ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記・高校サッカー:第92回 全国高校サッカー選手権大会2回戦


■ 超満員のフクアリで繰り広げられた熱戦
フクアリで選手権2回戦を観戦してきました。近場の等々力や駒沢でも開催されている本大会ですが、高校総体を制した市立船橋、エース・小屋松君擁する前大会準優校・京都橘、そして王国・静岡を代表する名門・藤枝東の登場するこちらの会場をチョイスしました。実際に会場に行ってみると予想を超える観客数に驚きました。当日券には長蛇の列、第1試合は立ち見客も多く、選手権の人気を改めて感じるかたちになりました。
観戦した2試合の雑感については、以下のとおりです。

○ 第1試合:中津東(大分県)-市立船橋(千葉県)
夏の高校総体を制覇し、同大会(予選・本選)ならびに選手権予選で流経大柏を破った市立船橋は、今大会の優勝候補筆頭と言われております。それだけに、戦前は市船ペースでの試合展開が予想していましたが、実際には中津東が優位に試合を進めていたと思います。
中津東は守備に重点を置き、守備時には市立船橋のフリーの選手をなるべく作らないようにマークしていたのが印象的でした。球際でもしっかりとボールを取りにいく姿勢を崩さず、奪ってからはサイドのスペースにめがけて長いボールを送り、一気にゴールに迫るカウンターを繰り出していきました。以上の中津東の狙いがキッチリとハマって、市立船橋の前半はほとんど決定機を作れませんでした。
後半に入ると市立船橋が攻勢を仕掛ける場面が増えましたが、それでも中津東の堅守を崩す場面は見られず。しかし、中津東もこれだけの守備をしている反面、攻撃に人数を割けず、決定機を創出することができませんでした。
試合が動いたのは後半30分に近づいた時間帯、市立船橋がファウルでペナルティエリアから少し離れた位置で得たFKを直接決めて先制。与えたファウルも抜ければビッグチャンスになるところだっただけに、致し方ないものでした。試合は終盤、中津東が前に出る場面も見られましたが、ボールを回してしっかりと時間を使った市立船橋が逃げ切りました。
中津東はあれだけ守備で相手を封じていただけに相当悔しかったと思います。市立船橋の朝岡監督が「ホッとしました」とコメントされていましたが、まさにそのような内容だったと言えるでしょう。本当、こうしたトーナメントの初戦は本当に難しいと感じました。

○第2試合:京都橘(京都府)-藤枝東(静岡県)
前大会得点王・小屋松君を擁する京都橘と激戦区である静岡県予選を突破した名門・藤枝東の対戦。藤枝東の藤色の応援マフラーが各所で見受けられるなど、独特の雰囲気も漂う一戦でした。攻撃面での見せ場の多い、非常に濃度の高い80分でした。
京都橘は2トップの小屋松君と宮吉君にいかにボールを繋いでいくのかという視点で見ていましたが、2人の呼吸もさることながら、小屋松君自身が注目選手として述べていた2年生の中野君をはじめ、周囲の選手との関係性も非常に良く、高い連動性のある攻撃が見られました。一方、藤枝東はロングボールを織り交ぜながら中盤ではショートパスで相手ゴールに迫りました。技術の高さを感じるとともに、このパスワークに京都橘も終盤まで苦しめられたと思います。
それでも優勝を目指す京都橘は強かったです。先制点はセットプレイから、一度は弾かれるもののもう一度組み立てなおして宮吉君のクロスに林君がヘッドで合わせたもの。2点目はサイドでドリブルで前線に進んだ小屋松君が絶妙なボールを送って、途中で入った赤澤君のファーストプレイで押し込んだもの。先述の2トップと周囲の選手の連動性がわかる素晴らしいゴールでした。
また、この試合の流れを左右したのが2本のPK。いずれもキーパーの好守で失敗に終わりましたが、どちらかが決まっていれば流れもスコアも大きく変わっていたのではないかと思いました。改めて、サッカーのワンプレイの大きさを感じることになりました。


それぞれの思いが交差する選手権、それを見ていて胸が熱くならないわけがありません。