ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:川崎純情小町☆生誕5周年スペシャルワンマンライブ! in クラブチッタ

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昨日は、川崎クラブチッタで開催された川崎純情小町☆さんのワンマンライブを鑑賞。開催を耳にしてから数か月、ついに迎えたワンマンライブ。最後は涙をこらえるほど、大変素晴らしいライブとなりました。

 

〇 500/583

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(5月4日の川崎フロンターレのイベント。筆者はこの時、ワンマンライブの情報を知る。)

ユニット生誕5周年記念にして、ユニット史上最大の挑戦となった今回のワンマンライブが発表されたのは今年4月。

自分自身、アイドルファンとしてライブを見るようになってから、イベント・ライブの観客を1人増やすことの難しさを何度も痛感してきたことから、今回のワンマンライブの「事の重大さ」は理解していました。正直、「どうすれば500人のように見せられるか」という視点で考えていた時期もありました。

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(10月9日「ちくさんフードフェア2016」のミニライブ。開催5日前)

しかし、今日までに至るまでの約半年間、地域のイベントやライブイベントの出演を重ねながら、ワンマンライブの告知を行い、地道にライブチケットの手売り販売を続けていきました。

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(ファンをはじめ、グループに関わりのある多くの人たちから花束が寄せられた)

小町組(川崎純情小町☆ファンの呼称)の方々はもちろん、対バンイベントの物販で他のアイドルグループのファンの方が手に取ってもらったり、あるいは地域のイベントで彼女たちを見かけた人が購入してくれたり、その経緯は自分が知る限りでも十人十色であったと思います。

こうした彼女たちの努力もありまして、開催に向けて事前準備した500枚の手売りチケットを売り切り、当日には「583人」(公演中の発表)の観客がライブに集まりました。数字上の単純計算で考えれば、500/583=「約85%」が直接彼女たちからチケットを購入したことになりますし、数字を聞いた瞬間、鳥肌が立ちました。

メンバーが「1人」を積み重ねた結果ということを考えれば、本当に物凄い数字だと思います。

〇 文化祭のような「一体感」

583人の観客が見守る中で繰り広げられたライブもまた本当に素晴らしかったです。普段は見られないような豪華なレーザー演出が展開されたかと思えば、募集したキッズダンサー、川崎フロンターレのマスコット・ふろん太、3R推進事業キャラクター・かわるんと一緒に「好きです川崎愛の街」を披露したり、ファンの方々が企画して展開した演出があったり、洗練された側面だけでなく、手作り感に溢れるライブだったと思います。

また、ステージに限らず、開場前の物販には、同人誌等の印刷を手掛ける「ねこのしっぽ」の方々がヘルプに駆けつけ、動物ドーナツでお馴染みのいくみママがオリジナルドーナツを販売され、ふろん太が気合を漲らせていたり(汗)、まるでフロンパークのような光景を目の当たりにしました。

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ふろん太もワンマンライブに駆けつけた。開場前からこの気合の入り方)

ライブの盛り上がりを評するときに「一体感」という言葉を用いますが、今回のライブに関しては、川崎という地域に関わりのある多くの人々の文字通りの「連帯」を感じさせる内容だったと思いますし、当事者意識を感じながら1つの目標に向かっていく熱気は学生時代の文化祭を思い出しました。

 

〇 アイドルという物語

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(開場前のクラブチッタ。普段のイベントとはまた違ったムードが漂っていた)

アイドルが作り出す「物語性」は、ムーブメントをフォローする者にとって1つの魅力だと思います。そのような物語が紡がれる瞬間は、刹那的なものであるからこそ貴重であり、例えば、アイドル映画・写真集といった媒体は補完装置としての役割を果たすことにより、作品である以上の価値観を付与することになると私は考えています。

ライブ活動を主体とするアイドルが、物語を紡ぐ場はライブです。ライブやイベントは企画されるものではありますが、演者である彼女たちが紡ぐモノは筋書きの無い物語です。何故ならば、物語を書くためには、ステージから見える人たちが必要だからです。グループに関心を持ってくれるか、ライブに足を運んでくれるのか、それはステージを見ている人たちに委ねられています。そのため、思った通りの展開にならなかったり、今回のように自分たちの目標を超える素晴らしい結果を生み出すこともあります。

だからこそ、アイドルが作り出す「筋書きのない物語」は、「皆で作る物語」なのだと思います。その意味でも、昨日のクラブチッタは、アイドルが作り出す物語性が凝縮された素晴らしい空間だったと思います。そして、川崎純情小町☆の物語は続いてきます。物語の熱心な読者であり、製作者の一端を担う立場として、今後も携われていければと思いました。「やっぱり小町が好きだから」。

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映画が描いたメディアの現場

https://www.instagram.com/p/BLQa93xlSzT/

(現在公開中の『SCOOP!』。ポスターも写真週刊誌風である)

最近はダラダラと『firmarks』に感想を書いておりまして、本ブログでは久々に映画に関する記事を書きます。自分は、邦画・洋画問わず「見たい」映画を見ているのですが、媒体も時代も異なるメディアを題材にした作品が興味深く、面白かったので感想をまとめて紹介できればと思います。 

 

1.『スポットライト 世紀のスクープ』が描いた新聞記者の本質

スポットライト 世紀のスクープ』は、ボストンの地元新聞・ボストングローブのコラム記事『スポットライト』チームの記者たちが、地元のカトリック教会の神父たちによる性的虐待の疑惑を追及していく事実にもとづく物語。

表題『スポットライト』は、本作の記者たちの担当ページの名称でもありますが、マイケル・キートン演じるリーダーが述べていたとおり、本作で追及された事件と記事の関係性こそ、暗闇の中に投じた1つの光=スポットライトのような存在であったことから、まさに本作が取り扱ったテーマそのものを表していると思います。

一方、事件を追う記者たちの姿を通じて、新聞記者という仕事にもスポットライト=注目が集まったと思います。自分が印象的だったのは、徐々に明らかになる事件のスキャンダラスな側面に対して、彼らの仕事ぶりは一層と辛抱強さを求められる地道な作業を必要以上にアクセントを付けず映し続けたことです。

取材時において、カバンから取り出したノートとペンでメモを取る場面、記者たちが街中を行き来するシーンは作中で何度も見られますが、自分の足で稼いで、直接話を聞いて、記事として文章に書き起こす、といった新聞記者の職業の本質を強く感じされられました。

本作の公開に当たり、日本の某大手新聞がコメントを出しておりましたが、昨今の誤報等の問題を鑑みると、偉そうなことを言えるのか、と疑問を呈するところがあります。

難しい局面にも辛抱強く取組んでいくこと、仕事のスピード感の中でも丁寧さ・慎重さを見失わないこと、そして最後の締切を守ること、業務内容は全く違いますが、個人的には、1人の社会人として彼らの仕事ぶりに共感する場面も多々ありました。今年のベスト映画の1つでもあり、仕事で悩んだときに見返したい映画になりました。

 

2.『ニュースの真相』に象徴されるメディア環境の変化

『ニュースの真相』(原題は『TRUTH』)は、ブッシュ前大統領の軍歴詐称疑惑を巡るニュース報道の顛末を描いた実話に基づく作品。ケイト・ブランシェット様、ロバート・レッドフォードの2人が主演の割には公開する劇場数が非常に少なかったのですが、メディアを取り扱った作品としては良作だったかと。 

同作品も『スポットライト』と同様、取材チームが足で稼ぎ、メモを取り、報道が世間に届けられるまでの取材者(製作者)の苦労を軸に描いております。一方、本作の舞台がテレビ報道であり、そうした現場だからこそ起こり得る「時間との戦い」の存在を随所に感じさせつつ、細かいカット等を駆使してテンポ良く、スピード感のある描き方をしていたことが印象に残りました。

本作の見所は、その先にあったニュース報道の「崩壊」を描いた点です。もしかしたら、20世紀までのメディアであれば、物語はニュース番組が放送された時点で終わっていたかもしれません。ただし、本作の舞台は2004年ということで、現在ほどではないにしろ、個人の発信力が強まってきたインターネットという新たな情報メディアの存在が登場します。

ネット発信の指摘がニュース報道を揺るがし、火消しが追いつかないレベルに「炎上」していく姿は強烈なインパクトを感じました。さらに、ケイト・ブランシェット演じる敏腕プロデューサー(本作の原作者にもあたる)が精神的に追い詰められていく様が連動するように映し出されることで撤退戦の過酷さを印象付けられました。

作品の前半部はテレビ放送とともに歴史と信頼を重ねてきた報道の裏側に焦点を当て、後半部は現代におけるメディア環境の変化を描いていたと整理することができると思います。

00年代以降のメディアの最も大きな変化は、情報を発信する力が個人にも付与されたことで、テレビや新聞といった既存メディアからの一方通行ではなくなった=双方向が実現したことだと痛感されられます。ロバート・レッドフォード演じるテレビ局の看板ニュースアンカーは、そうした時代の岐路に立たされてしまったのではないかと感じました。

終盤に語られた「報道とは信頼の証拠」という言葉が非常に重く感じました。報道に限らず、SNSを通じて情報発信することが非常に手軽になった現在だからこそ考えておきたいテーマだと思います。

3.『SCOOP!』から考える週刊誌メディアの現在位置


現在公開中の大根仁監督の最新作『SCOOP!』は、芸能スキャンダル専門のフリーランスのカメラマンと女性新人記者のコンビがスクープネタを求めて夜の東京を駆け抜ける物語。 

本作は、福山雅治さんを主役に据えた「スター映画」や「アウトロー映画」として見ることができれば、二階堂ふみさんによる「ヒロイン映画」として考えることができるし、そんな2人の凸凹コンビの活躍を描いた「バディムービー」とも言えると思います。

一方、写真週刊誌というメディアを取り扱った「ジャンル映画」の側面を醸し出すことで、物語が二階堂さん演じる新人が記者として独り立ちしていく「お仕事映画」へと昇華していく流れは、予告編から想像しえない展開でした。

パパラッチ・雑誌記者のリアリティさを追及した作品にも見えるのですが、実話をベースにしたドキュメンタリーテイストの上記2作品とも異なり、登場人物や物語にはファンタジー要素を強めに押し出しながら、バックグラウンドやディティールの中に現実を差し込んでいくアプローチだったと思います。

架空の雑誌の中に実名のグラビアアイドルが出てきたかと思えば、実際にあった事件を取り上げながら架空の編集会議は進められる。過去の大根監督もそうであったように、本作も虚実混同のバランス配分は非常に良かったと思います。

一方、パンフレットに寄せられた2雑誌(FLASH、FRIDAY)の編集長のコメントに代表されるように、雑誌編集部の描き方はリアリティの成分を強めに出したのではないかと。それだけに、セリフの随所で語られる雑誌メディアの立ち位置については、軽快なセリフとは裏腹に重みを感じました。

作中の編集会議において、昔の事件現場の武勇伝に花が咲いた場面が象徴的なシーンだったと思います。

例えば、映画にもなった評論家・川本三郎氏の回想録『マイ・バック・ページ』の時代のように、雑誌メディアが反体制・反権力体制を打ち出し、新聞メディアにはない切り口からジャーナリズムを展開する時代は過ぎ去り、衝撃的な犯罪事件の最前線に立った時代も終わり、芸能、グラビア、あるいはグルメといった娯楽性を押し出して何とか持ちこたえている。

現実世界においても、文春の破壊力は目を引くものでありますが、実際には、他の活字メディアと同様、緩やかな撤退戦を強いられる雑誌メディアの現状が伝わるよう描写でもありました。

その意味でも、滝藤賢一さんと吉田羊さんが演じる2人の副編集長は、そうした週刊誌の昔も今も知る編集者の役回りとして、スタンスが大きく異なっていたのは面白かったりもしました。メッセージ性のある配役でもありましたし、主演2人とは異なった存在感が良かったです。

専門誌のようなディープさ、ソリッドさに徹するのではなく、まさに本作でいうところの<総合娯楽雑誌>のような多様性を充実度のある仕上がりで楽しく見ることができました。人によって好みは分かれるかもしれませんが、オススメの作品です。

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観戦記:Bリーグ・川崎ブレイブサンダース-新潟アルビレックスBB

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昨日は、とどろきアリーナで川崎ブレイブサンダースのホームゲーム観戦。

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前節の横浜戦でバスケ観戦デビューしまして「鉄は熱いうちに打て」と言うことで、2週連続で足を運びました。

 

〇 川崎ブレイブサンダース、ホーム4連勝

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(攻撃を組み立てるポイントガード・篠山選手)

試合は、川崎がシュートを簡単に許さない集中した守備から素早く攻撃に繋ぎ、ファジーカス選手、スパングラー選手の両外国籍選手を中心に確実に得点を重ねた川崎が見事に勝利。

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(ファジーカス選手の圧倒的存在感。フリースローも完璧。)

26得点を挙げたファジーカス選手、コートエンドで観戦していたということもありますが、ゴール下の攻守の存在感が印象に残りました。ゴール近辺の密集したエリアの技術を要求されるセンターというポジション(スラムダンクに置き換えればゴリのポジション)は、日本人選手が苦手そうなポジションかなと思いました。

 

〇 熱狂を作り上げるためのリピーター層、ソフトパワーの重要性

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2週連続のホームゲーム、前週の横浜戦における反響も良かったこともあったのか、高額の1階席のチケットは売れ行き好調。開幕して間もないBリーグに対する注目度の高さ、間近で見るプレイに対する満足度の表れとも考えられるのではないかと。

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(間近で迫力のあるプレイが見れる1階席は完売席種も多かった)

一方、今月の川崎ブレイブサンダースのホームゲームは6試合開催。残り4試合も1週間を挟んで2週連続×2試合となりますので、試合間隔はかなり詰まっています。もちろん、開幕して間もないこともあり、これから足を運ぼうと考えている人も多いとは思いますが満員に近い3000人の動員を毎試合狙うのでならば、ある程度、リピーターを呼び込むための取組を進めても良いのではないかと思いました。

例えば、この日は、1階席は売れ行き好調なので良かったのですが、スタンド自由席には余裕がありましたので、前売価格を少し値下げしても良いのかもしれないですし、親子ペアチケット、土日2試合通し券、スタンド席の回数券のように、リピーター向けのセット販売は、バスケ観戦の満足度を活かした取組として利用できるのではないかと。

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サンウルブズでは、同じ指定席でも複数のグッズ特典付チケットを販売)

また、プロ野球の公式戦、今年観戦したサンウルブズのホームゲームで販売されておりましたが、応援グッズがセットになったチケットあたりも需要が見込めるのではないかと。タオル・シャツといった観戦グッズ需要は開幕直後で高い時期だと思いますし、派生する形で他のグッズ販売にも弾みがつくかもしれません。変化をつけることで、高額な指定席でも繰り返し買おうと思える付加価値を高めていくのは長いシーズンを鑑みてもアリではないかと思いました。

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川崎市:かわさきスポーツパートナー

この他、自分の知るサッカーファンも多く足を運んでいることを踏まえ、個人的には市内にいるスポーツファンを呼び込むため、JリーグWリーグVリーグ等との連動チケット販売というのは是非とも企画してほしいところ。

また、顧客満足度を高める観点では、アリーナのハード面の充実は難しいことから、ソフトパワーが今後の試合開催において重要になるのではないかと思います。現時点では「バスケを見る」というだけで大きな満足度を与えられてきますが、プロスポーツとして継続した観客動員を確保するうえでも、それ以外の要素を加味して「何度も足を運びたい」と思えるような空間づくりを目指していく必要があるかと。

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(第3節のカワサキ・エンタテイメント」はブレイクダンスのパフォーマンス)

現在実施中の「カワサキ・エンタテイメント」は素晴らしい取組だと思いますし、ダンス・ライブパフォーマンスのようにアリーナ会場の方が盛り上がるプログラムもありますので充実を期待したいところです。

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(3000人以上が集まったホーム開幕戦の雰囲気を毎試合作れるようにしていきたい)

ホーム開幕戦の横浜戦がそうであったように、超満員の会場が作り出す一体感は選手にとっても大きなモチベーションに繋がりますので、試合を盛り上げる抜群のスパイスになると思います。また、そうした会場の熱気・雰囲気も観客の満足度を高める要因になります。

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プロスポーツの当事者はコート内の選手に限らず、選手に目を向ける観客も含まれていると考えておりますので、川崎市内を挙げて、ブレイブサンダースの新たな風を強く、熱くしていきたいと思いました。

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読了・高橋安幸『根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男』

根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男

根本陸夫伝 プロ野球のすべてを知っていた男

 

〇 西武黄金時代、ダイエーホークスの礎を作った男

本書は「球界の寝業師」として知られる故・根本陸夫氏の足跡を20人のインタビュー取材から読み解いております。それなりに文献を読んできた私も、初めて目にするような驚きのエピソードも多数出てくるので証言集として普通に面白いのですが、プロ野球の歴史を1人の人物から紐解く文献としても非常に読み応えのある内容だと思います。 

おそらく、80-90年代のプロ野球に造詣のあるファンであれば「根本陸夫」の名前を知る方も多いと思います。さらに、同氏について、3球団で務めた根本「監督」の印象より、球団管理部長に代表される「裏方」としての印象が強いと思います。

しかし、特に印象に残った点ではありますが、彼が監督として「育成のための采配」に徹し、勝敗とは別のベクトルに重心を置いて指揮を取っていたことが触れられています。他球団の実力ある選手を主軸に置くことで血の入れ替えを行い、猛烈な練習量でチームを鍛え、有望株の若手選手たちを積極起用して1人前に育てる。指揮官としての手腕は、複数の選手から迷采配ぶりを指摘されるほどですが、現場レベルでも強いチームの土台作りを進めることを第一にしていたのだと考えると、また異なる評価が出来ると思いました。

また、証言者として登場した元選手の多くが彼のことを「オヤジさん」と呼んでいるのは気になりました。根本氏の発言や仕事ぶりを通じて、先を読む力、人心掌握術を垣間見ることができるのですが、彼の厳しさと気配りの両面を併せ持った接し方が、特に高校からプロの世界に足を踏み入れた工藤・大久保のような選手たちにとって親のような存在であったことがよくわかります。

 根本氏が亡くなって17年が経過するが、例えば、中日の森繁和新監督やソフトバンク工藤公康監督のような現役監督に代表されるように、現在進行形で「根本一家」は日本の野球界の様々な現場で活躍しています。

さらに言えば、西武ライオンズダイエーホークス(現・ソフトバンクホークス)の2球団こそが、根本氏が残した大きな遺産であると思われる。もちろん本書では触れられないような闇の部分は、少なからずあると思いますが、今日の日本のプロ野球に対する影響度は計りし得ないものであると考えられます。

もちろん、本書の証言者も触れておりましたが、現在は球団組織も新人獲得ルールも厳格になりましたので、根本氏のような役職も働き方も出来ないと思います。しかし、強い球団を作るために力を入れた編成、情報収集力、裏方を含めた人材育成に対する考え方は普遍だと思います。GMという言葉が浸透する前の時代に最もその名に相応しい仕事をしていた根本氏のような存在が、多くの球団では求められているのかもしれません。

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観戦記:明治安田生命J2リーグ・セレッソ大阪-清水エスパルス

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関西遠征2日目の昨日は、ヤンマースタジアム長居で開催されたセレッソ大阪のホームゲームを観戦。

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長居は3年ぶりの訪問。とはいえ、対戦相手で足を運んだ時とはまた違った印象を受けます。

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自動昇格となる2位を目指す両クラブの大一番ということでジワジワと客席も埋まり、気がつけば2万人を超える観客が試合の行方を見守りました。

試合は、給水タイムが設けられるほどの暑さの中で、前半の両チームは運動量を消耗。

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(酒本選手のゴールの直後、観客とのコール&レスポンスで盛り上がる)

後半、大外から飛び込んだ酒本選手のヘッド弾でセレッソが先制。しかし、89分に北川選手の素晴らしいゴールで清水が同点に追い付き、カオス状態に突入。

そして、アディショナルタイムに白崎選手の素晴らしいミドルで劇的逆転勝利。思わず「うわあああ」と変な声が出てしまうほどの鳥肌モノの展開でした。

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(逆転ゴールの直後。ベンチに駆け込む清水イレブン。筆者も興奮のあまりブレブレ・・)

清水さんは、試合が進むにつれて良い攻撃の形が作れなかったのですが、小林監督が投入した金子選手・北川選手の2人が期待に応える素晴らしい活躍を見せてくれました。決勝点の白崎選手もそうですが、大前選手の不在の間、テセとともに攻撃を支えた選手たちの成長がまさに凝縮されていたのではないかと。

また、土壇場で試合をひっくり返した勢いに関しても、今季のチームが積み重ねてきた終盤のゴール、劇的な勝利の経験は影響していると思います。今の清水さんが、試合を重ねるごとに経験と自信を積み重ね、成長を加速させていることを強く感じました。小林伸二監督のチームらしい仕上がりだと思います。

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リーグ戦の最終コーナーは見えてきましたが、J2の昇格戦線はまだまだ混沌としている印象です。どのクラブも自動昇格を目指していると思いますが、仮に昇格プレーオフを戦うことになったとしても、リーグ戦を終えるまでに、どこまでの勝ち点を積み重ね、勢いを加速させたかが重要になってくると思います。本当、どこが昇格できるか最後まで目が離せないところです。

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セレッソの順位次第だが、今年も長居は決勝の地になるか?)

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観戦記:明治安田生命J1リーグ・ヴィッセル神戸-川崎フロンターレ

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昨日は、ノエビアスタジアム神戸ヴィッセル神戸戦を観戦。


試合は、渡邉千真選手、レアンドロ選手にゴールを奪われて3失点完敗。試合を通じて感じたことは、以下の3点です。

 

1.ネルシーニョレッスンから考える課題
神戸を指揮するネルシーニョ監督は、柏の監督を務めていた時期から徹底的な対策で川崎を打ちのめしてきました。
ネルシーニョ監督からの「卒業」を1つ目標としていましたが、今季も手痛いレッスン料(勝ち点3)を支払うこととなりました。しかしながら、今季もネルシーニョレッスンに気づかされた点は多かったと思います。
特に、ごまかしていた現在の基本配置における守備の問題が如実に出た試合だと思います。攻撃に関しては、システムやフォーメーションにとらわれることなく実践できますが、守備は常に自分の位置に戻るこも、あるいは空いたスペースのカバーリングが重要となります。
この試合では、川崎の攻守の切替の遅さもさることながら、守備の連動性の低さも気になりました。というのも、守備時の選手間の距離が離れており、前線のプレスにしても単騎、相手の仕掛けの対応も個々で対応しなければならず、2人目、3人目が続きません。
また、今季の川崎において仕込んでいる相手陣内でボールを奪い返す動きも、攻撃時に川崎の選手同士の距離が非常に近いのでプレスをかけることが出来たのですが、(意図的は定かではありませんが)神戸さんは徹底して奪った後に長いボールを蹴ることで無効化されていたのも痛かったと思います。
なお、ロングボールを駆使してシンプルにボールを入れるだけでなく、サイドから仕掛け、角度をつけたグラウンダーのボールをペナルティエリアに入れるアプローチが多かったと思います。自陣のサイド深くまで攻め込まれると、WBに加えて3バックの両サイドが寄せて対応するとになりますので、最終ラインの間に距離が広がり、相手が侵入するスペースが生まれてきます。本職ではない田坂選手、前に行くエアシーニョ選手を並べた右サイドを中心に攻めてきたのも、攻略確率を高める上でも的確だと思います。
もちろん、サイドを捨てて、真ん中を固める選択もあると思いますが、ここ数試合の失点パターンを考慮すると守りきれるか言えば、厳しいという印象です。
以上のように、アンバランスなキス、ではなく守備を重ねて乗り切ってきた川崎の痛いところを突き、得点を重ねた神戸さんに対して3失点で済んだ、という印象が強かった試合でした。

 

2. 止めた神戸、止められなかった川崎
川崎の攻撃については、無得点ながら、過去のノエスタの試合に比べると決定機は多かったと思います。それだけに、前半に何度か訪れた先制の機会を逸したのは痛かったです。
それだけに、神戸さんの最終ラインのシュートブロック数の多さ、キム・スンギュ選手のゴール前での冷静さは非常に印象に残りました。川崎の拙攻もあったかと思いますが、危ない場面も止められていることが試合の中でポジティブな要因となり、高い集中力を維持できていたかと思います。
一方、川崎は、今年もレアンドロ選手を止めることができませんでした。先述のとおり、ある程度の個人で守らなければいかんぜよ!状態の守備の中で個の力で持っていける選手を抑え込むのはやはり厳しいと思います。


特に、レアンドロ選手は、強引さだけではなく、1点目に見せた上手さも兼ね備えたストライカーですので、まずは自由にさせたくは無かったです。その意味でも、もちろん注意する意識は高かったと思いますが、意識高い系止まりに終わったのは痛かったと思います。

3.大中小ユニットをどう生かすか

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憲剛さん、嘉人さん、悠様の最前線の3人の精度が低調だったのは、試合を見ていた誰もが感じた部分だと思います。昨年からそうですが、大ベテランの憲剛さんは連戦の中でコンディション・パフォーマンスの維持は厳しいですし、嘉人さんもゴール量産体制に持ち込めずにいる状態です。悠様も奮闘はされていましたが試合開始直後のように決めるべき点を決められなかったのは響きましたし、この点は責任を感じられてると思います。
個人的には、この1試合でユニット卒業を判断しかねるところですが、機能不全に陥った時を含めて、新たな組合せを模索する必要性はあると思います。

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(姫路城。今日は城を見に来たんだ(遠い目)

以上です。今回のネルシーニョレッスンを経て顕在化した守備の問題、攻撃陣の見直しに対して、どのように対応していくのか。終盤戦、そしてチャンピオンシップに向けて風間監督のマネジメントに大いに注目していきたいと思います。私も気持ちを切らさず、応援を続けていきたいと思います。

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観戦記:Bリーグ・川崎ブレイブサンダース-横浜ビー・コルセアーズ

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昨日は、等々力アリーナで開催されたBリーグ1部(B1)・川崎ブレイブサンダースの試合を観戦。

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(福田川崎市長による開幕宣言)

代々木第一体育館で鳴らされた号砲とともに、各地で始まった日本初の男子プロバスケットリーグ・Bリーグ。川崎においても「川崎ブレイブサンダース」が誕生、1部リーグに参戦することとなりました。バスケの生観戦は初めてでしたが、高校まで授業で習ってきた競技ですし、何よりも学生時代に『スラムダンク』の影響でバスケが大きな影響を受けたド直球の世代でもありますので楽しみにしておりました。

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(第4ピリオドは1ゴールを争うデッドヒート)

試合は、第2ピリオドまでに川崎が14点リードを奪ったものの、ビー・コルセアーズに1点差まで追い上げられ、勝負の行方がラストまで分からない白熱の試合展開。

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両チームの攻守の素早い切り替え、攻守の切れ目で炸裂する速攻の仕掛け、ゴール前の人垣を崩すためのアイディア、外国籍選手の迫力あるダンクシュート、華麗なスリーポイントシュートの応酬、目の前で繰り広げられる、バスケットという競技ならではの魅力を大いに堪能することができました。

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(試合終盤の会場のムードも非常に良かった)

また、試合終盤の会場の雰囲気も非常に良い盛り上がりで、攻守ともにブレイブサンダースを応援する満員のスタンドの一体感というのが伝わってきました。

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(試合は川崎が2点差で勝利。Bリーグ初勝利をあげる!)

満員の観客の前でプレーすることは選手にとっても非常に大きなモチベーションにもなると思いますし、会場の雰囲気が試合の展開を盛り上げたのかもしれません。その意味でも、こうした会場の盛り上がりというのを継続していくことが、面白い試合作りに繋がるのではないかと。

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(試合前に流された憲剛さんからのビデオメッセージ)

個人的な意見ですが「プロスポーツ不毛の地」と言われてきた川崎という街は、川崎フロンターレを中心に地域のスポーツを熱く応援するカルチャーを育んできたと思います。ブレイブサンダースという大切な仲間の新たなスタートを機に、その輪を広げていければと考えております。

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会場に足を運ぶ全ての人がバスケに対する造詣に深くある必要は無いと思います。まずは、より多くの人が試合を見ることで、バスケットという競技の魅力を感じてもらうことが大切ではないかと。川崎市民の私からすれば「川崎(地元)のチームだから」という理由は、非常に大きなファクターになります。ということで、また機会を見て足を運ぼうと思います。頑張れ、川崎ブレイブサンダース!

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