ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記・天皇杯:サガン鳥栖‐川崎フロンターレ


■ 勝てば天国、負ければ地獄の一発勝負
天皇杯の準々決勝の応援のため、ベストアメニティスタジアムに行ってきました。09年以来のベスト8進出、悲願の初タイトルを伊藤宏樹選手に届けるために絶対に負けられない戦い。対戦相手のサガン鳥栖はシーズン途中の的確な補強で守備を強化し、終盤は上位陣を次々と打倒していった強敵。川崎も今季2戦2敗している相手と苦戦が予想されました。
結果、延長戦の末に鳥栖に敗れてトーナメント敗退してしまいました。正直、頭の中で整理できていないところがありますが、この試合で川崎側で気付いた点は以下の3つです。

○ 急造チームで臨むという不測の事態
私は正直、試合前の事態を受け入れることが出来ませんでした。発表されたスタメンは前週のFC東京との練習試合に出場したベストメンバーからは大きく陣容が異なり、サブメンバーに至っては久々にベンチに入った選手も少なくなかったほどです。一体、2日前から何があったのかと思うほど、流石に私も動揺しました。さらに追い打ちをかけるように大島選手が直前の怪我でスタメンを外れるという事態に。このような言葉を使うことが正しいとは思えないですが、悪夢のような光景でした。
そうした予測外の事態に対して、選手たちの方が本当に粘り強く戦ってくれたと思います。伊藤選手は普段守る機会もなかった左サイドバックでのプレイを不慣れながらこなしていて、正直その姿を見てるだけで泣きそうになりました。また、直前でスタメンに入ることになったアラン選手も久々の公式戦にも関わらず、サイドからドリブル突破を見せてくれました。彼の頑張りにも胸を打ちました。
しかし、そうした頑張りだけで鳥栖相手に勝利を得るには難しかったことも事実。やはり、この点は悔やむべき部分です。

○ 人とボールを「繋ぐ」大島選手の不在
上記の事態に加えて、私が大きな痛手と感じたのが大島選手の不在です。リーグ終盤戦に大島選手がピッチに復帰がチームにもたらしたものは本当に大きいと思います。派手なプレイこそないですが、ボールホルダーのフォロー役、中継役として使われることでボール保持とパスワークのクオリティが上がったのは見ていた感じました。
たしかに大分戦がそうであったように、粘り強い守備では持ち味を発揮できるかはわかりませんが、ボールの動きに変化を付ける役が欲しかったというのは正直なところです。

○ 最後の最後で浮かび上がったポストプレイヤー不在
延長戦でリードを許したところで風間監督は中澤選手を入れてロングフィードを入れて、前線にジェシ選手を置いてポストプレイに張らせました。今季は同じような状況で伊藤選手が投入されたことがあったと思いますが、担い手がいない中での苦肉の策だと思います。ナビスコカップ準決勝の第2戦がそうであったように、ピッチ上の制空権を支配されると攻撃の第一歩で躓いてしまいますし、劣勢を盛り返すのは厳しいです。
大久保選手のCF起用でシーズン当初と状況は変わってきましたが、敵陣で体を張れるポストプレイヤーの不在が最後の最後で響いてしまったと思います。来季を見据えて、今一度補強ポイントとして考えていく必要があると思います。

■ 今シーズンの公式戦を終えて
シーズン総括は改めて書ければと思っておりますが、この試合の中でも1年間の中で積み重ねてきたものを引き出していく姿勢と状況に応じた判断を行いながら試合を進めていこうとする柔軟性は垣間見れたと思います。準備を進めてきたものが、ほぼ無効となり、コンディションや試合勘にバラつきがある中でも、延長戦の終りまでは大きくバランスを崩さず戦えたこともまた今のチームの完成度ではないかと私は考えています。
もちろん、この結果に満足はしていません。今季においても何度目かの勝負所で負けたわけですし、勝負強さという点ではまだまだだと思います。しかし、こればかりは積み重ねだと思います。宏樹さんが歩んでこられた歴史を積み重ねて、来季こそ栄冠をつかみたいです。