今週末(2月23日)から明治安田Jリーグが開幕する。筆者が応援する川崎フロンターレは、本記事を執筆している段階で公式戦3試合を終えて既に【喜怒哀楽】を一周()した状態だが、リーグ戦の開幕は特別な感情が湧いてくる。
ということで、本記事は開幕に向けた遠征小ネタとして、一昨年から取組んでいた「地域にあるミニシアターを巡る自主企画」の記録をまとめてみた。
はじめに:きっかけは「ミニシアター・エイド」
本題に入る前に、筆者が各地にあるミニシアターに足を運ぶようになった経緯について説明できればと思う。きっかけとなったのは、コロナ禍で苦境に陥っていたミニシアターを救うために映画監督の深田晃司・濱口竜介両氏が発起人となって有志で立ち上げたプロジェクト『ミニシアター・エイド』の存在である。
新型コロナウイルスの感染拡大前から都内のミニシアターには足を運んでいたが、全国各地に様々な映画館があること、そこで働く人々が映画文化や地域にある映画館に対して様々な思いを持っていることを、企画への賛同を通じて知ることができた。
今回の遠征読書📘『そして映画館はつづく あの劇場で見た映画はなぜわすれられないのだろう』読了。コロナ禍で大きな影響を受けたミニシアター関係者と映画関係者からの声を集めた本。上映プログラムや映画館について様々な意見が寄せられており、鑑賞者視点でも非常に興味深い内容でした。 pic.twitter.com/mWfveruMEt
— グラッデン (@yoshi141) March 21, 2022
また、同プロジェクト関連書籍である『そして映画館はつづく あの劇場で見た映画はなぜわすれられないのだろう』(フィルムアート社)において、ミニシアターに携わる人たちの映画・劇場に対する思いにも触れ、機会があれば全国各地にあるミニシアターに足を運んでみたいという気持ちが強くなった。
地域に根付く映画館=ミニシアターを巡る自主企画を始めたいと思う。今回は銀座の街中にあるシネスイッチ銀座さんを訪問。今回鑑賞した『ベルイマン島にて』もそうですがココでしか見れない作品が確実にある。こうした公開作品のこだわりが素敵。スタッフさんの親切な対応も嬉しい。 https://t.co/aGSibfEMnf pic.twitter.com/odHDqc5OXd
— グラッデン (@yoshi141) May 3, 2022
こうした思いもあって、2022年5月に「地域に根付く映画館=ミニシアターを巡る自主企画」を開始。生活・通勤圏である東京・神奈川に加えて、試合観戦・ライブ鑑賞で訪れた地域にあるミニシアターを訪れるようになった。本記事は、これまで訪れたミニシアターの中でも印象に残ったでも印象に残った場所を紹介したい。
1.刈谷日劇(愛知県刈谷市)の『アルピニスト』
2022年10月、ハロプロのコンサートで遠征した時に、鑑賞する公演まで時間が出来たので、名鉄三河線「刈谷市駅」駅前にある刈谷日劇さんに足を運んだ。
遠征前に読んでいた『週刊文春 CINEMA!』2022年秋号で紹介されて知ったのだが、この年の夏に鑑賞できなかった映画『アルピニスト』をかけていることを知った。
半世紀以上も居を構えるビル、スクリーンに劇場が積み上げてきた歴史を感じずにはいられない。そこに文化発信の拠点としての矜持も感じる。映画の街として名を馳せた時代の有楽町、そのシンボルたる「日劇」の響きがまた良い。是非再訪したい。
2.静岡シネ・ギャラリー(静岡県静岡市)の『ドリーム・ホース』
2023年1月、対バンライブで足を運んだ静岡にある静岡シネ・ギャラリーに足を運んだ。
お城のような外観のサールナートホールに居を構える静岡シネ・ギャラリーは、ラインナップの充実度に加えて、情報満載のオリジナルのリーフレットや、独自の映画関連イベントも定期的に開催している。
この日は、いち早く見たいと思っていた『ドリーム・ホース』を大きなスクリーンで見ることができた。昨年観た映画でもマイベスト10に入れた作品なだけに、見逃さずに鑑賞することができて良かったと思う。
余談であるが、静岡駅周辺のエリアは新静岡セノパ内にあるシネコン、静岡東宝会館(同劇場ではソフィア・コッポラ監督『ビガイルド 欲望のめざめ』を鑑賞したことがある)もあるので大作からアート系作品まで網羅できる。
3.出町座(京都府京都市)の『ベネデッタ』
2023年5月、京都戦で足を運んだ京都市内に3泊ほど滞在した。GWの京都、言わずもがな大混雑であるので、鴨川沿いをジョギングしたり、銭湯・サウナに行ったり、地元のミニシアターに足を運んだりして過ごしていた。
一昨年を含めて、京都市内にあるミニシアターを3か所を訪問したが、アニメ『たまこまーけっと』の舞台でもある出町桝形商店街にある出町座が印象深い。
商店街の中にある出町座は、1階がカフェ&書店、2階が映画館のスクリーンがある建物だ。地元にも人気スポットなため、次回訪問時はカフェも利用したいところ。
劇場の訪問時、見たい映画が積みあがっていたのだが、主演女優の方が劇場にフラッと足を運ばれたという『ベネデッタ』を鑑賞。流石は鬼才・ポール・ヴァーホーベン監督、あまりに刺激的すぎて言葉にならなった。
鑑賞後、近くの古本屋で立ち読み&購入、和菓子屋で柏餅を買って宿泊先に戻る流れも含めてLOVE商店街な連休の思い出であった。
4.パルシネマしんこうえん(兵庫県神戸市)の『仕立て屋の恋』
2023年7月、ノエスタで神戸戦を観戦した翌日に大阪でハロプロのコンサートを鑑賞する予定だったが、公演まで時間があったので神戸市内のパルシネマしんこうえんに足を運ぶ。
湊川公園の真下にある独特の立地であるが、誰かの秘密基地に入っていく感覚が胸躍る。名画座上映の劇場ということもあり、強いこだわりを感じる上映ラインナップに関係者の映画愛が伝わってくる。
鑑賞した作品は、向かいに住む女性の部屋をのぞき見する拗れた中年男性の恋心を描いた『仕立て屋の恋』であった。数時間後、アイドルのコンサート鑑賞を控えていた筆者には様々な意味で刺さる作品だった....
おわりに:映画の記憶=映画館の思い出
「遠征先でどこでも見れる映画を見に行く必要があるのか?」と聞かれたら、ちゃんとした答えは思いつかない。
結局、スタジアムでスポーツ観戦することと同じくらい、映画館で映画鑑賞することが大好きなので、色々な場所で色々な映画を見る機会を作りたいというのが自分なりの回答である。
子供の頃に見た映画の記憶は、その時に鑑賞した映画館の記憶でもあった。ミニシアター巡りは、自分の映画鑑賞の原体験を思い起こしてくれる。
また、機会を見て遠征先で足を運んだ夢の劇場を報告できればと思う。