ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

【遠征記・後編】天皇杯:川崎フロンターレ-高知ユナイテッドSC『サポーター休暇県』

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高知遠征の遠征記(後編)は、試合翌日からの観光と、試合後の反応等について書いていきたいと思う。

1.激闘の余熱

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地元新聞では、地元チームの試合を取り上げるケースが多いことから積極的に購入するようにしている。ウェブ記事でも試合の様子を取り上げていた高知新聞の朝刊を購入したところ、1面記事をはじめ、試合の模様を大々的に取り上げられたことに驚いた。

www.kochinews.co.jp

地域における注目度の高さはスタジアムでも実感したところだが、試合内容も相まって非常に熱量に高く、地元の人々の声を集めた記事も非常に良かった。スポーツ観戦者として、地域におけるプロスポーツの存在価値・立ち位置を考えてきた立場とすれば、こうした事象に立ち会えて本当に良かったと思う。

2.モーニング文化圏・高知

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素泊まりのため、朝食を求めて早くから宿泊先を出る。理由は、高知県モーニング娘。'23、ではなく「モーニング文化圏」ということを耳にしたからだ。発展した背景は諸説あるようだが、滞在中に市内の喫茶店で多彩なモーニングメニューが展開されているのは確かだ。

筆者は、ひろめ市場の近くにあるメフィストフェレスさんに足を運んだ。2階にはシアターを有しており土日には映画上映企画も開催しているらしい。

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古き良き喫茶店の雰囲気が素敵で朝から多くの人が足を運び、パンやコーヒーを片手に朝のゆったりとした時間を過ごしていた。2日目に食した少し豪華な「ボリュームモーニング」は2種類のパンとコーヒーが抜群の美味さ。思わず、目を丸くしてしまった。攻守の要がしっかりしてるのにポテサラ埋蔵のサラダ、程よい柔らかさのゆで卵、甘さ控えめのデザートとタレント揃いだった。

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なお、翌日は朝9時から注文可能な「スープモーニング」を食す。ゴロゴロと具材の入ったスープがパンと一緒に食べるには丁度いいアシスト役を担っていた。

3.MY遊バスで桂浜へ

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朝のエナジーチャージを終えて観光へ。来高前のリサーチ等を踏まえ、下記のザックリした計画を立てる。

8月3日:桂浜周辺+牧野植物園

8月4日:高知城

夏場の暑さで消耗する体力との相談であり、脳内会議で自己調節可能なのは一人旅の利点だろう。高知市内とはいえ、3日の移動距離はそこそこあるのだが、この移動を実現したのが高知市内の観光スポットを回る周遊バス「MY遊バス」の存在である。

MY遊バス|高知県観光情報Webサイト「こうち旅ネット」

朝8時から約1時間おきに走るMY遊バス(平日9便、休日は12便)は走る周遊バス。

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同バスの乗車券は1日乗り放題で途中下車を繰り返し、何度も利用することが出来る。さらに、乗車券の提示で①市内を走る路面電車も乗り放題、②通常路線バスを往復1回無料、③観光スポットの割引特典も付与されている。便利度が半端ない。

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筆者は、はりやま橋観光バスターミナルで乗車券を購入してバスに乗車。案内をしてくれたバス会社の人に声をかけられ、待ち時間を利用して前日の試合の話をする。新聞に加えて地元ニュースにも取り上げられていたことから、普段サッカーを見ない人にも来高している川崎サポの存在が認知されているようだ。

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バスで約30分ほどで桂浜に到着。高知に来たら見ておきたいと思った坂本龍馬像、そして桂浜周辺を散策。

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直前の天気予報では『曇時々雨』を予想であったが、普通に晴れていた。暑さによる気温の上昇等は脅威であるが、所謂夏っぽい風景を堪能できた。

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早い時間に来ることができたので桂浜水族館に足を運ぶ。ココで前日取得していた【龍馬パスポート】の出番となる。

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龍馬パスポートは、観光スポットの割引特典に加えて来場スタンプを押印する。宿泊や指定場所の買物等でもスタンプは付与され、一定数を集めるとパスポートはクラスチェンジすることができる。お得な特典とスタンプラリー要素が合わさった面白い企画である。

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メディア等でも度々取り上げられる桂浜水族館であるが、種類の豊富さと「中の人」のこだわりを感じる面白い展示・解説が特徴であった。

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筆者が暮らす川崎にも、2020年7月にカワスイ(川崎水族館)がオープンしたところであるが、巨大な水槽等はなく、コンセプト等を押し出した展示スタイルは共通する部分がある。

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こうした愛着がわく距離間の設計は素敵で、至る所にちりばめられた笑いを誘うセンスも抜群だった。

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次は、高知県立坂本龍馬記念館を訪問。船の形状をした設計がカッコ良すぎる。

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常設展では、坂本龍馬とジョン万次郎の足跡と、幕末の土佐藩に関する展示が行われている。展示物はコンパクトであったが、龍馬が動いた背景としての土佐藩の事情等を多角的に学ぶことができる。資料を通じた学習としては非常にわかりやすいと感じた。

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また、特別展『花と歴史の爛漫土佐』では、先刻足を運んだ坂本龍馬像建設の歴史が紹介されていたが、興味深いエピソードだった。彼と同時代を生きた人々ではなく、坂本龍馬を敬愛する若者たちが発起人となって建設に奔走し、募金活動等を通じて実現したものらしい。

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そして、川崎サポとして思い出されるのはジュニーニョ像の話で(以下略)

4.無限に広がる大自然、牧野植物園

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お昼過ぎまでに桂浜周辺の散策を終了。時間と体力に余裕があったので、桂浜⇒高知駅のバスを途中下車し、高知県立牧野植物園に足を運ぶ。

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自然散策という軽い気持ちで訪れたが、この日一番のインパクトを受けた。まず、広大な敷地に広がる大自然の存在に圧倒された。

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できる限りのエリアを見てきたつもりだが、多分見れていないところも多いだろう。本気で見て回るなら1日中楽しめる場所だと思う。

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また、職員の方々によって行われた行き届いた手入れで実現した美しい木々や花々の展示状況である。空調服を着て細かな手入れを行う職員の姿をお見かけしたが、こうした地道な取り組みがあって美しい空間が維持できていることがよくわかる。

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植物園内にある温室がまた素敵だった。

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筆者も好きだった井の頭自然文化公園の「熱帯鳥温室」もそうだし、『天空の城ラピュタ』に登場する温室化したラピュタ城内を思い出したりもした。

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南国から更に南下して南半球に来たような雰囲気になる空間の心地よさ。

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企画コーナー等の来場者への見せ方も上手く、回っている間は胸のトキメキが止まらなかった。足を運んで本当に良かった。

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牧野植物園は牧野博士の功績を顕彰するだけではなく、保全活動、研究施設や教育普及活動等の拠点として多義的な役割を持っている。

たしかに、本年は牧野博士がドラマのテーマに取り上げたことで注目が集まっているが、博士の名前を冠した植物園は何十年もかけて設備投資を続けられて現在の姿にある。

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先述の井の頭公園の温室もそうだが、首都圏にある文化施設が老朽化を理由に閉鎖・閉館されている現状を踏まえると、こうした施設の足並みには考えさせられた。

5. ひろめ市場で食を堪能

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牧野植物園からMY遊バスで高知駅まで戻る。宿泊地で着替え等を済ませ、ひろめ市場に足を運ぶ。

筆者は、この日と翌日昼に2度足を運んだが、アクセスの良さに加えて、市場の形態をした観光施設ということで、観光客に加えて地元の方々の飲み会が行われていたことから、ハイブリッドな状態も実現していた。

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鰹を塩で食す。美味い、美味すぎる。無限に食えるし、お酒も進んでしまう。

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翌日は鰹以外を色々と食べようと思っていたが、別の店舗でシオたたき定食で食す。ご飯が無限に進める。

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他にも、高知の郷土料理としてイタドリの炒めものを食す。クキに近い歯ごたえであったが、好きな味だった。

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こうした食のスポットは、欲を言えば複数回は足を運びたい。そういう意味では、今回の旅程も上手く配分できたと思う。

6.城ロマンを求めて2023

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3日目は、高知城に足を運ぶ。やはり、Jリーグ遠征と言えば城だ(個人の感想です)

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高知城は修復工事が行わているものの、石垣・建物は残されたものをベースとしていることから、昔の雰囲気を感じられる城だ。

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石垣が好きな筆者的には雨の多い土地柄を踏まえた「野面積み」の石垣に惚れ惚れする。江戸時代に建てられただけに、当時の築城技術を総結集した建築ということで、派手さとは異なる美しさがそこにあった。

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城を堪能した後、城下にある高知県高知城博物館を鑑賞。江戸時代に土佐藩を治めた山内氏にまつわる展示を見ることができる。

近世の土佐藩における財政事情等、イラスト・図を多く用いた解説はわかりやすく江戸から離れた四国の藩の苦労について理解が深まった。

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子ども向けにわかりやすい展示コーナーを設けるなど、イイ意味でポップさも感じた。博物館公式キャラクターがまたカワイイ。

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鑑賞後、博物館の中にある珈琲館イストワールで飲んだ「仁淀の清流ブルークリームソーダ」がビジュ、味ともに最高。熱った身体に涼をもたらしてくれた。

7. おわりに:観光立県の実力を体感して

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市内を徒歩で移動していたところ「国民休暇県・高知」という名称を目にした。後日、調べたところ1980年代に県知事に就任した中内力氏が掲げた観光客誘致と地元の活性化のために掲げた構想の名称の名残だったようだ。

あったか高知観光条例について | 高知県庁ホームページ

県政の具体的施策を調べることはできなかったが、平成16年(2004年)には観光立県を目指すための基本理念その他観光の振興に関し必要な事項を定める「あったか高知観光条例」が成立・施行した。今でこそ、インバウンドを中心とした観光産業を地域経済の起爆剤として注目されているが、高知県は早い時期か地域に根差した施策を展開したことが垣間見ることができるだろう。

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高知市内を中心に散策しただけでも充実度であったが、県内の各地域には観光スポットが多数ある。そう考えると、試合観戦を兼ねたアウェイツーリズムを楽しむ層が一定規模いるJリーグサポーターにとって魅力的な場所だと思う。

たしかに、1試合単位で足を運ぶ県外のサッカーファンは数百人程度かもしれないが、県外からの訪問者が1年間を通じて続くことはプラスに判断できる材料だと思う。行動力、リサーチ力、そして情報発信力も逞しい層もいれば、ゆったりとした遠征を楽しみにするシニア層も一定数いることを考えれば、高知県の観光資源とJリーグサポーターの相性は良いと考える。

高知ユナイテッドSCのホームゲームを入口として、幅広い客層が来高するキッカケを作ることができるのではないだろうか。地域を背負うクラブとの対戦と、地域の魅力を堪能できる「サポーター休暇県」としての可能性を、地域内に広く発信してほしいと思う。

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試合結果を抜きにしても、とても充実した2泊3日の遠征だった。お店や街中で温かな声をかけてくださった高知の方々にも改めて感謝の言葉を述べたい。川崎の試合を関係無くとも、また高知に遊びに行きたいと思う。

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そして、この地にサッカー熱が膨張することを願っています。

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