征は楽しい。

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昼頃から再び行動開始。駅前にある宿泊先のホテルから徒歩でMazda Zoom-Zoom スタジアム広島マツダスタジアム)に足を運ぶ。以前から足を運んでみたいスタジアムであり、オープン戦の開催時期と上手く重なったので念願の初訪問となった。

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(駅前からスタジアムまで約10分程度。徐々に見えてくるマツダスタジアム

広島駅前から赤いユニホームを着た人たちが群れとなり、スタジアムに向かう風景は独特だ。

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(歴史の1ページになる新井さん。地元メディアの活躍ぶりも凄かった)

広島の街の一部としてスタジアムが組み込まれていることを実感。駅までの導線と観客収容数のバランスを考えると絶妙の距離感といえる。

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(正式名称は実は「広島市民球場」だったりする)

2010年代におけるNPBボールパーク志向を加速させたのは、そうした思想を強く反映させたマツダスタジアム建設の影響は大きい。過去に筆者が足を運んだ楽天生命パーク宮城をはじめ、観戦エリアの拡張を目的とした各球場の魔改造マツダスタジアムの存在なしには語れないだろう。

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(コンコースの広さをはじめ、観戦者の移動等を考慮した設計が良かった)

しかしながら、実際に足を運んで感じたのは純粋に観戦環境としても優れた設計であることである。人の行き来を想定したコンコース、座席エリアの幅設定、グラウンドと観客席の距離感、座席の角度も非常に良く、集中して試合観戦することができた。

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(観戦エリアにもよるかもしれないが、筆者は観戦に集中できた空間だった)

ボールパーク志向は多様な観戦スタイルを提供する意味では素晴らしいことだが、メインディッシュは野球観戦であることを忘れてはならない。そうしたメリハリがしっかりしたスタジアムであることに好感を覚えた。

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(球場名物=うどんというのは定番だが、その元祖かもしれない)

お昼時に来たので昼食をスタジアムで食べることにした。人気は旧市民球場時代からの名物・カープうどん、そして広島県民が愛して止まない『むさし』の弁当だ。

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(おむすびが美味しい『むさし』の弁当。お酒のつまみにも丁度良い並びだ)

筆者も1時間半前くらいに来たのだが、明らかに地元ファン率の高いはずの客層に対して大行列ができていた。

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カープうどんを食す。2食連続だ)

つまり、ファンにとって球場に来たら食べるものとして広く定着している証拠とも言える。スタグルの原典=クラシックとも言える存在だ。『むさし』のうどんは食べそびれたので、次の遠征時は食べたいと思う。

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(両チームとも開幕モードに近い布陣で臨んだ)

試合は、王者奪還を目指すホークスと、鈴木誠也の移籍が確定して模索が続くカープの対戦。開幕前の最後の試合ということで、本番モードに近いオーダーで臨んでいた。

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(試合前に円陣を組むホークスナイン)

ホークスベンチのある3塁側で観戦していたが、ホークスナインのチームとしての一体感や集中力を随所に感じた。強さの源泉はこうしたところにあるのだろう。

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カープ先発・遠藤投手の投球練習に併せてタイミングを計るホークス野手陣)

オープン戦価格で確保した良席で彼らの表情なども見れたのも良い経験となった。

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(試合終了後、選手たちを迎えるホークスベンチ)

結果はホークス快勝で終わったものの、カープも良い粘りを見せていた。実際、猛打爆発でカープは連勝スタートしたから見当違いでは無かったと思う。第三者視点で見る野球は贔屓球団の試合よりも集中する傾向にあるのだが(汗)今年初の野球観戦は充実したものとなった。

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マツダスタジアム近くのローソンもカープ色に染まる)

広島の街、その街に根付くカープという球団のアイデンティティマツダスタジアムは色濃く反映している。スポーツファンとして、こうした自己主張の強い球場があることは素晴らしい事例だと思うと同時に、ファン視点では羨ましくも感じる。スポーツ興行を開催する競技場の多くは、利用者を抱える施設であることは理解しているが、可能な範囲でもっと自己主張してほしいと思う。

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(柳田選手はスイングだけでもカッコよすぎる)

観戦者として原点に回帰し、もっと現場を見て回ろうと思った2022年。良い刺激を受ける遠征となった。

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【ぼんやり遠征記】明治安田生命J1リーグ:サンフレッチェ広島-川崎フロンターレ『Memories』

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3月19日、今季初の遠征となる広島へ。

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(移動手段別で勝率が高い飛行機移動)

サポーターを自称する観戦者にとって、観戦は日常生活の一部に近い感覚を抱くと思うが、何年続けていようともアウェイ遠征が持つ非日常性は普遍的なものだ。

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(赤と紫、広島の誇り)
年度末の激務でヘロヘロな筆者にとって、ご褒美感が強い。いい歳した大人が遠足前日の子供のような心境になるのだから、この趣味を続けてきて本当に良かったと思う。

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アストラムラインの看板選手・藤井選手)

広島空港から高速バスでアストラムライン中筋駅に移動し、そこから広域公園前駅にアクセス。乗車中に顔と名前をしっかり覚えた藤井智也選手、数時間後の試合で驚異的な運動量で我々の脅威になるとは考えもしなかった(汗)

1. スタジアムが呼び起こす記憶

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エディオンスタジアム広島広島広域公園)は、移動距離に対して足を運んでいる回数が多いスタジアムである。エディスタに限らず、アウェイのスタジアムに足を運ぶと脳内の記憶装置が自動再生モードになるのだが、ココでは記憶に残る試合を何度も経験した。

8連敗を経験する等の苦闘が続いた中で何とかJ1残留を確定した2011年、試合後に見た鮮やな紅葉が今も忘れられない。

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(最後の夜行バス利用した2014年早朝)

佐藤寿人さんのスーパーゴール、強烈なフリーキックで心をへし折られた2014年をはじめ、森保監督時代は何度も現実を突きつけられた。

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(悠の2ゴールで勝利。望みを繋いだ勝利)

リーグ連覇のために絶対勝たなければならなかった大一番で逆転勝利を収めた2018年、残り試合に覚悟を決めた真夏の夜でもあった。

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新スタジアム建設は素晴らしいことであり、筆者の楽しみの1つでもあるが、アクセスが途切れることで過去の記憶に触れる機会が無くなるのは少し寂しくも感じる。スタジアムが見える坂道を登りながら、そんなことを考えていた。

2. ランバ・ラル現象

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当日昼入り+雨でバタバタしていたが、イベントスペースに足を運ぶ。サンチェくん生誕記念で販売された揚げもみじまんしゅうをゲット。10年ほど前にも宮島で食べたことがあるが皮のカリカリになった食感が良すぎる。

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また、運良くSPL∞ASHさんのミニライブも見ることができた。アイドルファンならば知る人ぞ知る名門・アクターズスクール広島の俊英たちが集うユニットである。

TOKYO IDOL FESTIVALで先輩メンバーたちのステージを初めて見たのが2016年頃なので、こうして活動が続いていることに歴史を感じる。短い中でも声量あるボーカル、身体の軸がブレないダンスの質が高さは短い時間の中でも強く感じた。この瞬間だけ戦いのことを忘れてアイドルヲタクになっていた気もする(サンチェたいそうを踊りながら)

3. 天気と転機

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旅行の荷造りで自分が大切にしているのは、旅行時のシチュエーションをイメージする

ことだ。特に天候関係は常に最悪のシチュエーションを考える。願わくば無駄になってほしいと思ったが、フル活用することになった。

さらに言えばエディスタは山の上にあるので、天候が変わりやすい。晴れ間が見えたかと思えば、また雨が強くなる。近年はゴル裏に行く機会が減った筆者にとっては、久々にハードな観戦となった。

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(希少となったドット絵表示。味がある)
川崎視点では試合内容も険しい展開となった。広島さんの運動量と連動性が非常に素晴らしく、守備に追われる。対戦相手として見れば厄介だが、ワンタッチやフリックを駆使したリズム感のあるパスワーク、個で剥がすテクニックが随所に見られる攻撃は第三者視点では面白い。00年代後半から10年代前半のペドロヴィッチ監督時代の香りが仄かに感じた。
耐える時間の続いた川崎だが、無失点で凌ぎ切ることができた。特に、日本代表にも選出された谷口の冷静な判断と要所の厳しさが光る。たしかに危ない場面も多かったが「最後は谷口と山村がいるから大丈夫」を心の支えにしながら応援していた。ありがとう、谷口君さんキャプテン。

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(カブポシェ持参してくれたサンチェくん)

経験上、こうした苦しい展開から勝利を狙うのであれば、相手の綻びを突くしかない。が、後半に入っても打開策を見出せなかった。若い選手が前線に据えた広島さんの運動量が維持できていたので圧力が弱まらなかったからだ。

川崎は、そうした状況を大島、知念の投入で巻き返す。相手の圧力が来ようともターンして前を向ける大島選手、鋼のフィジカルで相手にボールをキープする知念選手が曲面でポイントを作り、攻撃の機会を作る。雨が降る曇天の中に見せた晴れ間のようにピッチ上に光を見出した時間に先制点を奪えたことが大きかった。

先制点の場面、そこまでに至る流れが印象に残った。獲得したCK、普通ならば脇坂が蹴るのだが、大島が脇坂に手振りでアピールして蹴ることになった。久々に出場機会を得た彼の強い意志が伝わってきた。
思いが込められたようなキックは、良いコースを描きオウンゴールを誘った。普段はなかなか見せない力強いガッツポーズを見せた大島の姿に胸が熱くなった。

リードを奪った後も楽な展開ではなかったが、終盤に投入された遠野と悠の2人が攻守で身体を張ってくれた。最後まで諦めずに戦うことに関しては、勝ち試合に限らず徹底できているのは心強か感じる。

追加点の場面も遠野が必死に追いかけて繋いだことから生まれたものだ。遠野か追いついた一歩、山根が反応した一瞬、ワンプレーに対する執念がゴールに詰まっていた。

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(インタビュー後に挨拶に来た山根選手)

序盤戦からこうした部分を出せているのは相手からすれば嫌だろうし、苦闘の中でも勝利を積み上げられる理由だと思う。

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観戦者を含めてタフな試合だった。苦しい時間帯もピッチ上でタフに戦い、勝利を手繰り寄せた集中力を見せたイレブンの姿には応援する気持ちを一層強くしてくれた。

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(試合後、スタジアム前で見た虹)

エディオンスタジアム広島での記憶に刻まれた新たな1ページ、今回も忘れられないものになりそうだ。大切に胸にしまって川崎に戻りたいと思う。

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【観戦記】明治安田生命J1リーグ:川崎フロンターレ-名古屋グランパス『サポ新生活の春』

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3月12日、季節の移り変わりを意識する暖かい日となった。

選手・スタッフのような苦労は無いが、観戦者=自分もシーズン当初は観戦スタイルの試行錯誤を繰り返すのが春の恒例行事だ。試合観戦を長く続けているからこそ、自分自身の観戦環境に刺激を与える意識も強い。

1.二子玉川ライズから等々力までママチャリで行ってみた

急に思い立って、二子玉川経由で等々力まで自転車移動してみることにした。

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二子玉川ライズには、駐輪場が5か所もあることを今回初めて知る。丁度、この日は109シネマズ二子玉川で映画鑑賞してから向かう予定だったので、映画館の真下に位置する第5駐輪場を利用。3時間無料、そこから5時間ごとに100円と良心的な価格設定だ。

二子玉川から等々力に向かうルートは、川崎国際多摩川ラソンで走ったこともある多摩川沿いの道でもある。

自転車で走ってみると非常に気持ち良かった。若干道幅が狭いところ、工事中のエリアもあったものの、ゆっくり走れば特段問題無かった。普段と違う風景を見ながらスタジアムに向かうのは新鮮だった。夏になるまで、また何度か挑戦してみたいと思う。

2.ホームスタジアムでくつろぐ

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到着後は早めにスタジアムに入り、自席で昼食等を取ることにした。

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今季から着席観戦の新戦力としてクッションを持参するようになった。若干の携帯性は難はあるが、デスクワーク&リモートワークの続くお尻の負担減に繋がっている。

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また、THERMOS×FRONTALE 真空断熱ケータイマグに温かい紅茶を入れて持参するようになった。

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紅茶がイクミママのどうぶつドーナツと抜群の相性好みの茶葉を変えながら、しばらくトライアルを続けようと思う。

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持参物からスタジアムでの過ごし方に至るまで、自分なりの観戦スタイルを追及して色々と考えるのが楽しい。迷惑行為は言語道断であるが、自席に座ってのんびり過ごしたり、イベントを全力で楽しんだり、(最近は見かけなくなったが)学校の宿題をしたって良い(笑)キックオフ数時間前の自由な時間、雰囲気も愛おしく感じる。

3.「勝負強さ」の継承

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のんびり過ごした試合前とは一転して、試合は緊張感の漂う試合となった。川崎そうだが、長谷川健太監督を迎えた名古屋さんも新たな取組みを続けている。ただし、長谷川監督のチームらしく勇敢に戦う姿勢は非常によく伝わってきた。

印象に残ったのは、憲剛さんや大島君との名勝負を繰り広げてきたレオ・シルバ選手。今度は脇坂・橘田を相手にバチバチとした攻防を繰り広げているのはエモい。大ベテランの領域に入るが、判断と上手さは健在。稲垣選手とのダブルボランチはリーグ屈指のクオリティだろう。

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実力者が揃う名古屋さんに対して、川崎も良い時間帯、苦しい時間が双方あったが、前者の時間帯で得点を奪い、後者の時間帯を凌ぐことで勝利を手繰り寄せた。勝敗の際の部分で勝負強さを発揮できるのは、選手たちがタイトルマッチ、シーズンを左右する大勝負を経験してきたことは強い。

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こうした戦い方を、ソンリョン・谷口・悠・家長といったベテランだけでなく、遠野・橘田・佐々木といった若い選手たちが試合の当事者となることによってチーム内での継承が行われるものだと考える。

たしかに、現時点において、川崎には他を圧倒するような強さは無いと思う。しかし、相手とのちょっとした違いを積み上げることで、勝敗という大きな差を生み出せるような戦い方が出来ればと考えている。「ちょっとした差」とは、ワンプレーの判断、球際の攻防といった部分で、その重要性を理解する選手たちが良いプレーを継続することだ。我々が出来ることは、拍手・手拍子で彼らのプレーを後押しすること、労うこと、そして信じてあげることだと思う。

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春の暖かさは、どこか人々の気持ちを前向きにさせてくれる。課題もまだ多いフロンターレであるが、前向きな気持ちはキープしてシーズン序盤戦を追いかけていきたいと思う。

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【観戦記】明治安田生命J1リーグ:横浜F・マリノス-川崎フロンターレ『風の匂い』

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2月23日、日産スタジアム横浜F・マリノス戦を観戦。

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昨季の最終節から約2か月ぶりの再戦は4失点を喫した川崎が敗戦。

1.「春の祭典」の中で手にした物差し

老舗プロレス団体・全日本プロレスでは、毎年春に「春の祭典」として40年以上の歴史を誇る「チャンピオン・カーニバル」が開催されている。大会の趣向・顔ぶれは年によって若干変化はするものの、元々は創設者である故・ジャイアント馬場さんの世界のチャンピオンを集めて雌雄を決したい」という壮大なる夢を現実とした大会であり、普段は見れない魅力的な対戦、名勝負が多く実現してきた。

浦和、FC東京マリノス、鹿島と続く川崎フロンターレの今季序盤戦は、まさにチャンピオン・カーニバル級の対戦カードだと思う。超強気マジ卍であれば「JUST BRING IT!」と言いたいところだが、例年以上に試行錯誤が続く中での厳しい連戦は「勘弁してくれよ」という気持ちである。

― 敗戦を通じて「物差し」を手にする

web.gekisaka.jp

試合に対する感想は、家長選手の試合後のコメント「シンプルに相手が強かった」というコメントに尽きるだろう。90分間相手に圧倒されたわけではないが、失点した場面を含めて相手との間で「違い」の集積が全体的な質の差として生まれ、得点差として如実に表れたものであろう。アキさんのコメントの繰り返しとなるが、筆者もマリノスが強かったと思う。

しかし、2019年のような第33節ではなく、今季3試合目で喫した敗戦であることは大きな意味を持つ。敗戦と引き換えに、今季の超えるべき目標=物差しを手にすることができた。特に、鬼木監督は、様々な意味で、連覇を果たした20年・21年とは異なるチームを目指す。

y141.hatenablog.com

開幕戦の観戦記にも書いたが、鬼木フロンターレの骨格を感じさせる勝利の執着が手繰り寄せたものであったが、より強い個の力を有するマリノスのような相手に粉砕されてしまった。相手を上回る攻撃力を積み上げること、相手の攻勢を止める守備の強度を上げていくことが三連覇の条件になってくることが明確になったと思う。

2.ラボの中から垣間見る風の匂い

印象的な場面をピックアップし、ピッチ上で発生した現象、組合せを語ることはサンプリング収集としては重要なことだとは思うが、現時点の川崎の取組に関してはExperimentの要素が多い。起用の人選・組合せありきではなく、相手より攻守で上回るサッカーを展開するための組合せを模索してピッチに送り出している印象。

筆者の私見であるが、今季における鬼木監督のアプローチは風間前監督に少し似ていると思った。風間さんも、対戦相手をどうこう、理想とするサッカーではなく、選手の個性・特徴(=個人戦術)をどうすればピッチ上で表現できるのかを意識していた。風間さんの言葉を借りれば、現在のメンバーの中から「個の組織化」「個と個を繋ぐ」という作業を行っている段階だと思っている。

― 取組から感じる期待と課題

そうした視点で考えると、今ピッチ上で行われている取組は興味深い。例えば、チャナティップ選手を左IHに置いた2試合では、左のチェーンと連携してゴール前に迫る決定機を演出したり、真横にいる脇坂とのパス交換でもリズムを作った。ゼロックスの左WGのように、鋭い単騎突破が加入当初は期待されたところであるが、彼らしい創造性を上手く川崎イレブンの目線に合せるかたちで表現できている。

また、昨季の最終節で我々を驚かせた知念選手の左WG起用も徐々にかたちになりつつある。高さ・シュート・球際の各局面で強さを発揮できる彼を左に配置することでクロスに対して「点」で合わせる頭数を増やすこと、前線のポストプレー等で終盤のダミアンの負担を減らせることもできる。

ガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)のような特殊事例はともかく、WGのポジションイメージからすると異端にも見える取組だが、近年持ち味を発揮しきれなかった知念選手の武器が再び脅威になりつつある。

一方、こうした取組において連覇を引き寄せた攻守のインテンシティが足りない部分が指摘されると思う。コンディション的に強くいけないところ、慣れぬ場所で上手く機能しないところは散見されており、最終ラインの負担も大きくなっている。

4失点は、こうした守備陣の高負担の影響も否めないだろう。負けず嫌いであることは風間さんも鬼木監督も同じであるが、勝利のために隙を作らないことを考えるのが従前の鬼木監督だ。個の能力を活かしつつも、チームで戦うための水準を引き上げられるか。ベストミックスの模索は続く。

冒頭に触れたチャンピオン・カーニバルの話に戻すと、シングル戦の連戦が続く過酷な大会は、レスラー個人を大きく成長させる場でもある。筆者が観戦した大会で記憶にあるのは、2008年大会の優勝決定戦で諏訪魔(奇しくもご子息がマリノスユースOB)が新日本プロレスから参戦した棚橋を破って初優勝を果たし、レスラーとして一段階段を駆け上がった(現在も活躍中)

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手強い相手と戦い、勝敗を積み上げることが成長に繋げる。これまでの川崎も同じだ。頭がおかしいサポーターなので、敗戦から立ち上がり、強さを求めて次の試合に向かう今年の川崎が例年以上に面白いと考えている。そう考えているならば「次はもっと良くなるんじゃないか」「この選手はやれるかもしれない」と期待し続けることが自分の役割かもしれない。

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