ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:森達也『悪役レスラーは笑う』


悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷 (岩波新書 新赤版 (982))


■本書は
戦後直後の日本人に希望を与えた、街頭テレビのプロレス中継。
そんな日本のプロレス創世記に日米で嫌われ続けたレスラーがいた。
その名は「グレート東郷」、そんな彼にスポットを当ててみると…。


■読み終わって
プロレス関連本は多く出ているが、その多くは暴露本などの類だ。
元々、噂や逸話がリング内外で飛び交う業界であるから仕方ないが。
本書の中心人物たるグレート東郷も、そういった裏話に絶えない人物。


いわゆる彼は米マットで「ジャップ」のヒールとして活躍した。
アメリカ人だけでなく、日系社会や彼を知る日本人レスラーにも嫌われた。
だが、そんな彼にに非常によく接していたのが力道山だった。何故なのか?
それや彼の出生を巡って影を追う著者は、なかなか手広い取材をしている。


普通に読み物としては面白いが「ナショナリズム」との絡みでは疑問が。
手広くやった反面、話の統一性に欠けてしまう感じがした、そこが少し残念。