ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦休題:川崎ブレイブサンダース「EXCITING BASKET PARK」計画に関する考察

この記事は 川崎ブレイブサンダース Advent Calendar 2018 - Adventarの第5日目に寄稿するものです。第4日目は増田林太郎さんによる「川崎ブレイブサンダースのオフェンス不調とそこからの復調を可視化する - データで観るBリーグ」でした。

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はじめに:開幕節で感じた「赤い衝撃

創設3年目を迎えたBリーグ。テレビで見た代々木の開幕戦の熱狂に誘われてバスケ観戦デビューした筆者ですが、バスケ会場が生み出す独特の雰囲気・リズムに慣れてきたと思いました。

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しかし、今季の観戦初戦となる川崎ブレイブサンダースのホーム開幕節では、初観戦に匹敵するほどの大きな衝撃を受けました。その理由は、とどろきアリーナが「似て非なる空間」へと変貌を遂げようとしていたからです。

本記事では、DeNAに運営体制を移行した新生・川崎ブレイブサンダースが掲げる“EXCITING BASKET PARK”計画に関する考察を重ねていきたいと考えております。

1.“EXCITING BASKET PARK”計画とは何か?

7月1日、川崎ブレイブサンダースの運営会社は東芝ビジネス&ライフサービス株式会社(略称TBLS)から株式会社DeNAバスケットボールに変更しました。

昨年12月に発表されたスケジュール通りではありましたが、DeNA側の情報発信が限られていたこともあり、どのようなかたちにクラブが変化するのか?は大きな関心事となりました。

DeNA体制が打ち出した「継承」と「革新」

7月4日、新運営会社による「事業戦略説明会」が開催され、新生・川崎ブレイブサンダースの概要が明らかになりました。東芝色の強いチーム名・カラーの存続、主力選手とスタッフの契約更新が伝えられたことは、ファンも安堵したのではないでしょうか。

こうした決断には、新ロゴにある「since 1950」の文字、クラブ側が制作したヒストリーVTR、あるいは会場に掲げられた東芝時代の優勝幕にも表れているように、東芝バスケ部時代からの歴史を継承するという姿勢を打ち出したものと考えることができます。

一方、コート内の部分は「継承」の姿勢を示したのに対し、コート外の部分では大きな「革新」を打ち出しました。それが、今回のテーマである“EXCITING BASKET PARK”というビジョンです。

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日常では味わえない興奮と感動を共有できる空間を作り出す取組の推進を掲げた同計画は、四面ビジョンの導入等によるアリーナ内の新たな演出、場外エリアにあるサンダーススクエアの充実化など、昨季までのスタイルを大幅に刷新し、新体制のカラーを全面に押し出したものとなりました。

- お披露目となった「Season Opening Games」

壮大なビジョンを掲げた新体制が迎えたホーム開幕節「Season Opening Games」は、力を入れたモノとなりました。

こうした取組は、後述するベイスターズのメソッド*1を踏まえたものであると推察できますが、やはり多くの人に“EXCITING BASKET PARK”を体感してほしいというのが大きな目的だったと思います。

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NPBではお馴染みとなったユニホーム配布、最大規模の会場設計で開催したのも、今回のプロモを機に初めて足を運んだ新規層はもちろん、今までのサンダースファミリーにも新体制の取組を知ってもらい、改めてファンとしての支持を獲得するために重要な位置づけだったからだと考えています。

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本記事の冒頭で筆者が触れた衝撃とは、まさに新体制側の開幕節にかける意気込みが強く感じたからでもあります。

2.DeNA体制を支えるベイスターズメソッド

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熱量の高さが際立った開幕節の取組については、後述する課題もあったものの、お披露目公演として考えれば恐るべき完成度でした。どれくらい驚いたかと言えば、欅坂46のファーストライブで平手友梨奈が放った圧倒的存在感を体感した時くらいの衝撃でした(わかりづらい)。

なぜ、新たな運営会社が高いレベルの興行運営が出来ていたのかといえば、横浜DeNAベイスターズでの経験値を還元することができる点は大きいと思います。

体制移行前の5月にスポナビに掲載された元沢社長のインタビューでは「ベイスターズのやり方を100パーセントそのままやったら、100パーセント失敗します」と述べたように、野球とバスケが地続きではないことを強調しています。そして、実際に開幕して見た印象を踏まえると、野球で得たノウハウの「イイとこ取り」を狙っている印象は受けました。

NPBボールパーク志向と球場「大魔改造」時代

空気のつくり方

空気のつくり方

 

本件を語る前に、横浜DeNAベイスターズと、近年のNPBの興行面のトレンドについて、私見を交えて簡単に触れておきたいと思います。

TBSからDeNAに移行したベイスターズは、社長に就任した池田純氏(当時)の経営改革によってハマスタが連日超満員になる人気球団へと変貌を遂げました。池田氏が行ってきた具体的な取組については、2016年に刊行された『空気のつくり方』で非常にわかりやすくまとめておりますが、試合の勝敗を除く、興行上でコントロール可能な領域に徹底的に力を注ぐことで、試合に負けても球場に訪れたことに満足してもらえるような取組を推進してきた点が非常に大きかったと思います。

こうした発想は、自然と「ボールパーク」という考え方に結びつくことになります。

横浜スタジアム 2020年までに6千席増の増築・改修工事へ | その他 | 横浜スタジアム公式サイト

ベイスターズでは、球団が掲げていたハマスタの未来予想図=ボールパークの実現に向けて球場改修に着手する段階まで到達しました。2020年春に完成予定の新たなハマスタでは、屋上テラス席やVIP向けの個室が完備されるなど、より多様な観戦スタイルを提供できるようになるそうです。

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こうしたボールパーク志向の動きは、ベイスターズに限らず、他球団でも積極的に行われています。00年代に各球場で設置が進んだエキサイティングシートは、従前の試合観戦のスタイルの延長線上にあるモノと考えられますが、近年の各球場で進んでいるバラエティシートの設置は、より多様な観戦スタイルを提供することを目的に設置しております。

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例えば、ZOZOマリンスタジアム等にあるBBQシートは団体観戦に加え、レクリエーションも楽しむことを織り込んだシートと言えるでしょう。

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最も先進的な取組を進めているのは、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地・楽天生命パーク宮城だと思います。

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各種多様なバラエティシートに加え、外野裏に設置された「グリコスマイルパーク」のように、観覧車等のアトラクション、カフェで試合前の空いた時間を過ごすことができます。視界の先にグラウンドが見えてこなければ、野球場の一角にあるとは想像しづらい空間に筆者も唖然としておりましたが、大きな刺激受ける体験となりました。

今後、ボールパーク志向を球場設備に落とし込むかたちで、しばらく各球場の魔改造が続くと思います。一方、テラス席のように競技に影響を及ぼす設備・演出も少しずつ出てきているだけに、どこかでバランスが図られる可能性もあるのではないかと考えております。

とどろきアリーナを「パーク」に変える仕掛け

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川崎ブレイブサンダースの掲げる“EXCITING BASKET PARK”計画は、こうしたベイスターズで実践してきた一連の取組、NPBで進むボールパーク志向にインスピレーションを受けたものと考えています。

もちろん、プロバスケの本場であるNBAが提供するエンタテイメント性の高さは言うまでもありませんが、日本のスポーツ興行においても徐々に浸透しつつある動きを含めて描いたビジョンであると考えた方が自然ではないかと。

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具体的にサンダースが活用したメソッドとして挙げられるのが、オリジナルクラフトビールの導入です。

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ベイスターズの収益に大きく寄与したと言われる球団オリジナルビールを川崎バージョンで作成し、さらに野球場ではお馴染みの売り子を投入し、大きな話題を呼びました。

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また、地元・川崎出身のメンバーが所属するスチャダラパーが会場音楽を手がけ、同じく川崎出身のセク山氏がアリーナDJを務めるなど、地域のブランドを会場演出に上手く融合するという仕掛けも、ベイスターズが実践してきたブランディング手法に共通する取組だと考えております。

3.先鋭化がもたらした課題と改善

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川崎ブレイブサンダースは、新体制の掲げるビジョンを超満員に埋まったアリーナで披露することに成功しましたが、独自性を打ち出したことによる課題も垣間見ることができました。

特に、独自性を追求するための仕掛けが、観客の利便性や選手のプレーに影響を及んでしまったことについて、多くの意見を集めていた点が印象に残りました。

例えば、アリーナ飯の充実ということで、オリジナルフードを出品したのは良かったのですが、提供できる店舗が1か所しかなかったため、購入を希望する観客を捌ききれず長蛇の列となってしまいました。目玉商品のオリジナルビールも、アリーナ1階席の観客は座席にホルダーが無いため、販売・購入するタイミングが限られてしまいます。

また、スチャダラパー制作による試合用BGMが、昨季までと明らかにテンポが異なるため、選手のプレーリズムに少なからず影響を与えてしまいました。さらに、応援するファンも慣れ親しんだ応援BGMが無くなったことに戸惑い、自主的に昨季までのカワサキコールが発生するという事態も発生してしまいました。

-IT企業らしさを感じる改善の取組

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運営側が想定した事象を超える課題が噴出することは、どうしても実践してみないとわからない部分であるため、ある程度仕方がないことだと思います。大切なことは課題に対して、どのように改善していくかだと思います。

この点について、川崎はBリーグチケットを利用した観戦者向けにアンケートメールを送付し、アンケートに寄せられた意見等を集約して改善策等を公表しています。

こうしたアプローチは、サービス公開後にメンテナンス等で調整を繰り返しながら完成度を高めていくようなIT企業らしい取組であると同時に、経過を報告することで透明性を確保することにも繋がると思います。

もちろん、運営側の不備によって観客の満足度を損ね、試合の勝敗にも影響というのは出来れば避けたいと思いますが、長い目でより良い会場づくりを目指す観点では、新しいことに取組むこと、運営改善を続けることを両立してほしいと思います。

さいごに:川崎国際多摩川ラソンで垣間見た地域とのコミュニケーション

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11月18日、等々力陸上競技場をスタート地点とする川崎国際多摩川ラソンに2年ぶりに参加しました。川崎市民ランナーも多くする参加する本大会ですが、今年は川崎ブレイブサンダースとのコラボが実現。

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大会記念Tシャツがブレイブレッドに染まり、マスコットのロウル君とチアリーダーを務めるIRISも応援に駆けつけ、ランナーを応援する姿に励まされたランナーは少なくないはずです(私含む)

試合観戦を通じて、個人的に気になっていたのが、昨季までクラブが大事にしていたドメスティックさが薄まっていたことです。“EXCITING BASKET PARK”と言うビジョンのもと、地域の特性を生かしたブランディング化を進めることで洗練されたカッコいいもの提供するという方向性は理解できますが、会場BGMに市歌を利用したり、市章をユニホームに入れるようなダイレクトな表現は避けていくのは寂しさを感じていました。 

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しかしながら、マラソン会場で見せたクラブ関係者やチアの皆さんたちを見て、地域に寄り添い、共に歩もうとする姿勢に変化はないことを感じることができました。

まだまだ、このクラブが作り出す、新たな雷鳴の音は聞こえはじめたばかり。雷光が川崎市全域に広がるよう、自分も引き続き応援で貢献できればと思います。

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最後まで読んでいただきありがとうございました。明日は、bravekawasakiさんによる「あの日の不思議な出会い」です。

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*1:同球団も本拠地開幕戦を『OPENING SERIES』と銘打ち大規模なプロモーションを実施している

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-ジュビロ磐田

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12月1日、等々力でJ1リーグ最終節を観戦。

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(櫓がある風景に見慣れてきた気がします汗)

快晴の中で開催される陸前高田ランドというシチュエーションは、昨季の最終戦を思い出させます。

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今季も多くの激闘を生まれた等々力の最終戦ということで、前節と同様、自然と気持ちが高まってきました。

試合は、アディショナルタイムオウンゴールフロンターレが逆転勝利。観戦を通じて印象に残ったことは以下の通りです。

〇 誰にもアキを止められない

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(ラストプレーで違いを見せつけた家長選手)

試合終了のホイッスルが鳴ってもおかしくはない時間帯、静かにギアをトップに上げて決定機を生み出した家長選手のプレーが今年最後の等々力劇場を生み出しました。

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(5バックで守る磐田さん。失点をしないために守りの体制に入る)

引き分け以上で自力残留が決まる磐田さんは、失点を防ぐために4バックから5バックに変更するとともに、途中投入のムサエフ選手を中央に配置してボール保持者に対するアタックの継続する選択を下しました。

- 今季の課題を打開した個の力

一方、自陣で守備を固める相手に対する攻撃は、今季のフロンターレに残された課題でもあります。同点に追い付いて攻勢を強めたフロンターレですが、全員が自陣に戻り、人垣を並べる磐田さんの守備を崩すにはひと工夫が必要な状況だったと思います。

そこで生まれたのが、お馴染みとなった「フラフラ」の受けから相手を剥がす突破を図った家長選手のプレーでした。ピッチ上で違いを生み出す個の力は家長選手の武器だと思いますが、今季はそうした場面を何度も見られたと思います。

昨季は適応に時間を要したものの、今季は選手間の相互理解が深まったところで、家長選手の個の能力をチームの戦い方に組み込むことで勝利を引き寄せてきました。

- 2018年の川崎フロンターレを支えた「2つの頭脳」

丁度、分析力・ロジックに基づくサッカーを実践する憲剛さんが「論理」の左脳であるとすれば、家長選手は自らの感性・イメージをピッチ上で表現する「直感」の右脳のような存在ではないかと。

この2つの頭脳を併せ持つことこそ、2018年の川崎フロンターレの進化であると考えています。だからこそ、今季のほぼラストプレーとなった決勝点の場面は、今季のフロンターレが積み上げたモノの1つの到達点だったのかもしれません。

〇 アオの鼓動

磐田さんは、序盤からボール保持者に対して果敢にアタックをし続けてきました。連動性があるものではありませんでしたが、4バックを採用したことで選手配置上のかみ合わせも良かったこと、鋭い出足と能力の高い選手たちを揃ったこともあり、前半は危ない場面を作られるなど、苦しめられたと思います。

- 止まらないこと

観戦する中で気になっていたのが、ボランチとして2戦連続で先発出場をしていた田中選手です。ハイプレッシャーの中で相当苦しめられましたが、その中でも臆することなくプレーし続けることができたと思います。技術はもちろん、前節・FC東京戦でもそうでしたが、プレーすること、考えることを止まらないことが田中選手の良い部分だと思いました。

ボランチは、大島・守田両選手の日本代表クラスに加えて、実力者の森谷選手・下田選手、そして原田選手の加入が決まっていることから、激戦区だと思います。強い気持ちと向上心を持ち続けることで、等々力を熱くさせる鼓動を刻んでほしいところです。

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(失点の反省と同点弾の手応えを語る奈良選手)

以上です。先制点を許し、苦しい展開となりましたが、逆転勝利で今シーズン最終戦を締めくくることができました。

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(優勝セレモニーで投げ込まれた青覇テープ)

2度目の優勝セレモニーでは、水色の紙テープがよく飛びました(汗)

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(皆の思いは早くも来季へ!)

その後、最終戦セレモニーでは、藁科社長のクラブに関わる全ての人々への感謝、鬼木監督が語る失ったタイトルへの悔しさ、小林主将が誓うさらなる飛躍の言葉を聞くことができました。サポーターを含め、視線は早くも来季に向けられていたと思います。

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(毎試合等々力が良いと本音を漏らす(笑)鬼木監督)

鬼木フロンターレが進む道に終わりなし。迷わず行けよ、行けばわかるさ!

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・FC東京-川崎フロンターレ

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11月23日、味の素スタジアム多摩川クラシコを観戦。

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(リーグ戦では、3試合連続で勝利できていない多摩川クラシコ

前節で連覇を決めたフロンターレですが、多摩川クラシコは別腹(キッパリ)

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(3万7000人の観衆が集まったスタジアムの雰囲気で自然とテンションが上がる)

特に、5月の対戦では攻守に圧倒されて完敗を喫しただけに、自然と気持ちが入ってくる試合になりました。緊張感や高揚感は試合観戦に欠かせない極上のスパイスですね。

試合は、知念選手と長谷川選手のゴールでフロンターレが勝利。観戦を通じて印象に残ったことは以下の通りです。

〇 長谷川トーキョーの「COLOR」

半年ぶりの対戦となったFC東京さん。今回の現地観戦を通じて、長谷川健太監督の目指すサッカーが浸透していることを強く感じました。

ラストピース J2降格から三冠達成を果たしたガンバ大阪の軌跡

ラストピース J2降格から三冠達成を果たしたガンバ大阪の軌跡

 

以前、ガンバ大阪のJ2降格から三冠獲得までの軌跡を追った下薗昌記氏の快作『ラストピース』を拝読した時に印象に残っていたのが、ガンバ再建を託されて長谷川監督が就任当初から、

① 正しいポジショニング

② 攻守の素早い切替

③ 球際の強さと粘り

を「やるべきこと」=約束事としてチームに植え付けた点です。

長谷川監督が徹底した約束事は、対戦当時の風間フロンターレに足りないと感じていた部分であり、現在の鬼木監督が非常に重要視している部分でもあります。

本年5月に開催された今季最初の多摩川クラシコでは、永井選手の鬼気迫るスプリントが大きなインパクトを残しましたが、長谷川監督がピッチ上で表現しようとしたものは、ガンバ時代と同様、運動量を駆使した攻守の切替、球際の強さを生命線とするサッカーだったと思います。

-局面ごとに整理された守備

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(バランスを崩さず、コンパクトな陣形で対応するFC東京さんのミドルゾーンでの守備)

今回の対戦では、上記の原理原則の浸透に加えて、守備面での整備が進んでいたと思います。FC東京さんは、①川崎のビルドアップを阻害するための前線からのプレッシング、②中盤でコンパクトな陣形を形成して中盤で潰すミドルプレス、③自陣内で素早いブロックを形成する組織的守備、といったように各局面での守備を明確に使い分けて、利用されていました。

対川崎ということで、自陣深くにブロックを形成して待ち構える守備を展開するチームも少なくはありませんが、FC東京さんは自分たちで「ボールを奪う」守備を実践しておりますので、守備から試合の主導権を握ることができます。

実際、序盤のフロンターレは、FC東京さんの守備に苦しめられ、決定機を何度も作られてしまいました。仮に先制点を奪われていれば、攻撃を封鎖する守備を徹底され、非常に厳しい試合になったと思います。

-両クラブの「似て非なる」要素

監督が重要視する部分に共通することから、ピッチ上の攻防も攻守の切替、球際の強さがモノを言う展開となりましたが、両チームの勝敗を分けたのは攻撃面の現況であったと思います。

小林悠大島僚太といった大黒柱を欠いたフロンターレではありますが、チームの頭脳である憲剛さんは今いるメンバーを操作し、普段着に近いサッカーにアジャストしていきました。

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(プロ初先発ながら臆することなくプレーした田中碧選手)

プロ初先発の田中選手をサポートしながら、知念・守田といった若手の特徴を引き出し、決定機を上手く演出することができたと思います。

直接的なゴール・アシストはありませんでしたが、川崎のバンディエラの見事な演出力が光った攻撃が見せられたと思います。

一方、FC東京さんは、整備された守備面と比較すると、攻撃では手詰まりを感じる内容だったと思います。ボール奪取からの縦に速い攻撃は怖かったですが、ディエゴ選手を抑え込むことで凌ぐことができました。

長谷川監督のチームは、攻守の切替を支える運動量が生命線となる一方、守備に向けられるエネルギーが非常に多いことから、戦術がソリッドになるほど攻撃面がディエゴ選手の個の力に依存する傾向が強まったのではないかと。

例えば、長谷川ガンバからフロンターレに移籍した阿部選手のように、ハードワークしながらも一発を狙えるアタッカーがいれば大きいと思いますが、東選手・大森選手はタイプが異なります。結果として、ディエゴ選手の出来・不出来がチーム全体に及ぼす影響は少なくなかったと思います。

その意味では、長谷川トーキョーの「ラストピース」を挙げるとすれば、ディエゴ選手とコンビを組んで攻撃面に厚みを加えられる前線の柱になるかもしれません。今の完成度から考えれば、この部分が上手くハマれば、来季も優勝を争う手ごわい相手として立ちはだかる存在であることは間違いありません。

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(今季最後のアウェイを勝利で飾ったフロンターレ。最終戦でも勝利を!)

以上です。守備で連覇を手繰り寄せた川崎らしい我慢と粘りのサッカーができたと思います。また、悠様と大島君を欠いた中で先発起用の碧・長谷川・知念が期待に応えたのも嬉しい。みんなで掴んだタイトル、クラシコ勝利を手に等々力に戻る。最後まで歩みを止めることなく有終の美を飾りましょう。

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・セレッソ大阪ー川崎フロンターレ

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11月10日、ヤンマースタジアム長居セレッソ大阪戦を観戦。

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(勝率重視で空路で大阪へ向かう)

「優勝争いの鍵を握る試合だ!」と思って準備を進めていた遠征が、まさか優勝をかけた試合になるとは考えもしませんでした。

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(この日はゴル裏で応援。高揚感と緊張感)

焦らず、いつもの遠征と同じように振る舞おうとはしておりましたが、寝不足になるわ、緊張してきたりと落ち着かない筆者。

ソワソワした状態で迎えた試合は、AT突入前にPKで同点に追いつきましたが、試合終了直前に失点して敗戦。

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(敗戦直後に吉報が届く)

しかし、並行して行われていた広島さんが敗れたためリーグ連覇達成!!本当にバタバタした観戦を通じて感じたことは以下の通りです。

◯ 今季の成果と課題を写した試合

敗戦はしたものの、最後の逆襲シーンからの失点を除けば「諦めの悪さ」をピッチ上で体現した試合になったと思います。

リードを守るために守勢に回った相手に対し、必死にボールを追いかける意志を貫いた川崎イレブンの姿勢は、今季の戦いを象徴するシーンだったと思います。相手に倒されてもなも、諦めず、最後まで攻め続ける知念選手の気持ちが伝わる執念のPK奪取だったと思います。

ー 諦めずに戦い続けた1年

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多摩川クラシコで敗戦。首位と勝ち点差が開く)

GWに連敗を喫し、広島さんとの勝ち点差を見て「連覇は難しいのではないか」という言葉が頭に浮かんできました。しかし、選手たちは目の前の試合で結果を残し、我々サポーターは選手を後押しして必死に食らいつきました。

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(広島での直接対決に勝利。優勝戦線に生き残る)

上手くいかないことも多くありましたが、諦めることなく、しぶとく戦い続けた結果が今の位置に押し上げたと思います。

そうしたチームの粘り強い戦い方を牽引した家長選手が強奪して(汗)PKを決めたというのも1つ象徴的な場面だったと思います。

ー 残された課題

しかし、試合はカウンターの逆襲を受けて敗戦。もちろん広島さんとの勝ち点差を踏まえ、勝ちにいった姿勢は決して間違いとは言えませんが、勢いに任せて痛い目を見るという昔ながらの悪癖が出てしまったという印象です。

尹晶煥監督の就任後、セレッソさんが一貫して実践する先行逃げ切り型のパターンにハマったのは非常に試合を難しくしてしまいましたが、オリベイラ監督の浦和さん、そして長谷川監督のFC東京さんもそうだと思いますが、こうした勝ち方に持ち込むチームに勝てなかったことは来季の課題だと思います。

ー 攻撃サッカーという看板

今季は、守備面の充実が連覇を支えたのは間違いありませんが、攻撃的なスタイルを柱としている以上、こうしたチームの乗り越えなければならない壁だと私は考えています。そのためには、もっと強くならなければなりません。こうしたチームのパターンにハマらないこと、自分たちの攻撃性で上回れるようになることが、今季は結果を残せなかったカップ戦やアジアでの戦いを勝ち抜く鍵になると考えています。

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(王者防衛。平成最後のJリーグ王者
以上です。今日勝てなかったことを含めて「もっと強くならなければ!」という気持ちになる試合でした。

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(今年は本物のシャーレを受け取るイレブン)

再びタイトルを手にした喜び、試合に勝てなかった悔しさを胸に川崎に帰りたいと思います。

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(やはり何度も見たくなる光景)

優勝おめでとう、そして今季もありがとう。

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-柏レイソル

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11月3日、等々力で柏さんとの試合を観戦。

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(山形での悔しい敗戦から再起を図る一戦。勝利を掴んで再加速したい)

気が付けば、今季の等々力も残り2試合。目の前の試合を全力で!

試合は、3得点を奪った川崎が勝利。観戦を通じて感じたことは、以下の点です。

〇 シーズン終盤だからこそ問われる完成度

応援歴を重ねても、常日頃から「この1試合を大切に」という気持ちで応援に臨んでおりますが、この日はリーグ戦の「31試合目」でもあります。この日の試合では、終盤戦に突入した両クラブのチーム状況を反映した完成度の差異が大きく表れた試合だと思います。

-「服装の乱れを整えた」フロンターレ

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(久々の先発となるGK・新井選手の気持ちの入ったプレーが素晴らしかった)

フロンターレは、阿部選手が出場停止・負傷を経て公式戦2試合ぶりに復帰したほか、新井・下田両選手が久々にスタメンに名を連ねました。出場停止や負傷の影響で選手のやり繰りが求められる状況が続きましたが、攻守においてフロンターレらしいサッカーを展開できたと思います。

フロンターレは、最初の数分間で柏さんの動きに探りを入れた後、後述する柏さんの陣形が生み出すスペースを突く動きを見せていきました。GKと最終ラインの裏はもちろん、フロンターレが得意とする狭いところでパスを繋ぎ、相手を動かしたことで生まれたスペースに人とボールを送り込む動きを見せることで決定機を作りだすことができました。相手の守備に引っかかった後も、攻守の素早い切替でボールを奪い返し、相手陣内でプレーする時間を多く作ることができましたのも良かったと思います。

また、攻守の切替で印象に残ったのは、過去の対戦で何度も痛い目に合ってきた伊東選手の単騎突破を何人もの選手が絡んで止めた場面です。伊東選手のスピードを活かした突破を一人で止めるのは簡単ではありませんが、多くの選手が絡むことでスピードを遅らせて、そして止めることができます。

「相手からボールを取り上げる守備をどれだけ実践できるか?」が、現在の鬼木フロンターレの生命線であると考えています。山形戦では、神戸戦の逆転勝利の反動で守備面の課題を克服できず3失点を喫してしまいましたが、悔しい敗戦を受け入れて、乱れていた守備の修正を図ることにより、立ち返るべき、自分たちのサッカーを色濃く表現できたことが勝利を大きく引き寄せたのではないかと思います。

-「似て非なる」5バック

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(キックオフ直後の柏さんの選手配置。小池選手の位置取りで気づきました)

前半キックオフ直後、柏さんの選手配置に違和感を覚えました。当初、ウェブ記事の情報から、オーソドックスな4-4-2を予想しておりましたが、蓋を開けてみれば3バックでスタート、守備時は5バックになる陣形で臨んできました。

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(守備時の柏さん。両ウイングが最終ラインに吸収されて5-4-1に変化)

先日、天皇杯で対戦したモンテディオ山形さんは3バック(5バック)を駆使し、人海戦術フロンターレの攻撃を抑え込んだ試合を踏まえ、川崎戦に向けて柏さんが準備してきたものと考えていましたが、運用方法は大きく異なっておりました。

山形さんは、GKのカバー範囲を考慮した「ちょい高」に最終ライン設定し、コンパクトな陣形で密集して圧力をかけることでフロンターレの攻撃を停滞させましたが、今回の柏さんは最終ラインを高く設定。籠城戦を決め込むつもりは全くないことがわかりました。

普段とは異なる配置で臨んだ場合、選手間の距離を調整するのは非常に難しいと思います。相手のボール保持時における中盤の守備のかけ方が未整備だったため、後手に回る展開になったのが厳しかったと思います。

一方、攻撃については、1トップのオルンガ選手にロングボールを当てる攻撃を軸に据えて臨みましたが、奈良・谷口の両CBの前にポストプレーは封じられてしまいます。丁度、直近のリーグ戦で神戸のウェリントン選手を見たこともありますが、長身と局面の馬力は魅力的でありますが、ポストプレーにおける身体の使い方、細かな技術の部分を見ると、多くのタスクを処理しなければならない1トップをこなすには周囲のサポートが必要だったかもしれません。攻撃面の機能不全は、柏さんにとっては大きな誤算だったと思います。

柏・加藤監督の会見コメントを拝見すると、川崎の戦い方を意識して、というよりは自分たちが相手を上回るためのアプローチであることが理解できます。もちろん、今季はACLをともに戦った柏さんの選手層は素晴らしいことは周知の事実ですが、個の力に依存するかたちとなったことを踏まえると、若干ギャンブル性のある戦い方になってしまったと思います。

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以上です。服装の乱れを整えた普段着の川崎と、頑張って揃えた勝負服を上手く着こなせなかった柏さんといったところでしょうか。

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もちろん、川崎側もミスは多く、まだまだな部分もあります。相手に隙を見せず、圧倒する戦い方を目指して、最後の1試合まで歩みを止めることなく戦ってほしいところです。自分も最後まで全力で、1試合を大事にして応援できればと思います。

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観戦記:天皇杯・川崎フロンターレ - モンテディオ山形

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10月24日、NDソフトスタジアム山形天皇杯・準々決勝を観戦。

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(平日ながら多くのサポが駆けつけた)

有給取得の平日アウェイはテンション高め(自分調べ)

試合は山形さんに3点を先行され、ソンリョンさんの退場により10人で追いかける厳しい展開。終盤は猛攻を見せたものの、あと1点が届かずに悔しい敗戦。観戦を通じて、印象に残った点は以下の通りです。

◯ 早すぎた失点、遅すぎた全開

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川崎ボールでスタートした前半、お馴染みの中盤のボール交換を見たところで違和感を覚えました。グラウンダーのボールの走りが遅いことに加え、選手間のイメージにズレが出ており、ボールが上手く繋がらなかったからです。

「予想以上に厳しい試合になりそうだ」という気持ちが芽生え始めたところで、CKから先制点を許してしまいました。メンバー変更で臨んだ山形さんを勇気付けた意味でも、フロンターレには手痛い失点となりました。

ー 山形さんの守備にハマる

前半苦戦した理由の1つは、山形さんの守備を崩せなかったことです。守備ブロックを組んで試合に臨むことは想定内でしたが、相手の守備を剥がすことができませんでした。

3バック+両ウイングを吸収した最大5人で横幅を確保しながら、縦幅はコンパクトにまとめることで人垣と走力で対応できるかたちを作りました。上述のとおり、前半のパススピードが遅かったため、なかなか山形さんの網を解きほぐすことができず、ペナルティエリアに侵入しても人数が揃った状態で待ち構えておりますので跳ね返されてしまうという状況でした。

また、逆側サイドで応援していたので正確に認知できておりませんが、前線からの飛び出しに対応するため、GK間のスペースを広く作らない「チョイ高」の位置にディフェンスラインを設定されていたのも良かったかと。

ー 後半頭の狙い、的中した危惧

2点を失ったフロンターレは、知念選手を入れて2トップ、憲剛さんをボランチに配置する変更を施して後半に臨みました。

相手の守備枚数に対抗するために2トップに組み替える対応は、前半の苦戦を踏まえると必要な変化だと思いましたが、守備で無理が効く守田選手を外したことで、山形さんが狙ってくるであろうロングカウンターを潰し切らねば危険だとも感じておりました。

そうした危惧が見事に的中したのが、山形さんの3点目の場面です。もちろん早い時間に1点を返すことは大事だと思いますが、相手に追加点を許してはいけなかった状況でもあります。1点ではなく2点というのがプレッシャーだったのかもしれませんが、試合をより難しくしてしまったと思います。

ー 猛攻で見せた意地を教訓を綴る墨に

1点を返し、反撃ムードが生まれたところで、またしてもカウンターの危機。飛び出したソンリョンさんが退場。最悪の展開です。

しかし、FKを耐え忍んだあとに知念選手のゴールが生まれたことで、フロンターレは息を吹き返します。山形さんがある程度割り切ったこともありますが、パススピードが上がり、スペースが生まれたことにより、スムーズにボールをペナルティエリアまで運び、適時回収して連続する流れを作りました。

ほぼ最後尾からボールを供給し続けた憲剛さんがリズムを刻み、途中出場の長谷川選手が知念選手をアシストするクロス、あるいは相手を引きつけて味方の動きを引き出すアクセントの役割を果たしておりました。

しかし、こうした反撃は及ばすに試合終了。ゴル裏応援の誰もが「イケるぞ」と後押ししていただけに、この勢いで追いつきたかったという気持ちが強かったです。やはり、3失点に至る要所の脆さを残り試合の糧にしなければなりません。局面のプレー強度の重要性を改めて突きつける試合になりました。

◯ 木山監督のチームと対戦できたこと

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(今年5月、味スタでヴェルディ戦を観戦)

筆者がフロンターレ以外で定期的に足を運ぶチームの1つが愛媛FCです。元々、ご当地アイドルの絡みで足を運ぶようになった松山の街が好きになり、同じ愛媛愛を色濃く表現する愛媛FCに惹かれたからです。

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(関東アウェイは鬼門が多い愛媛FC

関東圏の対戦相手は苦手チームが多く、勝ち試合を見るのにだいぶ時間がかかりました(汗)勝っても負けても、熱い気持ちと愛を叫ぶゴル裏の雰囲気は好きです。

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(15年、愛媛はハードワークと堅守を武器に快進撃)

山形を率いる木山監督は、愛媛のクラブの歴史に名を刻んだ監督です。就任年に不正会計問題が発覚し、厳しい目で見られたなかでスタートしましたが、限られた戦力を上手くやり繰りしながら戦い続け、初の昇格プレーオフに進出しました。各選手の特性を活かしつつ、戦略性に優れたチームを作る手腕は素晴らしかっただけに続きを見たかったという気持ちはあります。

「木山さんの愛媛と対戦したい!」という気持ちがあっただけに、形を変えて対戦できたことは、複雑な心境でしたが、嬉しかったです。木山監督時代に大好きだったGK・児玉選手の背中を見ながら、フロンターレのゴールを応援する日が来るとは。流石に試合後は悔しい気持ちで一杯でしたが、こうした再会を含めて来てよかったと思える試合でした。

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(試合終了後、ゴル裏に向かうイレブン)

以上です。悔しい敗戦です。力が足りなさを感じた試合です。少しでも長く、今年のチームのメンバーと戦いたかっただけに残り試合が少なくなったことが寂しいです。

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(敗戦を糧にして残り試合に全力!)

しかしながら、狙えるタイトルは残されています。そこに向けて全力で、最後の1試合まで戦い抜きたいと強く決意した山形の夜です。

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-ヴィッセル神戸

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10月20日、等々力陸上競技“城”で神戸さんとの試合を観戦。

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(アップ時から観客の注目を集めたイニエスタ選手)

様々な意味で普段とは少し違った雰囲気の等々力。応援の気持ちは変わらず。

試合は、前半3失点を許す苦しい展開を乗り越えて逆転勝利。観戦を通じて印象に残ったことは以下の通りです。

〇 90分間で見せた「修正」と「覚醒」

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(川崎フワッと注意報が発令される中断明けの初戦)

10月14日、フロンターレ横浜FCさん、栃木ウーヴァFCさんとの練習試合が行いましたが、公式戦は7日の鹿島戦から間隔が空きました。自分は攻守におけるプレー強度の高さを大切にする鬼木フロンターレの「中断明けの試合運び」に注目をしていました。

ー 外はカリッと、中はフワッと

前半の早い時間帯にPKで先制したフロンターレですが、2分後に同点を許してしまい、その後も神戸さんに主導権を握られ2点を奪われてしまいました。

試合前から降っていた大粒の雨の影響もあったかと思われますが、出場停止とケガ人の影響でスターティングイレブンおよび選手配置を変えて臨んだこと、試合間隔が若干空いたことでフィーリングのズレ、判断の遅れが積み重なった状況が主な要因として考えられるのではと。

各選手は自分の位置に立ち、ボールの動きとともに寄せていくというかたちはできていましたが、寄せの甘さ、ネガティブトラジッション(攻撃から守備への切替)の遅さは気になっていました。特に、神戸さんの3点目・三田選手のゴールは、素晴らしいシュートだったのは言うまでもありませんが、シュートに至るまでの流れが前半のマズさを象徴する場面だったと思います。

一見してカリッとした雰囲気はあったものの、中身はフワッとしていた川崎を神戸さんが美味しくいただく展開だったと思います。

ー 鬼木監督の修正

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(3失点後、家長選手をトップ下に置くことで流れを変える)

鬼木監督は、ピッチ上の状況を踏まえ、メンバーを変えず、選手配置を動かしました。家長選手のトップ下、悠様を右SHに置くことでボール交換の流れ、守備時の圧力のかけ方を調整しました。

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(神戸さんのビルドアップ。リージョ監督は両CBが横幅に大きく開くアプローチを採用)

守備面では、生命線となる球際の強さと読みのディフェンスが見られるようになりました。特に、神戸さんのビルドアップは、所謂「観音開き」(両CBがPA脇に開くかたち)のため、前半は噛み合わせが悪く、逆にスペースが生まれた部分を上手く使われておりましたが、後半は良い距離間を作ることができましたので、高いボール保持率を維持するために必要なボール回収ができるようになりました。

攻撃面では「フラフラ」ではなく定位置として真ん中に立つ家長選手が、空いたスペースに顔を出してボールを受ける場面を作ることで、決定機を多く生み出すことに成功します。

家長選手は前線へのボールの供給役に限らず、大島選手の逆転弾に繋がるヒールを決める「演出家」としても素晴らしい働きを見せるなど、改めて大きな存在を知らしめる活躍だったと思います。 

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(逆転弾を決めた大島選手。年間ベスト級の素晴らしいゴールでした)

指揮官の的確な修正と、自分たちのサッカーをイレブンの活躍によって90分間で別のチームの試合を見てるような感覚に陥るほど、自分たちの色を濃く出すことができたことは、チームに大きな自信を与えてくれると思います。

〇 ゴールと言う名の勇気

逆転劇に繋がったのは、上記の修正もありますが、反撃の狼煙をあげた家長選手のゴール、等々力のボルテージを一気に高めた斎藤選手のゴールがイレブンとサポーターに勇気を与えてくれたからだと思います。前者の場合は「いつ」決めたのか、後者は「誰が」決めたのかが非常に大きな意味を持ったと思います。

家長選手のゴールは、3失点で沈んだ重いムードから「後半イケるぞ!」という雰囲気に変えてくれました。ビハインドしているとは思えないポジティブな空気感を作れたことは本当に良かったと思います。

斎藤選手のゴールは、多くのサポーターが感じていた思いが爆発したような瞬間だったと思います。リーグ戦では、出場機会もなかなか思うような結果を残すことができなかったことからも、この試合にかける思いも強く感じましたし、自分も頑張って欲しいという思いを込めて試合を見守っていました。ドッカンと湧いた瞬間、等々力は「この試合に勝つ」という思いで1つになれたのではないかと。

ロジックとは大きくかけ離れた見方ではありますが、ゴールで等々力が持つ力を引き出せたことが勝利を引き寄せたのではないかと私は強く感じる試合でした。

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以上です。完全に負け試合の展開をひっくり返す底力を見せることで、広島さんとの勝ち点を突き放すことに成功しました。リーグ戦は残り4試合ですが、一戦必勝の精神で苦しい状況を乗り切れるように後押しできればと思います。

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