3月20日、広島遠征2日目。早起きできたので遠征恒例の朝散歩へ。生活圏から離れたエリアの街を歩くのは好きだ。と言いつつ、バスを利用(汗)海沿いにある広島市環境局中区工場に足を運ぶ。
(工場の中央通路=エコリアム。こうした作りは行政の見える化とも言える)
同工場は、アカデミー賞ノミネートでも話題となっている濱口竜介監督の映画『ドライブ・マイ・カー』に登場する。
工場中央のエコリアム(中央通路)を利用することで広島湾に通り抜けできる(朝9時から自由に見学することができる)
(エコリアムを抜けると広島湾を見渡すことができる)
映画の中で同工場が紹介される場面は、本作の舞台となる広島の街を語る内容ともなっており、鑑賞時から行きたいと思っていた。実際に足を運べたことに加えて、天気にも恵まれて気持ちの良い朝を過ごすことができた。早起きは三文の徳。
(広島駅の駅ビル内にある店舗は朝10時から営業。和菓子も食べたかった)
ただし、満喫しすぎてホテルの朝食時間を逃してしまった。朝食は広島県内に展開する老舗チェーン店『ちから』で肉うどんを食す。
和菓子、うどん、中華そばの三刀流。ローカルチェン飯の開拓も旅の新たな楽しみとして注目しており、リサーチに力を入れるようになってきた。何度足を運んでも、深堀できるから遠征は楽しい。
昼頃から再び行動開始。駅前にある宿泊先のホテルから徒歩でMazda Zoom-Zoom スタジアム広島(マツダスタジアム)に足を運ぶ。以前から足を運んでみたいスタジアムであり、オープン戦の開催時期と上手く重なったので念願の初訪問となった。
(駅前からスタジアムまで約10分程度。徐々に見えてくるマツダスタジアム)
広島駅前から赤いユニホームを着た人たちが群れとなり、スタジアムに向かう風景は独特だ。
(歴史の1ページになる新井さん。地元メディアの活躍ぶりも凄かった)
広島の街の一部としてスタジアムが組み込まれていることを実感。駅までの導線と観客収容数のバランスを考えると絶妙の距離感といえる。
(正式名称は実は「広島市民球場」だったりする)
2010年代におけるNPBのボールパーク志向を加速させたのは、そうした思想を強く反映させたマツダスタジアム建設の影響は大きい。過去に筆者が足を運んだ楽天生命パーク宮城をはじめ、観戦エリアの拡張を目的とした各球場の魔改造もマツダスタジアムの存在なしには語れないだろう。
(コンコースの広さをはじめ、観戦者の移動等を考慮した設計が良かった)
しかしながら、実際に足を運んで感じたのは純粋に観戦環境としても優れた設計であることである。人の行き来を想定したコンコース、座席エリアの幅設定、グラウンドと観客席の距離感、座席の角度も非常に良く、集中して試合観戦することができた。
(観戦エリアにもよるかもしれないが、筆者は観戦に集中できた空間だった)
ボールパーク志向は多様な観戦スタイルを提供する意味では素晴らしいことだが、メインディッシュは野球観戦であることを忘れてはならない。そうしたメリハリがしっかりしたスタジアムであることに好感を覚えた。
(球場名物=うどんというのは定番だが、その元祖かもしれない)
お昼時に来たので昼食をスタジアムで食べることにした。人気は旧市民球場時代からの名物・カープうどん、そして広島県民が愛して止まない『むさし』の弁当だ。
(おむすびが美味しい『むさし』の弁当。お酒のつまみにも丁度良い並びだ)
筆者も1時間半前くらいに来たのだが、明らかに地元ファン率の高いはずの客層に対して大行列ができていた。
(カープうどんを食す。2食連続だ)
つまり、ファンにとって球場に来たら食べるものとして広く定着している証拠とも言える。スタグルの原典=クラシックとも言える存在だ。『むさし』のうどんは食べそびれたので、次の遠征時は食べたいと思う。
(両チームとも開幕モードに近い布陣で臨んだ)
試合は、王者奪還を目指すホークスと、鈴木誠也の移籍が確定して模索が続くカープの対戦。開幕前の最後の試合ということで、本番モードに近いオーダーで臨んでいた。
(試合前に円陣を組むホークスナイン)
ホークスベンチのある3塁側で観戦していたが、ホークスナインのチームとしての一体感や集中力を随所に感じた。強さの源泉はこうしたところにあるのだろう。
(カープ先発・遠藤投手の投球練習に併せてタイミングを計るホークス野手陣)
オープン戦価格で確保した良席で彼らの表情なども見れたのも良い経験となった。
(試合終了後、選手たちを迎えるホークスベンチ)
結果はホークス快勝で終わったものの、カープも良い粘りを見せていた。実際、猛打爆発でカープは連勝スタートしたから見当違いでは無かったと思う。第三者視点で見る野球は贔屓球団の試合よりも集中する傾向にあるのだが(汗)今年初の野球観戦は充実したものとなった。
広島の街、その街に根付くカープという球団のアイデンティティをマツダスタジアムは色濃く反映している。スポーツファンとして、こうした自己主張の強い球場があることは素晴らしい事例だと思うと同時に、ファン視点では羨ましくも感じる。スポーツ興行を開催する競技場の多くは、利用者を抱える施設であることは理解しているが、可能な範囲でもっと自己主張してほしいと思う。
(柳田選手はスイングだけでもカッコよすぎる)
観戦者として原点に回帰し、もっと現場を見て回ろうと思った2022年。良い刺激を受ける遠征となった。