ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・横浜Fマリノス-川崎フロンターレ

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4月8日、日産スタジアムマリノス戦を観戦。

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神奈川ダービー、そこは当事者たちの様々な思いが交差する「感情交差点」。

試合は、家長選手と中沢選手のゴールで引き分け決着。試合を振り返って感じたことは以下の通りです。

〇 勝てなかったのか?負けなかったのか?

試合終了と同時に「勝てた」と「負けなかった」の2つの感情がこみあげきました。序盤から試合を優位に進め、多くの決定機を作りながらも無得点に終わった前半を振り返れば勿体ない試合でしたが、何とか先制したものの同点に追い付かれ、明らかな「攻め疲れ」を見せて苦しい展開に陥った後半は、斎藤選手の投入で息を吹き返し、引き分けに持ち込んで負けパターンを回避した試合だったと思います(マリノスサポさんも逆の状況で同じ印象を受けているかもしれません)。

悠様が欠場したフロンターレは、知念選手を起用。ハイラインの相手を押し込む前線の起点となり局面の馬力で突破を果たすなど、期待通りの動きは見せてくれましたが、決定機を決めきれず。「決めてくれれば」と思いながらも、ストライカーに必要な決定機に「絡む」段階まで到達している成長段階を評価したいと思いますし、今後の糧になりえる試合としてほしいところです。

また、終盤は人数をかけて攻めた後の戻りが本当にキツイ状態でカウンターを受けやすい状態に陥りましたが、ソンリョンさんをはじめ、守備陣の気迫で乗り切ったのは本当に頼もしかったです。

前半であれば大津選手、後半はウーゴ・ヴィエリラ選手の決定力に助けられた部分は多々ありますが、悪い流れを凌ぎ切った粘りに助けられたと思います。今季はACLの終盤に失点する場面が多く、現時点でも悔しい思いも多くしたはずですが、この粘りが一番チームに必要だと思っていただけに、次戦に繋がることを願っています。 

〇 似て非なる攻撃スタイルの激突

フロンターレマリノスの試合は、「攻撃」と「守備」の真逆のフィロソフィーを積み上げてきたクラブの激突であると認識してきました。「スクランブルアタック」「ちゃぶる」等、約5年単位でマリノスも攻撃的な姿勢を見せてきましたが、鉄壁の守備で相手を封殺する守備が最大の強みとして機能してきたことは言うまでもありません。

しかしながら、本年のマリノスはCFG(シティ・フットボール・グループ)の強化戦略の一環として、攻撃的なサッカーを志向するチームへと進化しようとしています。実際に現地で観戦した印象としては、想像以上に浸透していることに対する「驚き」と今後の積上げに対する「難しさ」の2つの印象を受けました。

今季のマリノスの戦術の手本となるのは、グアルディオラ監督率いるマンチェスターシティです。開幕当初から注目された「偽SB」、GKがフィールドプレーヤーと同様にビルドアップに参加するアプローチも、彼が各国のビッグクラブを指揮する中で体系化してきた戦術です。

偽SBの役割を担った中山選手は、中央に絞ってボールを受ける動きを繰り返すことでサイドから攻撃を組み立てる重要な役割を担いました。また、前半に見せた、プレッシャーが受けにくいハーフスペースからボールを運んでチャンスメイクする等、多岐にわたる働きを見せたことで、試合を通じて印象に残るプレーヤーでした。

また、一番苦労しているだろうと感じていた、中沢選手と飯倉選手の適応度は予想を大きく超えるもので驚かされました。特に、タスクが大幅に増えた飯倉選手は、ハイラインを支えるビルドアップ参加は苦戦していましたが、局面の「投げる」「蹴る」の判断が的確で良い繋ぎを何度も見せていました。

フットボールネーション 10 (ビッグコミックス)
 

丁度、『フットボールネーション』のGK回で取り上げていました、ゾーン別の判断を思い出していました。そして、シティのGK・エデルソンを彷彿とさせるミドルレンジのキックは相当練習されていたのではないかと。2選手とも、確固たるプレースタイルを持つベテランでありながら、その貪欲さは素晴らしいと素直に感じるプレーでした。

一方、試合を見ていて、戦術浸透が進めば、ポゼッション率は現在以上に高い割合をキープできると思いますが、肝心の「どう」得点を奪うのか?というチームとしての課題が垣間見える試合だったと思います。ポジショナルプレーにおける位置的優位性を下地に、シティ戦術を体得することで再現性の高いプレーを連続できると思いますが、局面の状況、対峙する相手は異なることからも、得点力を高めるためには様々な工夫とディティールが求められると思います。 

マリノスに限らず、ポステコグルー監督の豪州代表と対戦した時もそうですし、川崎・名古屋を含めたボールを保持することを前提としたチームに共通する課題であると思います。

〇 横浜を沸騰させた「川崎の星」斎藤学

終盤10分間、マリノスのキャッチコピーを借りれば、スタジアムが沸騰していました。私自身、今までに記憶にないくらい、物凄いテンションで応援をしていました。興奮の渦の中心にいたのは、この試合が半年ぶりの復帰であり、移籍後初出場となった齋藤学選手です。彼の投入前後の一進一退のオープンな攻防の影響もありましたが、両クラブのサポーターの感情をあそこまで引き出したということは、選手の存在がいかに大きいモノかと感じる試合だった。

正直、練習試合の映像ベースは「まだまだ」という印象も感じていただけに、彼が見せた局面の仕掛け、チャンスメイクだけ見ても鬼木監督の判断が的確であったことを強く感じさせられました。

当面は、10~20分の限られた時間の中で感覚・試合体力を戻していく段階であると思いますが、現在のレギュラー陣を脅かす存在になる可能性を大いに感じさせてくれました。焦ることなく、着実な歩みを進めてもらいたいところです。

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以上です。マリノスは今までとは違う形で手強い相手に進化しつつあり、我々も成長の足並みを止めず、さらに強くならねばならないと感じさせる90分でした。

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