ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:野村克也『巨人軍論 -組織とは、人間とは、伝統とは』


巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (角川oneテーマ21)


■本書は
南海・ヤクルト・阪神、そして今年から楽天の指揮をとる野村氏。
彼の目から見た「巨人」という組織とは、巨人といかに闘ってきたのか。
野村氏の長い現役から監督時代を通して見てきた「巨人軍」について述べる。


■読み終わって
内容は「ノムさんほどの巨人研究家はいないのでは?」思うほどでした。
昨今の巨人の現状、野村ID野球、その根底にあるV9時代の巨人軍について。
そして野村氏の組織論、巨人軍の「伝統」についてを項目別に解説している。


「巨人軍はパイオニアだった」という項目で、川上野球について触れている。
V9時代の巨人は「ドジャースの野球」をはじめ、最先端の野球を取り入れた。
選手達は「球界の中心を担う」という誇りと自信を持っていたと野村氏は述べる。
根底には「アメリカ野球に追いつけ追い越せ」という伝統の精神が表れている。
昨シーズンの時代遅れの大艦巨砲主義のような巨人打線を見て、頭を抱えてしまう。


「巨人軍は常に強くあれ」「巨人軍は常に紳士たれ」の伝統もどこにいった?
この伝統への遵守こそ巨人を「球界の盟主」たらしめていたのなら、今はどうだ。
今年から巨人再生を期す、この「伝統」が復活したときこそ真の意味での再生かも。
「伝統」が未来を創造していく、という野村氏の意見に賛同せずにはいられない…。