ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

アニメバンプ論・特別編:『パプリカ』


(公開前から印象に残ったパプリカの表情)


筒井康隆×今敏=?
物語は、先端技術で作られたサイコセラピー装置による精神治療から始まる。
その装置とは患者の夢の中に入り込んで、相手の夢から治療を施すモノだった。
そんな画期的な装置“DCミニ”が何者かに盗まれたことから、事態は一変する…。


筒井氏の同名原作を『千年女優』などでお馴染みの今敏監督が映画化。
同監督作品には欠かせぬマッドハウス平沢進といった万全のスタッフに
“夢探偵”パプリカ役の林原めぐみさんなど、豪華キャストが集結した感じ。


映像は非常に綺麗、今年見に行ったアニメ映画でもトップのクオリティだ。
当方は普段から背景描写に目を運ばせるが、あまりの細かさに驚いてしまった。
キャラクターの動きも多彩かつ躍動感に溢れ、本当に良く動いていたと思った。


内容としては筋が通っていて、流れでしっかり内容が理解できる作り。
また、物語が進んでいくうちに現実と虚像の違いが曖昧になっていったり、
ここぞのときに平沢音楽が盛り上げたり、コスプレみたく姿が変わったり。
最近よく使う言葉だが“らしさ”は良く出ていたのではないかと私は考える。


そういえば、林原さんの新しい役柄を久々に拝聴、パプリカは天真爛漫な女性。
一方で現実世界の千葉敦子は落ち着いた大人の女性、2役を上手く使い分けた。
ムニャムニャな声を聞き「ああ、お母さんなんだよな」と感じる私もいたりする。
さらに江守徹大塚明夫・山ちゃんはズルイ、各キャラが本当にいい味出してた。


私的には割とベタ褒めな感じだが、全体的な安定感があるのは確かだ。
自分がイメージする今敏の世界観・作品像をしっかり表現した、そんな作品。
そうした意味で、同監督作品を見てる人にはインパクトが少ないかもしれない。


あっ、筒井さんは出演なさっていますよ。