ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:東京六大学野球・秋季リーグ(開幕戦)

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(今年、乃木坂46のライブでは来れなかった神宮球場

大学時代、野球部が25年(50季)ぶりの優勝を達成した(優勝を牽引した4番打者は現在も応援している)。しかしながら、校内の盛り上がりはイマイチであったし、優勝のかかった試合に駆け付けたという話も(応援団関係者を除けば)耳にすることはなかった。何故なら、東都大学リーグは平日開催だったからである。

だから、大学院に進学して早慶戦を観戦した時はカルチャーショックだった。OBと現役学生が大きな声で校歌を歌う、得点が入れば肩を組んで応援歌を歌う。筆者には欠片もなかった母校愛を、何故彼等は持っているのかを知る良い機会となった。

9月14日、10数年ぶりに六大学野球を観戦するために神宮球場に足を運んだ。初夏に大学選手権を観戦したことが契機でもあるが、等々力の試合も控えているので程よい時間帯・開催場所だったことも大きい。土日・神宮開催は観戦者は、筆者のような日々フラフラしてる観戦者には格好の観戦環境だ。

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(筆者の学生時代、おそらく遥か昔から変わってないだろうデザイン)

都市対抗野球大会もそうだが、六大学野球の嬉しいところはプロ野球であれば高値で販売されているだろう位置の座席をリーズナブルな価格で見れることだ。観戦好きの人間からすれば、ボーナスステージ(個人の感想です)。迷うことなくネット裏の特別内野席(1,500円)を購入。入場券の絶妙なサイズ感は、自分の学生時代はもちろん、長年継承されている規格なのだろう。

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(ネット裏で観戦できるのはテンションが上がる)

筆者が観戦した第1試合は、春季リーグおよび今夏の大学選手権で優勝を果たした明治大学と、1年半勝利から遠ざかっている東京大学の対戦。

明大は今年のドラフト会議の注目候補でもあるエース・森下暢仁投手(4年・大分商)が先発。初回から最速152キロのストレートを中心とする投球で三振を奪う。一方、東大の先発・小林大雅投手(4年・横浜翠嵐高)も丁寧な投球で得点を許さず、上々の立ち上がりを見せる。球速の緩さが逆に良かったのかもしれない。

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神宮球場の老舗・水明亭は、そば・うどん・丼物を手広く扱っている)

神宮球場の観戦の利点は球場インフラを利用できる点である。特に売店類が稼働しているのは嬉しいところ。特に筆者はプロ野球だと外野観戦が大半のため、行き来出来ない内野の売店に足を運べる貴重な機会でもある。

この日は、老舗・水明亭のトロトロなんこつうどんを食する。うどんの上に盛り付けられたなんこつはビールのお供にしたくなる濃厚な味わい(午後の観戦を控え我慢)

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(東大が先制。球場の空気も変える鮮やかな一発だった)

昼飯を調達し、座席に戻ってすぐに東大が石本悠一選手(3年・桐朋高)の本塁打で先制。序盤から森下投手の速球に食らいついていた東大打線ではあったが、目が覚めるような一発を放った。しかし、明大も森下投手の自援護を含めた2本のタイムリーで逆転。「現実はそう甘くはない」と悟りかけたが、小林投手の粘りの投球と守備陣の好守もあり、東大は追加点を許さない。

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(8回裏に同点に追いついた東大。コレにはスタンドも大きな歓声が沸く)

失礼を承知で言えば「思いがけない」1点差の接戦のまま、終盤8回裏を迎えた。東大はヒットと捕逸でランナーを二塁まで進め、4番・青山海選手(4年・広島学院高)のタイムリーで同点に追い付く。こうなれば、中立の立場だったネット裏の観戦者は東大に肩入れをし始めるのである(筆者を含む)甲子園で過剰な煽りが問題視されることがあったが、判官びいきというのは観戦者心理としては働くものだ笑

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(2-2で9回終了。試合は延長戦に突入)

しかし、森下投手も簡単には崩れない。後続を断ち切り、続く9回も150キロの速球で三振を奪って反撃ムードを抑え込み、開幕戦から延長戦に突入。両先発投手は続投し、規定上の最終イニングである12回を迎えた。

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(両投手とも12イニングを完投。東大・小林投手も粘りの投球が光った)

表の攻撃で明大はヒットとバントでランナーを3塁まで進め、犠牲フライで勝ち越しに成功。さらに東大の守備の乱れで三塁に進めたランナーをプッシュバントで帰して追加点を奪う。好守を続けてきた東大が最後の最後でミスが出てしまった。2点を奪った明大であるが、12回裏も森下投手は投げ切って試合を締める。

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(最後の打者を内野フライに打ち取り、明大が勝利)

東大の健闘と明大の意地が交差した見ごたえのある試合であった。

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ジワっと暑くなってきたので神宮名物・パイン氷をを食べる。

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プロ野球では行列もできるだろう人気メニューも、ストレスなく買えることが財布のひもを緩めてしまう。

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謎のプッシュを受けてプレミアム仕様(+100円)を頼んだが、プレミアム要素たる練乳がパインと絶妙の連携を見せてくれて大正解。店員さんに感謝。

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(試合前の練習に臨む早大ナイン)

第2試合は、柏レイソルも応援している小宮山悟監督が率いる早稲田大学が登場。

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(小宮山監督の背番号は「30」。スタメンには中川卓・蛭間といった1年生の名も)

二浪して早稲田に入学したエピソードはあまりにも有名な小宮山監督なだけに、早慶戦の敗戦が絡んで春季優勝を逃したのは責任を少なからず感じているかもしれない。

早稲田の応援はチアパフォーマンスも華やかで、ハリセンを使った応援で球場に音が鳴り響いていた。チャンスがあれば、早稲田の試合もじっくり見たいところだ。

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途中で切り上げて離脱。球場前の通路がガランとしているのが非常に新鮮だった。フラっと野球を見に行くには、この上ない環境だ。フルハウスの熱狂の渦に巻き込まれるような観戦も大きな魅力だが、近所の公園に行くような感覚でスポーツ観戦するのも楽しいのだ。

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-ジュビロ磐田

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9月14日、3連休の初日は等々力で磐田戦を観戦。少しずつであるが気温も日暮れも早くなってきた気もする。

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(食後のデザートにFスイーツ「磐田茶プリン」。絶品)

観戦者にとって、日々の観戦は季節の移り変わりを意識する機会でもあるだろう(プリンを食べながら)

ご家族揃って川崎を応援している17歳のシンガーソングライター・原田殊々華さんも観戦に訪れた(ダイマ)試合は、前半に得点を奪った川崎が久々の勝利。

試合を通じて感じたことは以下の通りです。

PLAYERS:「チャンスは掴め!」

本ブログで度々書いているが、「自分の好きな言葉」と聞かれると、故・ジャンボ鶴田さんの座右の銘である「人生はチャレンジだ!チャンスは掴め!」と答えている。プロスポーツの世界は、この言葉を地で行く厳しい競争と挑戦が日々繰り広げられている。

磐田戦の先発メンバーは、ルヴァン杯・名古屋戦の活躍を経て起用された選手たちが名を連ねた。2年目の脇坂選手を含めて、今回のチャンスを逃せば、残りシーズンの起用も危ぶまれてしまうという危機感もあったと思う。何故なら、ベンチには試合に出続けた選手たちが控えているからである。

日々、観戦をしていると「気持ちを見せろ」という、言葉を耳にしたり、目にしたりすると思われるが、気持ちでどうにかなるものではなく、今そこにある状況に真摯と向き合っているのかが大事なのだと思う。会社で「気持ちが見えない」という理由でマイナス査定を受けたらどうだろうか、意味不明である。(数年前の体験談)

ゴールという目に見える結果を残した脇坂選手・山村選手は、闘志を全面に押し出すタイプではないと思うが、自身の立たされる難しいシチュエーションを乗り越えて、お立ち台の上に立った。活躍を続けていられるのかどうかは自分たち次第であり、周囲との切磋琢磨でもある。「競争」関係が「協奏」を生み、チームが強くなっていく。そんなことを考えさせられる光景だった。

GAME:「間受け」と「間抜け」

前半の川崎は、序盤の被決定機を乗り越え、徐々に相手陣内に攻め込む時間帯を作る。攻撃のリズムを作ったのは下田選手、脇坂選手の2人だった。

下田選手の武器は、後方からのロングパス・サイドチェンジといった展開力であり、強く蹴れることができる。基盤にある風間監督時代、あまり使われなかったプレーということもあるが、下田選手のようなプレースタイルを得意とする選手はあまりいなかった。試合出場機会を重ねることで、自分の色をチームに染み込ませてきた印象だ。結果が出なかった8月ではあったが、下田選手のチューニングが進んだことは今に繋がっている。

また、脇坂選手は、ボランチと前線の3選手の経由地としての役割を果たした。磐田さんの横のラインの間に入ってボールを受けることでゴール前のアクセント役に回るだけでなく、自らドリブル・シュートで仕掛けることもできる。ゴールシーンは、そうした積極的な姿勢が実を結んだかたちだ。ボール再奪取から前線に巧みに運んだ同期・守田選手も素晴らしいお膳立てだった。

この他、ボールサイドに寄せてフォローに回ることでポゼッションを維持・継続に貢献したのも印象に残った。交代後との比較でもわかると思うが、大島選手が離脱中ということもあるが、ライン間・選手間の受け師としての役割を果たせる脇坂選手の存在は非常に貴重だ。シーズン当初に比べると、彼の使われ方の幅も広がってきたと思うだけに、歩みを進めてほしいところだ。

しかし、勝ち切ることに成功したものの、課題も残る内容だった。特にディフェンス面は、割り切りはあったと思うが、被決定機数の多さを含めて、もう少し試合をコントロールしたかった。印象に残ったのは、前線からのファーストプレスとラインアップの呼吸が合ってないことだ。

悠様が先陣を切るかたちで前線の選手が追い込みに入るが、中盤以下の周囲が付いてきていない。数的有利にはならないため、追い込みがハマらないケースが多々ある。そうすると、スペースに人を入れてボールを繋げられてしまう。

後半はこのケースが多かったため、磐田さんにボールを運ばれるケースが多かっただろう。単騎特攻で追い込むのであれば、途中交代で入った憲剛さんのような粘りを見せなければハマらないだろう。この辺の意思統一、あるいは整備が守備の立て直しにおいても大事ではないだろうか。

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(リーグ戦では久々に響き渡ったアバンテ)

「間受け」の攻撃を増やし「間抜け」の守備を減らすという今後の方向性を垣間見ることができた試合だった。

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以上です。勝つことの難しさを実感した夏、それを経て秋を迎える。「実りの秋」になるために、僕らは前に進まなければならない。

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観戦記:リポビタンDチャレンジカップ2019・日本代表-南アフリカ代表

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9月6日、ラグビー日本代表の試合観戦のために熊谷に遠征。

ラグビーダウン・熊谷

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サッカーファンにおける「熊谷」といえば、大宮アルディージャさんのホームゲーム、あるいは天皇杯で利用する熊谷陸上競技場でお馴染みだろう(筆者も3年前の大宮戦で初めて足を運んでいる)。

一方、ラグビーファンの間では、熊谷は「ラグビータウン」として知られており、同大会の開催都市として、3試合が行われることになっている。

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(大会アンバサダーを務める埼玉出身のハロプロ現役&OGメンバー)

自国開催のラグビーW杯を控えた日本代表の最後のテストマッチは、壮行試合に相応しいラグビー熱の高い場所であると同時に、本大会に向けたリハーサルとして開催された。

○ 大会に向けた特別態勢

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(熊谷で試合を行う国々の幟)

試合会場の熊谷ラグビー場に向かう前に、W杯期間中も利用される「ファンゾーン」に足を運ぶ。

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(熊谷駅から徒歩8分にあるファンゾーン)

ファンゾーンは、パブリックビューイングに加えて、食事をしながら屋台などが並んでおり、開催都市の盛り上げを創出する空間として位置づけられ、各開催都市においても準備が進んでいる。

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パブリックビューイングは連日開催予定)

ちなみに、スタジアム同様、手荷物検査が徹底されている。

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(富士山登頂もしたウェブ・エリス・カップ

また、この日はW杯の優勝国に送られるウェブ・エリス・カップが飾られていたので記念ツーショット。オールブラックスのリッチー・マコウ選手が掲げる映像を幾度となく見ていたので小さいサイズのイメージを持っていたが、マコウ選手が大きいのだと実感する。

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また、ファンゾーンは、スタジアムの無料シャトルバスの発着場所の役割を担う。車道を封鎖して設けられた無料シャトルバス乗り場に向かうと、おそらく県内からかき集めてきたであろうバスの大群が待ち構えていた。

筆者は比較的早く足を運んだこともあるが、10分程度でスムーズに乗車→発車。満員になるのを待つのではなく、出来る限り待機者を作らず、回転率を上げる運用のようだ。おそらくだが、本大会期間も行きのアクセスには問題無いだろう。

このような運用を形成するにあたり、多くの人員と物量が割かれていることからも、観戦者ながら、W杯の開催規模のスケールをヒシヒシと感じたりもする。

○ 専用スタジアムが生み出す独特の雰囲気

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(長蛇の列ができる熊谷ラグビー場

バスに揺られること約15分、試合会場のある熊谷スポーツ公園に到着。既にスタジアム入場の長蛇の列ができていたことに驚く。

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売店スペース等は全てゲート内にある)

再入場不可、指定席ゾーンも非常に多いはずなのだが、飲食・グッズ等のスペースが全て入場ゲート内の敷地内にしかないからであった。こうした運用は、大会期間中、他のスタジアムも同じかもしれない。

一方、筆者の座席に割り当てられたエントランスはすぐ入ることができた。手荷物検査+金属探知機に加えて、この日限定で認められたペットボトルの安全性確認が行われた。

乃木坂46のライブ並みの厳重態勢(わかりづらい例え)だが、国際大会ではスタンダードだという印象もある。大会期間はペットボトルのチェックは無いので、些か円滑に進むかもしれないが、観戦予定の方は時間に余裕を持った行動をオススメしたいところ。

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(メインスタンド入口の階段を登る)

スタジアムに入場。メインスタンドをの階段を登り、ゲートをくぐり、ピッチが見えてくると高揚感は一気に高まる。

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新しいスタジアム独特の匂い(雰囲気を含む)はもちろん、専用スタジアム特有の距離感が堪らない。コンパクトな2万人規模のスタジアムだからこそ作り出されるわい雑感(天野春果風)は観戦者にとっても嬉しいところだ。

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ちなみに、サイドスタンドの上層部は仮設で増席されている。

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サッカーW杯が行われたロシアのスタジアムでも見られていたが、個人的には楽天生命パーク宮城の外野席を思い出してしまった(汗)

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売店などはコンコースも含めて各所に設定されているが、どこも混雑状態。一般的な動員規模に対する売店数は悪くないと思うが、飲食物が持ち込み禁止のため、観客数に対する利用者割合が多く、先述の区画の問題もあり、上手く回らなかった印象がある。

自由度の低さは、大会運営上の制約との兼ね合いもあるため、観戦者としてはなかなか難しいところだと感じた。

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なお、筆者は、世界の強豪()を前に個人的に強化試合を図ろうと思っていたが、長蛇の列に万事休すと思ったが、場内にハイネケンの売り子がいたので助かった。ローカルスタイル、おそらく海外のファンにウケるだろうが、数捌けるかは不安なところだ。

○ 敢えて選んだ険しい道だからこそ

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大会前の最後のテストマッチの相手に強豪・南アフリカ代表を組んだジャパン。

4年前の奇跡の勝利で若干感覚が鈍っているが、4カ国しかいないラグビーW杯優勝国(自国開催の初優勝の軌跡はクリント・イーストウッド監督作品『インビクタス負けざる者たち』でも描かれている)であり、現在進行形の超強豪国だ。

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本大会への期待を膨らませる華試合ではなく、あくまで大会を見据えたテストマッチであるという位置づけには勇気も感じた。だからこそ、結果はともかく試合内容に注視して観戦。

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予想どおりではあるが、前半からスプリングボクスの前に攻守で厳しい展開。全体的にミスの多さ、プレー精度の低さは気になる。ティア1相手には許されないところだろう。

練習量で高めてきたフィジカルの部分で健闘できていたのは救いではあった。スクラムで潰されず、モールの場面でも極端に押し込まれるケースは見られなかった。体格に優れ、当たりの強いスコットランドアイルランドとの対戦が控えているだけに、数少ない収穫と言える。

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後半は修正が見られたが、ゴールライン手前の攻防でフェイズを重ねてトライを奪うことができなかったことは、やはり強豪国の壁を否が応でも感じざるを得なかった。密集戦の守備の密度、キックを利用した陣地挽回やスペースメイクの部分など、日本はまだまだだと感じた。

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それでも、松島選手の快足を生かしてトライを奪った場面は会場のボルテージを一気に高めてくれた。

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終盤の2トライは勿体なかったが、ポゼッションを高めて攻撃の時間帯を長くとること、オフロードパスを繋いで、相手陣内に攻め込むかたちを見せることができたのは悪くなかった。

ただし、連動性が求められるだけにパスと受け手の精度はこだわって欲しいところ。1本繋がればトライになるところを落としてしまった場面、相手のカットから一気にトライを奪われた場面はわかりやすい事例だろう。

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7- 41でホーンが鳴る。奇跡は簡単に起きるものではないし、ザラっとする確かな感触を持って突きつけられた現実だろう。

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日本代表が強くなっているのは確かだが、世界の強豪も研鑽を積んでいる。他競技と同様、世界という壁はベルリンの壁のように、ある日を境に無くなったりするものではないのだろう。

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しかし、壁の厚みと高さを把握できるようになり、どう乗り越えるかを突き詰める段階に入ったことはラグビーにしても、アメリカ戦を終えたバスケ日本代表には言えるだろう。

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ナショナルチームの戦いもまた「終わりなき物語」なのだ。奇跡の南ア戦から4年、積み上げてきた物語で構成された1つのチャプターの集大成は華やかに締めくくりたいところだ。

◯ 祭りの「終わり」と「始まり」

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試合後、行きと同様、シャトルバスで駅まで戻る。流石に観客が一気に出たのでシャトルバス列は長くなっていたが、バス台数も相当数あるので物量作戦で乗り切る。40分程度導線をグルグル回って乗車→発車。交通規制の影響もあり、駅前までスムーズに行くことができた。スタジアムを出た瞬間は若干、面を喰らうかもしれないが、本大会で訪れた際は素直にバスを待つことが良いと思われる。

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日本一暑い街で行われた熱い戦いが、これから日本各地で繰り広げられていく。そろそろ耳を傾ければ祭囃子の音が聞こえてくるはずだ。

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サウナ訪問記:愛知県知立市・サウナイーグル

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アウェイ遠征で足を運んだサウナの感想を書く謎企画(数か月ぶり)。

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(ドラマ『サ道』はテレビ愛知でも放送中)

最近、ドラマ『サ道』を金曜深夜に視聴して掻き立てられた「整欲」(サウナで「整えたい」欲)を満たすため、土日の試合前にサウナに足を運んでおります(汗)

今回は、そんな筆者が完敗を喫した名古屋戦の際に足を運んだ「サウナイーグル」さんの訪問記を書きたいと思います。

知立経由で豊田へ

アクセスは、名古屋駅から名鉄で約30分の位置にある知立駅から徒歩約8分。

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本年の名古屋戦は、豊田スタジアムの開催。知立駅から豊田市駅名鉄三河線で約30分ということで、それほど遠回りにはならず、試合前後に足を運べる範囲かと(個人の見解です)。

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(巨大エンタテイメント施設の一角)

サウナイーグルさんは、同じグループ経営であろうボウリング場と一体になった施設となっております。

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サウナの受付は1階、駐車場の奥にあります。

料金は、所謂サウナ施設の価格帯。深夜2時まで追加料金が発生せず、利用時間を気にすることなく利用できるのは良いですね。また、地元の方向けであろう朝5〜8時までの朝風呂プランは平日500円(休日800円)は超お得。

◯「良いサウナとは何か?」に満点回答できる設備

サウナイーグルさんは、昨年8月に全面リニューアルしたばかりということで、非常に綺麗な施設でした。それだけに、サウナ特有の実家にいる感覚とは違った、友達が建てた新築のお家にお邪魔したようなウキウキ感を味わうことができます。もちろん、施設の築年数はともかく「清潔さ」は大事だと思っておりますので、利用全般を通じて感じた行き届いたケアには好感を抱きました。

お風呂は一般の大風呂、ジャグジー、そして種類が日によって変わる人工温泉の3種類。どれも広々とした浴槽だったので、足を伸ばして、ゆったりと入ることができました。

お目当てのサウナは88℃、ひな壇は3段。冷水機に加え、サウナの入り口にアイスボックスがおいてあるのも嬉しい。浴槽と同様、サウナもゆったりできる広々としたスペースで、思わず寝っ転がりたくなるほど。1人になった時の優越感もたまりませんw それでいて、しっかり汗をかける暑さを提供してるのは大変素晴らしい。良好なサウナコンディションに加えて、数回実施されるロウリュの促進効果は抜群。搾り取られるような勢いで汗をかきました。

サウナから水風呂にスイッチ。2種類ある水風呂の温度計を思わず二度見。何と、冷たい方の水風呂の水温は驚異の「8.1℃」!!!(最低水温は7.9℃を記録)。こうした瞬間、自分の中では水風呂が札束の風呂に見えてきました。入った瞬間、サウナで作られた熱の羽衣を一気に剥がさんとする強烈な冷気が堪らない。痛いほどの冷たさ、最高です。

トヨタ自動車野球部・佐竹投手ばりの好リリーフの水風呂を終えたら、休憩もトップフォームでいきたいところ。見渡せば、外気浴スペース、さらに室内外にデッキチェア3つ設置。わかってらっしゃる(満面の笑み)。デッキチェアに腰掛けて足を伸ばした瞬間、強烈なサウナトランス到来でキマってしまう。

インターバルが開いてのトランスならわかるのですが、週1ペースで通ってる中でのトランスにしては強すぎて困惑するほど。また、外気浴スペースについては、夏の暑さでシンドイかと思ったのですが、日差しを遮断しながらも、風通しをキープするつくりで、8月の日中でもじっくりと休むことができました。ここもまた計算された作りではないかと。整いながら、静かな感動を覚えておりました。

風呂・サウナ・水風呂・外気浴スペースの全てにおいて満足。良いサウナ施設の見本としてサウナの教科書に載せたくなる、文句無しの満点回答の施設だと思います。

◯ 夏場の観戦にオススメしたいサ活

サウナで整えてからは、レストランで昼食。サウナではよくある居酒屋風のレイアウトで、酒のつまみからガッツリ食事までラインナップも充実。この手の施設では珍しく若いスタッフと常連客らしい人たちの賑やかな雰囲気も良かったです。

昼食後は、リクライニングスペースで甲子園見ながら昼寝。こちらもまた広々としたレイアウトで来客数に対する窮屈さとは皆無でした。個室スペースもあり、よりじっくり寝たい方のニーズにも応えられるのではないかと。

寝起きに再度サウナに入り、心身ともに整えてスタジアムへと向かいました。夏場の観戦、遠征は移動だけでも大変なので、このように汗を流してリフレッシュした状態で臨む、サウナサポータースタイルの素晴らしさを伝えていければと思います。

なお、余談ではありますが、サウナを出るときにユニに着替え、駅ホームで歩いてるとキッズたちに「川崎サポがいるぞ(ザワザワ)」と注目の的になりました(汗)

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観戦記・明治安田生命J1リーグ:名古屋グランパス–川崎フロンターレ

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8月10日、名古屋戦のためにアウェイ遠征。

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住よし訪問から始まる名古屋戦。美味し。

◯ STUDIUM:大聖堂で行われた祭典

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近年、名古屋戦は豊田スタジアムで観戦することが多い。個人的に豊田スタジアムは好きなスタジアムだ。ほぼ実家である等々力を除けば、日本で一番好きなスタジアムかもしれない。

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観戦者が故に、スタジアムに機能性を求めてしまう傾向にあるが、黒川紀章が手がけた独特の風貌が堪らない。

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垂直の壁に覆われた円形状のスタジアムは、古代ローマコロッセオを彷彿とさせるが、屋根を支える4本の柱の存在が神々を祀る神殿、あるいは大聖堂のようにも見える。

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スタジアムに繋がる橋を歩く両クラブのサポーターは、ある種の巡礼者というわけで、サッカークラブとサポーターの関係性に妙な親和性を感じたりもする(汗)

◯ PHILOSOPHY:名古屋さんが貫いたモノ

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そうした大聖堂で行われた祭典=試合は、名古屋さんの完勝に終わる。

負けた試合は世界名作劇場愛少女ポリアンナ物語』に習って「よかったさがし」をすることにしている筆者も「グランパスくんファミリーがカワイイ」「SKE48が見れた」の現実逃避気味であった。

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それほどまでに、久々に心身に堪える敗戦であった。

裏目に出た強気

川崎は、復帰まもない大島選手をボランチに据え、前節はベンチ外だった脇坂選手をスタメン起用するなど、ボールを握り・動かすための編成ということがよくわかる。

同じ志向を持つ名古屋さんに真っ向勝負し、そして勝利するための鬼木監督の強気が垣間見れる陣容だと思った。しかしながら、試合前の練習時の判断か、大島選手の出場が困難となり、山村選手がスタメン起用となる。結果として、下田選手をベンチ外にして大島選手に託した強気の起用が裏目に出てしまったかたちになってしまった。

– 名古屋さんの「ボール狩り」に耐えられず

一方、序盤戦で採用していた「4ー4ー2」の並びに戻した名古屋さんは、システムというより選手配置の噛み合わせを意識したモノだと考えていた。

何故なら、名古屋・風間監督は常に「よりボールを持てる」と思うかたちを意識しているからだ。名古屋さんの前線からの積極的なプレッシングに対し、スクランブル編成で臨むことになった川崎は苦しめられる。名古屋さんのボール狩りに耐えうる強度を発揮することができず、押し込まれる展開となる。

ピッチ内でどうしてもハマらないなか、川崎イレブンはもちろん、応援する我々も「耐えたい」時間帯であったが、立て続けに2失点を喫してしまう。特に2失点目は、守備において後手に回り、完全に崩されたかたち。先制した名古屋さんに勢いと自信を与える1発だったと思います。

– 「見てきた」光景を「見せつけられる」

川崎は、後半頭から斎藤選手を投入して打開を図る。試合時間が経過するとともに名古屋さんの出足も落ち着いてきたこともあり、押しこむ時間帯を作るものの、得点に繋げることができない。ペナ外までボールを運べても、待ち構えられる状態の名古屋さんを崩しきることができない。

その状態が続いた後、決定的な3点目を失う。川崎イレブンの足は止まることなく、最後まで追いかけていたが、ボールを走らせ、ポゼッションを続ける名古屋さんから上手くボールを奪うことができずに敗戦。

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昨年、ボールを奪い、握り続けることで勝ち切ってきた川崎の必勝パターンを名古屋さんに見せつけられたような光景だった。

前回対戦時に感じた、ボールを保持する技術のクオリティ差がより明確となった場面でもあった。自分たちが武器としてきたサッカースタイルを、より色濃く表現させられたことの痛みを感じた。

一方、結果が出ない中でも風間監督が志向するフィロソフィーを名古屋さんが貫いたからこそ生み出されたモノたと感じたりもする。

美しくも聞こえる響きであるが、当事者である名古屋さんからすれば10試合勝利無しという現実を受け入れるのは非常に辛かったはずだ。だからこそ今年のスローガン「貫く」という言葉の重みを感じた。

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そして、勝敗を受けて両クラブがどう変化するのかは大切だと思う。敗戦を喫した川崎は惨憺たる内容を受けて、どう変化できるのか。鬼木監督のマネジメント面の苦労はもちろん理解しているつもりであるが、強気に加えて覚悟を決めて今季のフロンターレの戦い方を強く打ち出して欲しいところ。

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自分たちのサッカーを貫こう!

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・FC東京–川崎フロンターレ

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7月14日、味の素スタジアムにおいて第34回多摩川クラシコを観戦。

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(味スタに集った川崎サポと魂)

首位・FC東京を追いかける我々としては負けららない一戦。

試合は激闘の末、川崎が3得点を奪って勝利を手にした。試合観戦等を通して感じたことは、以下のとおり。

WORD: ファジーカスの言葉

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(限定公開された映画は盛況に終わった)

先日、映画『OVERTIME-新生・川崎ブレイブサンダース、知られざる物語-』を鑑賞した。

本作は、Bリーグ川崎ブレイブサンダースの激闘の足跡を辿るドキュメンタリー映画である。昨季のサンダースは優勝候補と言われた中地区2位、さらにPO初戦敗退という非常に厳しい結果に終わった。

輝かしい成績を讃える内容ではなく、苦しいシーズンに焦点を当てた内容だったからこそ焦り・不安を含めた偽らざる感情が伝わってきた。個人的に印象に残ったのは、日本代表のニック・ファジーカスが、チーム状態が上がらない中、選手間ミーティングで「自分たちの強みがわからなくなっている」と述べていたことだ。強いチームは勝ち方を知っており、自分たちはそれを見失っていることを説いたのだ。

ニックの発言は、自分を含めた多くの川崎ブースターが感じていたことだと思う。初年度に見せた勝負どころを抑え、勝ち切る川崎の強さが見えなくなっていたからだ。そして、鑑賞を終えた私は「今のフロンターレにも同じことを言えるのではないか?」とも考えていた。試行錯誤を続けてきた今季だが、タイトルを取るため覚悟を決めて強い姿を取り戻さねば3連覇は難しいと思った。

GAME: 鬼木フロンターレアイデンティティ

味スタでの一戦は、連覇を掴んだ鬼木フロンターレアイデンティティを取り戻した試合になったと思う。ボールを強く握り、相手からボールを取り上げ、ゴールに向けて果敢に進む川崎イレブンの姿には、並々ならぬ熱い思いが感じられた。

また、FC東京さんの「ファストブレイク」を封じることを見据えた戦い方でもあった。圧力に屈しないポゼッション、走り負けないハードワーク、そして強力な前線の個の力に対抗できる対人守備の3つをピッチ上で表現するために鬼木監督が起用した11人はミッションを完遂した。

FC東京さんに負けず劣らず、この日の川崎は憲剛さんと阿部選手を中心に前線から積極的なプレスを展開。鬼木監督の狙いも、プレスをハメられる2人を起用することで敵陣に押し込むことであり、そこを抜けた中盤でも下田・碧のボランチコンビが連動して相手の突破を防ぐ。碧のボール奪取能力が大いに活かされ、プレスの網目はギュッと細かいものとなった。

ボールを奪われても、すぐに立ち上がって取り返そうとするハードワークがチーム戦術に噛み合わせることで、良いパフォーマンスを発揮することができたと思う。最近の試合では実践できなかった、攻守でボールを握り続ける自分たちのサッカーを色濃く表現できたことは、今後の戦い方に繋げていきたい。

HEART: 中村憲剛の闘志

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(試合後、歓声に応える憲剛さん)

ピッチ上の指揮官・憲剛さんが獅子奮迅の活躍が光った。メインスタンドから見た憲剛さんはプロキャリアを歩み始めた若者のようなギラギラした目をして、90分間足を止めずに全力で走り続けていた。 

かつて、憲剛さんが気持ちの入ったプレーをすると、何故か試合では空回りするケースが多かったのだが、この試合は彼の闘志がチームのエナジーに直結した。

自分は、そんな憲剛さんの姿を見て胸が熱くなった。怪我したり、試合に出れなくなると年齢的にも引退とか色々と考えてしまった。そんな不安を払拭するかのような輝きが眩しかった。まだまだ戦えることを自らの実力で証明した試合だった。

MEMORY:クラシコの記憶が両チームを熱くする

先制点、さらに後半に追加点を奪ってもFC東京さんの反撃が怖かった。前後の脈絡無く個の力で決めることができるディエゴ・オリベイラ選手・永井選手の存在があったのもそうだが、過去の対戦での記憶が残っているからだ。

y141.hatenablog.com

 味スタに限っても、嘉人さんのメモリアルゴールで先制した後、武藤選手に決められて逆転負けした記憶(2015年)もあれば、2失点後に後半3得点を奪って逆転した記憶(2009年)もある。多摩川クラシコと銘打ったことで、実際に試合で発生した現象を強烈に記憶しており、そうした蓄積が「何が起こるかわからない」という気持ちを強くする。東京サポさんも同じような気持ちで応援していたと思う。

たしかに、ローカルダービーとしての歴史は浅いかもしれない。しかし、下田さんが仰ってくださったように、激闘の記憶は着実にサポーターの間に刻まれており、歴史が浅いからこそ、見聞きしたのではなく、自らのその目で見てきた証人たちも多い。激闘の記憶を思いをぶつけ、熱い空間を作っていくことで価値は高められる。試合前の雰囲気、ピッチ上の激しい攻防は今季のJリーグを代表する試合と言える内容だったと思う。こうした名勝負製造機として今後も戦っていければと思う。

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(恒例の歓喜の輪。喜びは広がる)
以上です。今季のベストゲームでクラシコを制することができた。しかし、この勝利で我々は生き残ったにすぎない。昨年の広島戦と同じだ。今ある勝ち点差を詰めて抜かなければ頂点は見えないのだから、これまでの引き分けを勝ちに変えていかなければならない。

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次なる思いは1つ。一戦必勝! 

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読了:永井純一『ロックフェスの社会学:個人化社会における祝祭をめぐって』

箱根で実施した単身読書合宿のアウトプットを兼ねて合宿中に読了した本の感想文を書いてみた。

本書は、日本におけるロックフェスの隆盛を「祝祭」と「イベント」の観点から考察を重ねたものであるが、個人的にはフェスに限らず、現代におけるライブエンタテイメント全般を読み解く上でも非常に重要な視点を与えてくれる内容だと感じた。

冒頭、著者は日本のロックフェスの定着・発展において、ロスジェネ世代が担い手であることに着目し、彼らの「バブル以降のオルタナティブなライフスタイルや価値観と共振」したのではないかという仮説を立てている。さらに、社会生活において個人化が進行したゆえに「(孤独な)個人が祝祭に現れる一般的な共同体/性を希求するという祝祭をめぐる共同体と個人化のパラドキシカルな関係性」にも注目した点も興味深い。このように、本書は90年台後半以降の音楽業界というよりも、フェスという場所=空間に関する分析が行われている。

ー なぜ、ロックフェスは「雰囲気」を重要視するのか?

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自分もフジロック等は未参加ながら、モンバスやサンバーストといった野外フェスに参加経験があるので、本書で語られる一般的な音楽ライブとロックフェスの違いは概ね理解しているつもりだ。

ライブは参加者全員が同じプログラムを体験し、その一体感を味わうことで「物語」を受動的に享受するのに対し、フェスは「個人が数ある選択肢の中からそれぞれのプログラムを作成し、主体的に物語を紡ぐ」のである。ロックフェスはあれだけの動員規模を誇りながらも「個人化をそれ自体に組み込む」かたちを取っているという本書の指摘は的確だと思う。

同じ時間・空間に身を投じているが、内部において異なる出来事を体験しつつ、それでいてフェスとしての体験は共有されている。言語化されたことで気づいたことだが、こうしたフェスにおける体験の共有、年2回開催されるコミックマーケットにも通じる構図だろう。

インタラクティブ性の高さがフェスの醍醐味であり、そこ(フェス)に行って各自が思い思いの時間を過ごすことが出来ることが、「終わりなき日常」を生きる人々にとって価値あるものとなるという指摘は非常に納得がいく。本書で紹介された、音楽全般やヘッドライナー以上に「フェスティバル全体の雰囲気」が重要視される調査結果が出てくるのも、こうした志向を顕著に示すものだと考えられる。

それに対し、当方がよく足を運ぶアイドルフェスなどによくある傾向だが、フェスティバルが重きを置く価値観と特定アーティストを応援する固定ファンとの相性は良くないのも理解できる。ロックフェスの「地蔵」、あるいはアイドルフェスの「最前管理」問題は、ある種の文化的衝突のようなものかもしれないと本書を読み進めながら考えていた。かと言って、フェスのスタイルを押し付けることは「ライブを見ずにまったりする」ことを良しとする志向に反するものであり、なかなか難しいとも感じた。

ー「直接的聴取」と「周辺的聴取」

また、本書の中で興味深かったのが、コンサートとフェスにおける聴取の違いである。クラシックに代表される専門劇場でのコンサートは「作品を一つの全体として理解し、各部分をその全体の中に位置づけるような構造的な聴き方」=「集中的聴取」であるのに対し、フェスでは「おもしろい風景に出くわすと目がきょろきょろするのと同じような」聴取=「周辺的聴取」であると指摘している。

たしかに、フェスにおける鑑賞・聴取はステージのパフォーマンスだけでなく、現場で発生する様々な出来事に対し、臨機応変にノリで対応し、個々の音楽体験として刻まれるものだ。よくある話だと思うが、足を運んだステージで初めて見るアーティストもいるし、たまたま他のステージで演奏しているのが耳に入ったケースなどもあるだろう。アーティストが持つバックグラウンドや文脈を知らなくても楽しむことができることもフェスらしい楽しみ方だと思う。

私見:「フェスティバル化」するスポーツイベント

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ココからは、本書を読んだ上での私見を書きたいと思う。自分はスポーツイベントにおいても、本書と同様の視点で考えることができると考えている。例えば、国内プロサッカーリーグ・Jリーグは、メディア露出が少なく、観客動員に伸び悩んだ時期においても、競技・リーグ構造を理解する「集中的観戦者」を軸に据え、各地でプロサッカークラブが誕生するリーグの拡大期を実施した経緯がある。

一方、各地域におけるプロサッカークラブ誕生に伴う「熱狂」を終えた今般においては、多くのクラブが競技上の「競争」と興行上の「観客動員」という課題に直面する。Jリーグ加盟・昇格を熱狂の頂点、あるいはボードリアール風に言えば「大きな物語」が終焉したとしても、クラブの歴史は続いていくからだ。こうした状況下、観客動員の起爆剤として、サッカーだけではない魅力を発信することで、より多くの観衆を集める努力が進めている。言うなれば「周辺的観戦」の志向を取り入れ、サッカーイベントの「フェスティバル化」が進んでいると考えるだろう。(自分が応援する川崎フロンターレは最たる事例だと思う)

ただし、競技における勝敗の世界だけに「集中的観戦」を求める層と、「周辺的観戦」を志向する観客の認識のズレが出ることがある。年数回、ネット上で盛り上がる「サポーター論」なる無益な議論が出てくるのも、それぞれの方向性の違いがなすものだと個人的には考えている(妥協点が見出せない故に永遠に答えは出てこないだろう)。

個人の意見であるが、各クラブによって違いはあると思うが、まずは多くの人に足を運んでもらうために様々な魅力を発信し、そこからチーム・競技に対する関心を高めてもらうような「復習型」の楽しみ方を提供する流れを作ることが望ましいだろう。そのためにも、既存層から「周辺的観戦」に対する理解を促すことも大事だと思うし、ヘッドライナーはサッカーにおける競技面の魅力を高め、伝えていく努力も必要だと思う。

他方、プロ野球を見ると、観戦位置で「集中的観戦」「周辺的観戦」のゾーニングが進んでおり、近年における球場のボールパーク化の動きはその流れを加速させていると言える。プロバスケットリーグ・Bリーグは、アリーナ全体の一体感を重視した「集中的観戦」がスタンダードになっているが、エンタテイメント要素との相性も良さを鑑みても「周辺的観戦」との高度な共存が課題だろう。

参加者たる個人が選択可能な多様な観戦スタイルを提供・共存できる仕組み作りは、日本のスポーツビジネスにおける1つの伸びしろであると考えている。その流れの中での「フェスティバル化」は今後も続くのではないだろうか。

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本書におけるロックフェスが作り出す「共同体」(ただし、本書では同時に継続性が期待できない「クローク型共同体」であると指摘している)と現代社会における「個人化」の関係性は、ライブエンタテイメント全般を考えていくうえで非常に重要だ。手に取る前は、社会学のレトリックがハマるかいまいちイメージできなかったが、当事者・参加者であるほど理解が得られやすい視点だと思った。研究者はもちろん、社会学の知識が少しでもあれば参加者にとっても面白い内容だと思う。

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