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【観戦記】明治安田生命J1リーグ:横浜F・マリノス-川崎フロンターレ『風の匂い』

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2月23日、日産スタジアム横浜F・マリノス戦を観戦。

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昨季の最終節から約2か月ぶりの再戦は4失点を喫した川崎が敗戦。

1.「春の祭典」の中で手にした物差し

老舗プロレス団体・全日本プロレスでは、毎年春に「春の祭典」として40年以上の歴史を誇る「チャンピオン・カーニバル」が開催されている。大会の趣向・顔ぶれは年によって若干変化はするものの、元々は創設者である故・ジャイアント馬場さんの世界のチャンピオンを集めて雌雄を決したい」という壮大なる夢を現実とした大会であり、普段は見れない魅力的な対戦、名勝負が多く実現してきた。

浦和、FC東京マリノス、鹿島と続く川崎フロンターレの今季序盤戦は、まさにチャンピオン・カーニバル級の対戦カードだと思う。超強気マジ卍であれば「JUST BRING IT!」と言いたいところだが、例年以上に試行錯誤が続く中での厳しい連戦は「勘弁してくれよ」という気持ちである。

― 敗戦を通じて「物差し」を手にする

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試合に対する感想は、家長選手の試合後のコメント「シンプルに相手が強かった」というコメントに尽きるだろう。90分間相手に圧倒されたわけではないが、失点した場面を含めて相手との間で「違い」の集積が全体的な質の差として生まれ、得点差として如実に表れたものであろう。アキさんのコメントの繰り返しとなるが、筆者もマリノスが強かったと思う。

しかし、2019年のような第33節ではなく、今季3試合目で喫した敗戦であることは大きな意味を持つ。敗戦と引き換えに、今季の超えるべき目標=物差しを手にすることができた。特に、鬼木監督は、様々な意味で、連覇を果たした20年・21年とは異なるチームを目指す。

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開幕戦の観戦記にも書いたが、鬼木フロンターレの骨格を感じさせる勝利の執着が手繰り寄せたものであったが、より強い個の力を有するマリノスのような相手に粉砕されてしまった。相手を上回る攻撃力を積み上げること、相手の攻勢を止める守備の強度を上げていくことが三連覇の条件になってくることが明確になったと思う。

2.ラボの中から垣間見る風の匂い

印象的な場面をピックアップし、ピッチ上で発生した現象、組合せを語ることはサンプリング収集としては重要なことだとは思うが、現時点の川崎の取組に関してはExperimentの要素が多い。起用の人選・組合せありきではなく、相手より攻守で上回るサッカーを展開するための組合せを模索してピッチに送り出している印象。

筆者の私見であるが、今季における鬼木監督のアプローチは風間前監督に少し似ていると思った。風間さんも、対戦相手をどうこう、理想とするサッカーではなく、選手の個性・特徴(=個人戦術)をどうすればピッチ上で表現できるのかを意識していた。風間さんの言葉を借りれば、現在のメンバーの中から「個の組織化」「個と個を繋ぐ」という作業を行っている段階だと思っている。

― 取組から感じる期待と課題

そうした視点で考えると、今ピッチ上で行われている取組は興味深い。例えば、チャナティップ選手を左IHに置いた2試合では、左のチェーンと連携してゴール前に迫る決定機を演出したり、真横にいる脇坂とのパス交換でもリズムを作った。ゼロックスの左WGのように、鋭い単騎突破が加入当初は期待されたところであるが、彼らしい創造性を上手く川崎イレブンの目線に合せるかたちで表現できている。

また、昨季の最終節で我々を驚かせた知念選手の左WG起用も徐々にかたちになりつつある。高さ・シュート・球際の各局面で強さを発揮できる彼を左に配置することでクロスに対して「点」で合わせる頭数を増やすこと、前線のポストプレー等で終盤のダミアンの負担を減らせることもできる。

ガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)のような特殊事例はともかく、WGのポジションイメージからすると異端にも見える取組だが、近年持ち味を発揮しきれなかった知念選手の武器が再び脅威になりつつある。

一方、こうした取組において連覇を引き寄せた攻守のインテンシティが足りない部分が指摘されると思う。コンディション的に強くいけないところ、慣れぬ場所で上手く機能しないところは散見されており、最終ラインの負担も大きくなっている。

4失点は、こうした守備陣の高負担の影響も否めないだろう。負けず嫌いであることは風間さんも鬼木監督も同じであるが、勝利のために隙を作らないことを考えるのが従前の鬼木監督だ。個の能力を活かしつつも、チームで戦うための水準を引き上げられるか。ベストミックスの模索は続く。

冒頭に触れたチャンピオン・カーニバルの話に戻すと、シングル戦の連戦が続く過酷な大会は、レスラー個人を大きく成長させる場でもある。筆者が観戦した大会で記憶にあるのは、2008年大会の優勝決定戦で諏訪魔(奇しくもご子息がマリノスユースOB)が新日本プロレスから参戦した棚橋を破って初優勝を果たし、レスラーとして一段階段を駆け上がった(現在も活躍中)

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手強い相手と戦い、勝敗を積み上げることが成長に繋げる。これまでの川崎も同じだ。頭がおかしいサポーターなので、敗戦から立ち上がり、強さを求めて次の試合に向かう今年の川崎が例年以上に面白いと考えている。そう考えているならば「次はもっと良くなるんじゃないか」「この選手はやれるかもしれない」と期待し続けることが自分の役割かもしれない。

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