ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記・明治安田生命J1リーグ:名古屋グランパス–川崎フロンターレ

f:id:y141:20190811094814j:image

8月10日、名古屋戦のためにアウェイ遠征。

f:id:y141:20190811094851j:image

住よし訪問から始まる名古屋戦。美味し。

◯ STUDIUM:大聖堂で行われた祭典

f:id:y141:20190811095313j:image

近年、名古屋戦は豊田スタジアムで観戦することが多い。個人的に豊田スタジアムは好きなスタジアムだ。ほぼ実家である等々力を除けば、日本で一番好きなスタジアムかもしれない。

f:id:y141:20190811095354j:image

観戦者が故に、スタジアムに機能性を求めてしまう傾向にあるが、黒川紀章が手がけた独特の風貌が堪らない。

f:id:y141:20190811095720j:image

垂直の壁に覆われた円形状のスタジアムは、古代ローマコロッセオを彷彿とさせるが、屋根を支える4本の柱の存在が神々を祀る神殿、あるいは大聖堂のようにも見える。

f:id:y141:20190811095755j:image

スタジアムに繋がる橋を歩く両クラブのサポーターは、ある種の巡礼者というわけで、サッカークラブとサポーターの関係性に妙な親和性を感じたりもする(汗)

◯ PHILOSOPHY:名古屋さんが貫いたモノ

f:id:y141:20190811095830j:image

そうした大聖堂で行われた祭典=試合は、名古屋さんの完勝に終わる。

負けた試合は世界名作劇場愛少女ポリアンナ物語』に習って「よかったさがし」をすることにしている筆者も「グランパスくんファミリーがカワイイ」「SKE48が見れた」の現実逃避気味であった。

f:id:y141:20190811100059j:image

それほどまでに、久々に心身に堪える敗戦であった。

裏目に出た強気

川崎は、復帰まもない大島選手をボランチに据え、前節はベンチ外だった脇坂選手をスタメン起用するなど、ボールを握り・動かすための編成ということがよくわかる。

同じ志向を持つ名古屋さんに真っ向勝負し、そして勝利するための鬼木監督の強気が垣間見れる陣容だと思った。しかしながら、試合前の練習時の判断か、大島選手の出場が困難となり、山村選手がスタメン起用となる。結果として、下田選手をベンチ外にして大島選手に託した強気の起用が裏目に出てしまったかたちになってしまった。

– 名古屋さんの「ボール狩り」に耐えられず

一方、序盤戦で採用していた「4ー4ー2」の並びに戻した名古屋さんは、システムというより選手配置の噛み合わせを意識したモノだと考えていた。

何故なら、名古屋・風間監督は常に「よりボールを持てる」と思うかたちを意識しているからだ。名古屋さんの前線からの積極的なプレッシングに対し、スクランブル編成で臨むことになった川崎は苦しめられる。名古屋さんのボール狩りに耐えうる強度を発揮することができず、押し込まれる展開となる。

ピッチ内でどうしてもハマらないなか、川崎イレブンはもちろん、応援する我々も「耐えたい」時間帯であったが、立て続けに2失点を喫してしまう。特に2失点目は、守備において後手に回り、完全に崩されたかたち。先制した名古屋さんに勢いと自信を与える1発だったと思います。

– 「見てきた」光景を「見せつけられる」

川崎は、後半頭から斎藤選手を投入して打開を図る。試合時間が経過するとともに名古屋さんの出足も落ち着いてきたこともあり、押しこむ時間帯を作るものの、得点に繋げることができない。ペナ外までボールを運べても、待ち構えられる状態の名古屋さんを崩しきることができない。

その状態が続いた後、決定的な3点目を失う。川崎イレブンの足は止まることなく、最後まで追いかけていたが、ボールを走らせ、ポゼッションを続ける名古屋さんから上手くボールを奪うことができずに敗戦。

f:id:y141:20190811100543j:image

昨年、ボールを奪い、握り続けることで勝ち切ってきた川崎の必勝パターンを名古屋さんに見せつけられたような光景だった。

前回対戦時に感じた、ボールを保持する技術のクオリティ差がより明確となった場面でもあった。自分たちが武器としてきたサッカースタイルを、より色濃く表現させられたことの痛みを感じた。

一方、結果が出ない中でも風間監督が志向するフィロソフィーを名古屋さんが貫いたからこそ生み出されたモノたと感じたりもする。

美しくも聞こえる響きであるが、当事者である名古屋さんからすれば10試合勝利無しという現実を受け入れるのは非常に辛かったはずだ。だからこそ今年のスローガン「貫く」という言葉の重みを感じた。

f:id:y141:20190811100648j:image

そして、勝敗を受けて両クラブがどう変化するのかは大切だと思う。敗戦を喫した川崎は惨憺たる内容を受けて、どう変化できるのか。鬼木監督のマネジメント面の苦労はもちろん理解しているつもりであるが、強気に加えて覚悟を決めて今季のフロンターレの戦い方を強く打ち出して欲しいところ。

f:id:y141:20190811100841j:image

自分たちのサッカーを貫こう!

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

観戦記:明治安田生命J1リーグ・FC東京–川崎フロンターレ

f:id:y141:20190715235933j:image

7月14日、味の素スタジアムにおいて第34回多摩川クラシコを観戦。

f:id:y141:20190716000008j:image

(味スタに集った川崎サポと魂)

首位・FC東京を追いかける我々としては負けららない一戦。

試合は激闘の末、川崎が3得点を奪って勝利を手にした。試合観戦等を通して感じたことは、以下のとおり。

WORD: ファジーカスの言葉

f:id:y141:20190716000126j:image

(限定公開された映画は盛況に終わった)

先日、映画『OVERTIME-新生・川崎ブレイブサンダース、知られざる物語-』を鑑賞した。

本作は、Bリーグ川崎ブレイブサンダースの激闘の足跡を辿るドキュメンタリー映画である。昨季のサンダースは優勝候補と言われた中地区2位、さらにPO初戦敗退という非常に厳しい結果に終わった。

輝かしい成績を讃える内容ではなく、苦しいシーズンに焦点を当てた内容だったからこそ焦り・不安を含めた偽らざる感情が伝わってきた。個人的に印象に残ったのは、日本代表のニック・ファジーカスが、チーム状態が上がらない中、選手間ミーティングで「自分たちの強みがわからなくなっている」と述べていたことだ。強いチームは勝ち方を知っており、自分たちはそれを見失っていることを説いたのだ。

ニックの発言は、自分を含めた多くの川崎ブースターが感じていたことだと思う。初年度に見せた勝負どころを抑え、勝ち切る川崎の強さが見えなくなっていたからだ。そして、鑑賞を終えた私は「今のフロンターレにも同じことを言えるのではないか?」とも考えていた。試行錯誤を続けてきた今季だが、タイトルを取るため覚悟を決めて強い姿を取り戻さねば3連覇は難しいと思った。

GAME: 鬼木フロンターレアイデンティティ

味スタでの一戦は、連覇を掴んだ鬼木フロンターレアイデンティティを取り戻した試合になったと思う。ボールを強く握り、相手からボールを取り上げ、ゴールに向けて果敢に進む川崎イレブンの姿には、並々ならぬ熱い思いが感じられた。

また、FC東京さんの「ファストブレイク」を封じることを見据えた戦い方でもあった。圧力に屈しないポゼッション、走り負けないハードワーク、そして強力な前線の個の力に対抗できる対人守備の3つをピッチ上で表現するために鬼木監督が起用した11人はミッションを完遂した。

FC東京さんに負けず劣らず、この日の川崎は憲剛さんと阿部選手を中心に前線から積極的なプレスを展開。鬼木監督の狙いも、プレスをハメられる2人を起用することで敵陣に押し込むことであり、そこを抜けた中盤でも下田・碧のボランチコンビが連動して相手の突破を防ぐ。碧のボール奪取能力が大いに活かされ、プレスの網目はギュッと細かいものとなった。

ボールを奪われても、すぐに立ち上がって取り返そうとするハードワークがチーム戦術に噛み合わせることで、良いパフォーマンスを発揮することができたと思う。最近の試合では実践できなかった、攻守でボールを握り続ける自分たちのサッカーを色濃く表現できたことは、今後の戦い方に繋げていきたい。

HEART: 中村憲剛の闘志

f:id:y141:20190716000353j:image

(試合後、歓声に応える憲剛さん)

ピッチ上の指揮官・憲剛さんが獅子奮迅の活躍が光った。メインスタンドから見た憲剛さんはプロキャリアを歩み始めた若者のようなギラギラした目をして、90分間足を止めずに全力で走り続けていた。 

かつて、憲剛さんが気持ちの入ったプレーをすると、何故か試合では空回りするケースが多かったのだが、この試合は彼の闘志がチームのエナジーに直結した。

自分は、そんな憲剛さんの姿を見て胸が熱くなった。怪我したり、試合に出れなくなると年齢的にも引退とか色々と考えてしまった。そんな不安を払拭するかのような輝きが眩しかった。まだまだ戦えることを自らの実力で証明した試合だった。

MEMORY:クラシコの記憶が両チームを熱くする

先制点、さらに後半に追加点を奪ってもFC東京さんの反撃が怖かった。前後の脈絡無く個の力で決めることができるディエゴ・オリベイラ選手・永井選手の存在があったのもそうだが、過去の対戦での記憶が残っているからだ。

y141.hatenablog.com

 味スタに限っても、嘉人さんのメモリアルゴールで先制した後、武藤選手に決められて逆転負けした記憶(2015年)もあれば、2失点後に後半3得点を奪って逆転した記憶(2009年)もある。多摩川クラシコと銘打ったことで、実際に試合で発生した現象を強烈に記憶しており、そうした蓄積が「何が起こるかわからない」という気持ちを強くする。東京サポさんも同じような気持ちで応援していたと思う。

たしかに、ローカルダービーとしての歴史は浅いかもしれない。しかし、下田さんが仰ってくださったように、激闘の記憶は着実にサポーターの間に刻まれており、歴史が浅いからこそ、見聞きしたのではなく、自らのその目で見てきた証人たちも多い。激闘の記憶を思いをぶつけ、熱い空間を作っていくことで価値は高められる。試合前の雰囲気、ピッチ上の激しい攻防は今季のJリーグを代表する試合と言える内容だったと思う。こうした名勝負製造機として今後も戦っていければと思う。

f:id:y141:20190716000451j:image

(恒例の歓喜の輪。喜びは広がる)
以上です。今季のベストゲームでクラシコを制することができた。しかし、この勝利で我々は生き残ったにすぎない。昨年の広島戦と同じだ。今ある勝ち点差を詰めて抜かなければ頂点は見えないのだから、これまでの引き分けを勝ちに変えていかなければならない。

f:id:y141:20190716000540j:image

次なる思いは1つ。一戦必勝! 

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

読了:永井純一『ロックフェスの社会学:個人化社会における祝祭をめぐって』

箱根で実施した単身読書合宿のアウトプットを兼ねて合宿中に読了した本の感想文を書いてみた。

本書は、日本におけるロックフェスの隆盛を「祝祭」と「イベント」の観点から考察を重ねたものであるが、個人的にはフェスに限らず、現代におけるライブエンタテイメント全般を読み解く上でも非常に重要な視点を与えてくれる内容だと感じた。

冒頭、著者は日本のロックフェスの定着・発展において、ロスジェネ世代が担い手であることに着目し、彼らの「バブル以降のオルタナティブなライフスタイルや価値観と共振」したのではないかという仮説を立てている。さらに、社会生活において個人化が進行したゆえに「(孤独な)個人が祝祭に現れる一般的な共同体/性を希求するという祝祭をめぐる共同体と個人化のパラドキシカルな関係性」にも注目した点も興味深い。このように、本書は90年台後半以降の音楽業界というよりも、フェスという場所=空間に関する分析が行われている。

ー なぜ、ロックフェスは「雰囲気」を重要視するのか?

f:id:y141:20190711111040j:image

自分もフジロック等は未参加ながら、モンバスやサンバーストといった野外フェスに参加経験があるので、本書で語られる一般的な音楽ライブとロックフェスの違いは概ね理解しているつもりだ。

ライブは参加者全員が同じプログラムを体験し、その一体感を味わうことで「物語」を受動的に享受するのに対し、フェスは「個人が数ある選択肢の中からそれぞれのプログラムを作成し、主体的に物語を紡ぐ」のである。ロックフェスはあれだけの動員規模を誇りながらも「個人化をそれ自体に組み込む」かたちを取っているという本書の指摘は的確だと思う。

同じ時間・空間に身を投じているが、内部において異なる出来事を体験しつつ、それでいてフェスとしての体験は共有されている。言語化されたことで気づいたことだが、こうしたフェスにおける体験の共有、年2回開催されるコミックマーケットにも通じる構図だろう。

インタラクティブ性の高さがフェスの醍醐味であり、そこ(フェス)に行って各自が思い思いの時間を過ごすことが出来ることが、「終わりなき日常」を生きる人々にとって価値あるものとなるという指摘は非常に納得がいく。本書で紹介された、音楽全般やヘッドライナー以上に「フェスティバル全体の雰囲気」が重要視される調査結果が出てくるのも、こうした志向を顕著に示すものだと考えられる。

それに対し、当方がよく足を運ぶアイドルフェスなどによくある傾向だが、フェスティバルが重きを置く価値観と特定アーティストを応援する固定ファンとの相性は良くないのも理解できる。ロックフェスの「地蔵」、あるいはアイドルフェスの「最前管理」問題は、ある種の文化的衝突のようなものかもしれないと本書を読み進めながら考えていた。かと言って、フェスのスタイルを押し付けることは「ライブを見ずにまったりする」ことを良しとする志向に反するものであり、なかなか難しいとも感じた。

ー「直接的聴取」と「周辺的聴取」

また、本書の中で興味深かったのが、コンサートとフェスにおける聴取の違いである。クラシックに代表される専門劇場でのコンサートは「作品を一つの全体として理解し、各部分をその全体の中に位置づけるような構造的な聴き方」=「集中的聴取」であるのに対し、フェスでは「おもしろい風景に出くわすと目がきょろきょろするのと同じような」聴取=「周辺的聴取」であると指摘している。

たしかに、フェスにおける鑑賞・聴取はステージのパフォーマンスだけでなく、現場で発生する様々な出来事に対し、臨機応変にノリで対応し、個々の音楽体験として刻まれるものだ。よくある話だと思うが、足を運んだステージで初めて見るアーティストもいるし、たまたま他のステージで演奏しているのが耳に入ったケースなどもあるだろう。アーティストが持つバックグラウンドや文脈を知らなくても楽しむことができることもフェスらしい楽しみ方だと思う。

私見:「フェスティバル化」するスポーツイベント

f:id:y141:20190711111201j:image

ココからは、本書を読んだ上での私見を書きたいと思う。自分はスポーツイベントにおいても、本書と同様の視点で考えることができると考えている。例えば、国内プロサッカーリーグ・Jリーグは、メディア露出が少なく、観客動員に伸び悩んだ時期においても、競技・リーグ構造を理解する「集中的観戦者」を軸に据え、各地でプロサッカークラブが誕生するリーグの拡大期を実施した経緯がある。

一方、各地域におけるプロサッカークラブ誕生に伴う「熱狂」を終えた今般においては、多くのクラブが競技上の「競争」と興行上の「観客動員」という課題に直面する。Jリーグ加盟・昇格を熱狂の頂点、あるいはボードリアール風に言えば「大きな物語」が終焉したとしても、クラブの歴史は続いていくからだ。こうした状況下、観客動員の起爆剤として、サッカーだけではない魅力を発信することで、より多くの観衆を集める努力が進めている。言うなれば「周辺的観戦」の志向を取り入れ、サッカーイベントの「フェスティバル化」が進んでいると考えるだろう。(自分が応援する川崎フロンターレは最たる事例だと思う)

ただし、競技における勝敗の世界だけに「集中的観戦」を求める層と、「周辺的観戦」を志向する観客の認識のズレが出ることがある。年数回、ネット上で盛り上がる「サポーター論」なる無益な議論が出てくるのも、それぞれの方向性の違いがなすものだと個人的には考えている(妥協点が見出せない故に永遠に答えは出てこないだろう)。

個人の意見であるが、各クラブによって違いはあると思うが、まずは多くの人に足を運んでもらうために様々な魅力を発信し、そこからチーム・競技に対する関心を高めてもらうような「復習型」の楽しみ方を提供する流れを作ることが望ましいだろう。そのためにも、既存層から「周辺的観戦」に対する理解を促すことも大事だと思うし、ヘッドライナーはサッカーにおける競技面の魅力を高め、伝えていく努力も必要だと思う。

他方、プロ野球を見ると、観戦位置で「集中的観戦」「周辺的観戦」のゾーニングが進んでおり、近年における球場のボールパーク化の動きはその流れを加速させていると言える。プロバスケットリーグ・Bリーグは、アリーナ全体の一体感を重視した「集中的観戦」がスタンダードになっているが、エンタテイメント要素との相性も良さを鑑みても「周辺的観戦」との高度な共存が課題だろう。

参加者たる個人が選択可能な多様な観戦スタイルを提供・共存できる仕組み作りは、日本のスポーツビジネスにおける1つの伸びしろであると考えている。その流れの中での「フェスティバル化」は今後も続くのではないだろうか。

f:id:y141:20190711125750j:image
本書におけるロックフェスが作り出す「共同体」(ただし、本書では同時に継続性が期待できない「クローク型共同体」であると指摘している)と現代社会における「個人化」の関係性は、ライブエンタテイメント全般を考えていくうえで非常に重要だ。手に取る前は、社会学のレトリックがハマるかいまいちイメージできなかったが、当事者・参加者であるほど理解が得られやすい視点だと思った。研究者はもちろん、社会学の知識が少しでもあれば参加者にとっても面白い内容だと思う。

ブログランキング・にほんブログ村へ

にほんブログ村

観戦記:明治安田生命J1リーグ・ジュビロ磐田-川崎フロンターレ

f:id:y141:20190703082438j:image

6月30日、磐田戦のために静岡遠征。

f:id:y141:20190703082640j:image

最近、観光地を巡るなど彩りのあるアウェイ遠征記を書いてきたが、今回は前日にアイドルイベント(ゴホンゴホン)雨の影響もあり、シンプルに「試合を見る」遠征。

◯ 雨の待機列、自分と会話する

f:id:y141:20190703082919j:image

今回は完全ソロ遠征だったということもあるが、雨風に向き合っていると「一体、自分は何をしているんだ」と我に帰ることがある。

f:id:y141:20190703083006j:image

何年も続けていることであり、しかもチーム状態は悪くない現在でも、そう感じることがある。「明日は仕事だぞ」「週末の会議に向けて頑張ることはあるのではないか」と会社員・自分が観戦者・自分を問い詰める(汗)

どちらも疎かにしない。だからこそ、足を運んでいる「今」の自分を信じようと決意を新たにする。

○ 「お気持ち」と「気迫」

自身との対話を経て強い気持ちで臨んだ試合は、3得点を奪った川崎が勝利。

直近の公式戦・札幌戦から約2週間。少し長めのインターバルを挟んでからの再開初戦ということで、序盤は攻守における噛み合わせ、そして川崎風に言えば「目を揃える」時間帯が続いた。さらに、序盤から磐田さんの気迫溢れる攻勢をモロに受ける展開となり、危ない場面も多く作られてしまった。鬼木フロンターレとしては珍しく、最終ラインで凌ぐ展開が非常に多い試合だったと思う。

その意味では、ディフェンス陣の奮闘が光る試合だった。特にフリーマン気味にピッチの至るところに出没するロドリゲス選手、爆発的なスピードで前線を駆け上がるアダイウトン選手の個の力は大きな脅威だった。ソンリョン選手の好セーブ、谷口・ジェジエウの両CBを中心に、個で負けず、局面を数で上回る守備で凌ぐことができた。最近の数試合、車屋先生の右SB起用が続いているのも、個で負けない部分を鬼木監督が重要視ししていることも関係しているかもしれない。こうしたバランス意識もまた鬼木監督らしいと思った。

- 嵐の中で輝かせない

また、リーグ戦の不信を兼ねて「お気持ち」表明を出した磐田さんはこの川崎戦にかけていた。それぐらい気迫が伝わってきた。中盤戦というより、終盤戦のような雰囲気は大槻組を再興した浦和戦を思い出した。そういう意味では、非常にやり辛い試合でもあった。

試合中、雨は止んだヤマハスタジアムでしたが、磐田イレブンとしては嵐の中のような状況。そうした中で反撃点を1点に抑え込んだこみ、追加点を奪って、試合を優位に進めることができたのは良かった。

- 「悪癖」とどう向き合うのか?

しかし、最終盤に失点をする悪癖が出てしまった。浦和戦とはまた違ったかたちのため、同じとは言い切れないが「大枠」で考えるとゲームコントロールをしきれていないケースが大半である感じた。

昨季の後半戦が顕著であったが、川崎は相手からボールを奪い、保持し続けることで危機を回避することで勝ち切る試合を見せてきた。

勝ち越しのために前がかりになって失点したG大阪戦を除き、残りの試合は相手の攻撃を受ける時間が長くなり、決壊した展開が大半だ。今回の磐田戦も守備陣が94分踏ん張ってくれただけにクリーンシートできなかったことが、非常に勿体無い。

たしかに、神戸戦のようにボール非保持の時間が長くても勝てるような試合もあったが、やはり勝つためにボールをしっかりと握ることができなければいけないと感じた試合。この点は、改めて突き詰めてもらいたいところ。

f:id:y141:20190703084017j:image
勝ち切れた試合、積み上げていこう。

f:id:y141:20190703084241j:image

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ−北海道コンサドーレ札幌

f:id:y141:20190616101425j:image

6月14日、等々力で札幌戦を観戦。

◯「Jリーグのある金曜日」を終えて

f:id:y141:20190616101440j:image

サッカー、バスケにおける攻守の切替を「トランジション」と表現されるが、サポーターも日常生活から観戦に頭のトランジションをしてスタジアムに向かっている方も多いのではないだろうか。かく言う筆者も、会社の業務を終えてスタジアムに向かう平日のナイターは、会社員から観戦者モードに頭に切り替えながら、等々力に向かっている。

f:id:y141:20190616101717j:image

定時に出れるよう必死に仕事を片付け、会社から目立たない程度に小走りで駅に向かい、最寄駅から等々力まで無心で自転車のペダルを漕ぎ続けた末に辿り着いたスタジアムの光景は、休日の観戦とはまた違った高揚感を与えてくれる。

f:id:y141:20190616101524j:image

正直な話、試合開催日に有給を取れば何ともないことなのだが、こうした感覚もサポーター生活の糧になっているのは確かだ。特に部署異動で慌ただし日々を過ごしていた今春の筆者にとって「金J」は大きなハードルであっただけに、この日の札幌戦を含めて足を運び続けることが出来たことは、ある種の達成感と「今の部署でも頑張れる」という手応えを掴めた気もする(前向き)。そうした強い気持ちを胸に座席に着いた。

◯  完成図のないパズルをどう組むか?

試合は、ダミアン・知念の2トップを軸とする敵陣強襲型の並びがハマらなかった前半に対し、悠様を投入して主導権を握った後半は対照的な内容になった。ナショナルマッチデーウィークに伴う中断後、最初の公式戦ということもあるが、PK失敗を含めて、前半の不出来が試合展開を難しくしてしまった印象を受ける。

ー「模索」から「確立」へ

中断前までの浦和戦までを振り返ると、競争原理を働かせて多くの選手・布陣を起用した「模索」の前半戦だったと思う。本ブログでも何度か取り上げてきたが、怪我人が多発した影響はあるものの、前年度の優勝チームとは思えないほど、チームの形を大胆に手を入れてきた。

現在の編成を踏まえて考えると、将来に向けた投資としての意義も大きく、チームに長年携わってきたOB監督ならではのアプローチとも言える。負けはしなかったが、勝利が「こぼれ落ちた」試合もあったことは理解しているが、それを取り戻すための成果に期待したいところである。

一方、今季の目標は3連覇を含めたタイトル獲得であることは言うまでもない。上位グループから首位を追いかける立場となった中盤戦は、前半戦の戦いを材料としてベストミックスを「確立」させたいところだ。激しい競争を繰り広げている悠・ダミアン・知念の3人をどう起用するのか?は、指揮官も大きな悩みどころだろう。

往年の鹿島さんを彷彿とさせるブラジル人+日本人の2トップはコンビネーションを発揮できず、トップ下不在の影響も感じさせるボール運びは気になるところで、それぞれの選手が結果を残したが故に最適解を見出せていないという状況である。

ー後半に見せた2つの好材料

試合後の選手コメントにおいて、途中出場の悠が

後半になってツートップは変わらなかったが、段差を作ったり、クサビのところで斜めの位置に顔を出すとか、そこは意識して入った

と述べていたとおり、受けるポイントを多く作ったことで、スムーズにボールを繋ぐことができたのは彼の働きによるものだろう。

f:id:y141:20190616101608j:image

彼の作り出した流れは、攻撃の厚みを作るための1つの材料になるのではないだろうか。

また、車屋先生とノボリの配置を入れ替えたことで右からの攻撃を組み立てられるようになったことも改善ポイントの1つだろう。ピッチ上の「漂泊者」である家長さんを生かしながら、偏りのない攻撃を実現することも継続的な課題と言えるため、馬渡選手の復帰状況によるが、次節に繋がる内容だったと思う。

鬼木監督に求められるタスクは、水色一色のジグソーパズルを組立てる作業に近い。このパズルには絵柄も無く、完成図もない。1年目、2年目に比べると、強力な戦力と目標がある=ピース数も増えているだけに完成させることの難易度は非常に難しいと思うのだが、より強い川崎フロンターレを作っていくために必要な作業だと考えている。

我らが指揮官の奮闘を後押しすることで、水色の大きなパズルを完成させる作業の手助けをしたいところだ。

f:id:y141:20190616101545j:image
バタバタした金Jが終わった安堵感と、日常から非日常に素早く切替わる瞬間の高揚感を味わえない寂しさを覚えながらスタジアムを出た。こうした日々を楽しく振り返るためにも、改めて気持ちを込めて応援できればと思いながら、等々力に足を運んだ若くないピーターパンは等々力ネバーランドを後にした。

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ−浦和レッズ

f:id:y141:20190602212820j:image

6月1日、等々力で浦和戦を観戦。

f:id:y141:20190602212854j:image

長距離遠征を終えた後のホームゲームは、実家に帰ってきたような安堵感に包まれる。さらに、初夏の陸前高田ランドが早すぎる夏祭りの雰囲気も持ち込んでくれました。

f:id:y141:20190602212916j:image

今回も楽しすぎて「戦いの中で戦いを忘れた」(某・青い巨星風)気もしなくもない。♪祭り大好き愛の街の住民だから仕方ない(多分)

「勝手に8月気分」の6月最初の試合を観戦して感じたことは、以下の通りです。

〇 「気持ち」を入れる男

アディショナルタイムを迎えた大槻組の「組員」たちの姿には、まるでシーズン終盤の残留争いでも見ているような鬼気迫るものがありました。試合終盤に限らず、試合を通じて、連敗中のチームを戦う集団に変えるだけの大槻新監督の求心力の高さを感じさせる戦いぶりであったと思います。

headlines.yahoo.co.jp

Jリーグの歴史において、髪型に脚光を浴びた監督は大槻監督が初めてだとが思いますが(汗)自分だけではなく、選手の心中のスイッチを入れたかたちになったのではないでしょうか。試合序盤に見せた猛烈なプレッシングと怒涛の攻勢は、スイッチが入ったイレブンが見せた「強い気持ち」を色濃く表現されたプレーであったと思います。

f:id:y141:20190602213335j:image

「解任ブースターなど無い(キリッ」と自分に言い聞かせて試合に臨んだ自分ではありますが、大槻監督がチームをブーストさせる能力を持ち得ていることを改めて証明させられる試合だったと思います。

〇 「どっちつかず」から生まれた綻び

ハイプレスを活かして猛攻を見せた浦和イレブンの狙いは先制点を奪い、最少得点でリードを守りきることだったと思います。出足の鋭いハイプレスは90分維持できるペース配分ではないと思っていただけに、早い時間帯に何とかしてこじ開けたかったのではないかと思います。

その意味では、序盤こそモロに受け身になってしまった川崎ではありましたが、徐々に相手のプレスを回避し、無失点で折り返すことができた点は良かったと思います。

一方、監督就任から短期間で臨んだ浦和さんとしては、細部が突き詰めることができなかったこともあり、プレッシングの代償となる組織面の脆さを運動量でカバーしながらのプレーになりましたので、運動量が落ちてきた後半に川崎が圧倒する展開に持ち込むことができました。

ダミアン選手の先制点を奪い、2点目も狙わんとする流れでチャンスを決め切れなかったことが悔やまれます。それでもなお、リスクをかけて攻めてきた浦和さんの攻勢を凌ぎ、チャンスを作ることはできましたので、終盤まで「追加点が取れそう」という雰囲気が漂っていました。

www.frontale.co.jp

その一方、鬼木監督の試合後会見の言葉を借りれば「気持ちのところでどっちつかず」の状況が、結果として最後の詰め方を曖昧にしてしまったと思います。

私見ではありますが、鬼木監督が終盤に切ったカードは、安易に引くのではなく、相手陣内に押し込んで勝ち切ろうというかたちであったと思います。初勝利となった松本戦以降、同様のコンセプトで勝ち切ってきましたし、今回の試合でも、アディショナルタイムに入ってもアグレッシブに前に出ることでボールを取り上げることはできました。

しかし、「どっちつかず」という状況が「試合を落ち着かせる」選択肢を曇らせてしまいました。バスケで言うところのストーリング、時計を進めるかたちに持ち込めるだけのポゼッションもできるチームです。勝ちきるため、あるいはACLのアウェイにおいて、どう戦うのかをチームとして選択できなければならないと痛感させられた試合だったと思います。

〇 突き付けられた課題を解決するために

試合後、アディショナルタイムの失点が今季5度目だと知りました。ただし、5回ともシチュエーションが全然違うことから、単純な失点癖と考えることができないとは思いますが、チームが抱える課題であることは間違いありません。

今回のコメントを読むと、鬼木監督はピッチ上にいる選手たちの力で乗り越えて欲しいと考えているのだと感じました。ピッチ上にいた大島、谷口、あるいはノボリが声をかけて、難しい局面をどう乗りきるかを考え、実践できるようにならなければいけないのではないでしょうか。

もちろん、細かく指示することが監督の役目とも考えられると思いますが、ピッチ上で発生するあらゆる事象を解決するのは選手たちではありますので、長い目でチームとしての成長を考えると必要なことだと思います。より強いチームとなるために、今回の引き分けを気づきにして欲しいと思います。

f:id:y141:20190602213229j:image

以上です。シーズンの約3分の1を終えて2位。序盤の苦戦を踏まえると、何とか持ち直せたという印象です。ACLを含めて、非常に多くの選手を起用し、ポジションを激しく競わせたことで残り半年のシーズンを戦う下地ができたという手応え、今回のように勝ち切れなかった試合をどう勝てる試合に変えるという課題があります。

前者の感触を確かなモノへと変えていくこと、後者をチームとして解決することがリーグ3連覇、目標とする複数タイトルの獲得に向けて大切になってくると思います。勝負はこれからです。大槻監督がそうであったように、気持ちのスイッチを入れなおして、次なる戦いに臨めればと思います。

f:id:y141:20190602213248j:image

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村

観戦記:明治安田生命J1リーグ・大分トリニータ-川崎フロンターレ

f:id:y141:20190528075712j:image

自堕落な学生生活を終えて社会人になって大きく変化したことは、寝坊に対する恐怖心だと思う(汗)5時間睡眠で目が覚めてしまう今の状況を踏まえると、無限に眠れていた自分が別人のように感じることがあります。

入社以降、寝坊で遅刻したことは皆無であるが、寝坊で大きな失敗を経験したのが6年前の大分遠征でした。

2013年の大分遠征は、成田空港発のLCCの早い出発便に間にあわせるため、始発電車で向かうことが求められていました。「寝なければ、寝坊しない」と考えた筆者は徹夜作戦を決行するも、見事に玉砕=寝落ち・・・・。

結局、予約したLCCをキャンセルし、当日乗れる別の飛行機を見つけて羽田から向かうことになりました。嘉人さんの劇的な決勝ゴールで勝利していなかったら、本当に辛い記憶と負の経験だけが残る遠征だったと思います。

f:id:y141:20190528080728j:image

そうした苦い記憶を思い出しながら、大分へと向かいました。。

◯ VISIT:由布院で豊後牛と温泉を堪能

f:id:y141:20190528081100j:image

6年前の遠征は観光する余裕もなかったのですが、今回は観光を兼ねた遠征となりました。

f:id:y141:20190528081034j:image

開幕前、旅程策定を進めていた時に「どうせ大分に行くなら由布院に行けば?」と母親に言われたことを契機に由布院をチョイス。昨年足を運んだ長崎もそうでしたが、何回も足を運びたいと思わせる潤沢な観光資源があることを感じさせます。

f:id:y141:20190528081146j:image

昼前、高速バスで由布院に到着。

f:id:y141:20190528080952j:image

流石、大分を代表する観光地ということで海外からの団体客を中心に午前中から多くの人で賑わっておりました。

f:id:y141:20190528081312j:image

ほとんどノープランでしたが、徒歩で金鱗湖に向かい、湖畔にある「マルク・シャガールゆふいん金鱗湖美術館」を鑑賞。

f:id:y141:20190528081228j:image

作品展示は少なかったのですが、久々の美術館鑑賞でテンション高。美術館では「サーカス」を題材にした作品が展示されておりましたが、宗教画と同じような立ち位置でサーカスやピエロを描いていたのが印象的。

f:id:y141:20190528081431j:image

併設するカフェが実におシャンティ。注文したプリンが美味。

f:id:y141:20190528081450j:image

昼食は、由布院駅前の『由布まぶし心』で「豊後牛まぶし」を食す。

f:id:y141:20190528081512j:image

豊後牛を使ったひつまぶしという一品。そのまま食べて美味し、タレや薬味と食べて美味し、だし汁のお茶漬けで美味し。変幻自在の攻撃で胃袋のゴールネットは揺れまくりました。豊後牛の美味さを知ることができたことは、今回の大きな収穫でした。

f:id:y141:20190528081544j:image

宿泊は、由布岳のバックに臨むホテルへ。ココで天然温泉を堪能。由布院温泉は、単純温泉アルカリ性単純温泉の割合が多いらしく、自分がサウナなどに行くときに使う表現を使えば「体に馴染む」温泉でした。

f:id:y141:20190528081607j:image

天気が良く、気温も高かったので、露天風呂には丁度良かったです。結局、昼・夜・翌早朝と風呂三昧な宿泊でした。

◯ STUDIUM:「一生に一度」を迎えるスタジアムと「ハジメマシテ」

f:id:y141:20190528081646j:image

2日目、鉄道で由布院から大分へ。

f:id:y141:20190528081713j:image

6年前は絶賛工事中だった大分駅は素敵な空間になっておりました。

f:id:y141:20190528081758j:image

トリニータ掲示物、窓口の駅員さんもユニ着用と決戦ムードが高まります。

f:id:y141:20190528081822j:image

シャトルバスで試合会場の昭和電工ドーム大分に向かう。日本代表イレブンも到着が遅れたサッカー国際親善試合の大渋滞が記憶に新しいですが、本年のラグビーW杯の会場の1つでもあります。

f:id:y141:20190528081909j:image

大分では、優勝候補である「オールブラックスニュージーランド代表、「ワラビーズ」オーストラリア代表も登場する注目の試合も多く行われます。開催まで200日をきった「一生に一度」の大会、今から楽しみです。

f:id:y141:20190528082001j:image

少し早く到着したので、会場外のニータンステージを観覧。

f:id:y141:20190528082039j:image

直前にイベント情報を知ったIQプロジェクトのアイドルユニット・HelloYouthさんのミニライブ鑑賞。結成1年未満ながら素敵なパフォーマンスでした。

f:id:y141:20190528082109j:image

スタジアムに入場する瞬間というのは非常にテンションが上がるのですが、昭和電工ドーム大分はガンダムシリーズに登場するスペースコロニーを彷彿とさせる屋根部分の形状がたまらない。よくもジーンを!(ジオン軍目線)

◯ MATCH:自分たちの「青」を競う

f:id:y141:20190528082206j:image

単なる「昇格組との対戦」ではなく「上位直接対決」となった試合。

シーズン開幕から約3ヶ月。大分さんが上位にいるのは、積み上げてきたサッカースタイルをJ1仕様に強化し、戦いの中で磨き上げてきたからだと思います。そういう意味では、今回の対戦はスタイルの激突という構図になりました。

試合は、間合いを詰め、鍔迫り合いをしながら、己の得意とする形で一本を取りにいくような緊張感のある試合展開でした。観戦を通じて感じたことは、以下の点です。

− 「横幅」と「斜めのパス」

大分さんは、自陣からボールを繋ぎ、ポゼッションを志向する部分は川崎に共通する部分はありますが、攻撃のアプローチは大きく異なります。実際にスタジアムで観戦して印象に残ったのは「横幅」と「斜めのパス」の2点です。

大分さんのWBは、攻撃時にライン側に立っていることに気付かされます。そして、ビルドアップ、あるいはサイドチェンジを通じて、WBの選手たちにボールを預け、サイドを起点に攻撃を仕掛けている場面が多く見られました。WBがライン側に立つことで生まれるハーフスペースにボランチとシャドーの選手が入ります。ゴル裏から試合を見ていて斜めのパスが多いと感じたのは、ボールを敵陣に運ぶ際、隣のレーンに立つ前の選手に向けてパスを出しているからだと思いました。各選手の位置関係と動きが整理されているからこそできる動きであり、大分さんのディティールが凝縮されている部分だと感じました。

− 鬼木セレクション

序盤の展開を踏まえ「横幅」を使う大分さんのサイド攻撃をいかに抑え込むかが試合の鍵になると感じていました。だからこそ、左サイドでプレーした登里・長谷川両選手の守備での奮闘が光りました。ボール保持者への厳しいチェック、数的不利状態のカバーリングなど、難しいタスクをやり切ってくれました。

ただし、大分さんもディフェンスを剥がして川崎陣内に仕掛けたり、ロングフィードから一気に速攻を狙われる場面も。谷口・ジェジエウ両選手が随所存在感を見せる働きを見せてくれたかと。ジェジエウ選手は大分さんの圧力に苦しめられた印象ですが、時間の経過とともにバタつきが減り、最終ラインの防壁となってくれました。

また、ダミアン選手の1トップ起用も守備面において、良いチョイスだったと思います。ダミアン選手といえば、前線からの猛烈なプレスが1つの特徴として認知されつつありますが、この日も機会を見ては猛ダッシュでGK・最終ラインに圧力をかけていました。

GKを起点に丁寧に繋ぐ大分さんとしては、猛プレスは嫌がったと思います。連動性は低かったものの、ダミアン・脇坂・長谷川といった選手たちが前から奪いにいく圧力がビルドアップの精度を落とすことに成功。相手が嫌がる守備をすることができたと思います。

f:id:y141:20190528133732j:image

相手の持ち味を消しながら、自分たちの良い部分を押し出す。鬼木監督の起用と川崎イレブンの奮闘の双方があって達成できた大きな勝利だったと思います。

f:id:y141:20190528133750j:image

もちろん、先制点を奪えたことで後半の戦い方を上手く運べたという視点は忘れてはいけませんし、大分さん側のコメントを拝読すると課題と手応えの双方を掴んだ試合だと思います。7月の再戦は今から楽しみであり、新たな名勝負数え唄を予感させます。

f:id:y141:20190528133813j:image

にほんブログ村 サッカーブログ 川崎フロンターレへ
にほんブログ村