ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:ラグビーワールドカップ2019・日本代表-スコットランド代表

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10月13日、横浜国際総合競技場で開催されたラグビーワールドカップ2019を観戦。

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(横浜は本大会の決勝戦の会場である)

先月20日に開幕した本大会も折り返し。筆者も試合会場に足を運ぶうちに普段の観戦では体験できないような非日常性を戸惑いから楽しめるようになってきた。

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(スタジアムとは物価が違うので、既に飲み始める人多数(筆者含)

せっかくなので、この日は、直行バスではなく、新横浜駅から歩いてスタジアムに向かったが、4時間以上前から両国ファンで賑わっていた。

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(スタジアム・公園が地域の「守護神」となっている)

競技場に到着した後、少し時間があったので多目的遊水地機能を果たした新横浜公園を見てきた。地域を洪水から守る役割を果たしてくれた素晴らしい競技場、そして開催に向けて尽力いただいた多くの人たちに感謝しかない。

〇SQUARE:大一番であっても「楽しい」空間

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開場とともにスタジアム入場。開場と同時にビール売り子も稼働開始。開場直後は流石にガランとしたスタジアムに売り子の声がこだまする。試合が始まると飲んでいられない(という大義名分で)駆け付け一杯。

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(「愛は売り子を救う」活動という謎の大義名分)

こうした緩い時間帯に話を聞くと、野球場の販売経験を持つ子たちも多くいるのであるが、普段とは違ったシチュエーションを「楽しい」と答える子が多いのも印象的であった。

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(今日ばかりは桜ジャージ率の高さが際立った)

座席位置等を確認後、季節柄オクトーバーフェスト感もあるメインスタンド前広場に移動。流石にこの日は日本代表のファンの割合は多かったが、スコットランド代表ファンの方もインパクトのあるコスプレであったり、バグパイプを演奏するなど、大一番とは思えないほど、お祭り感を楽しんでいた。

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ウルグアイ代表の奮闘は日本のファンを熱くさせた)

また、熊本で開催されているウェールズ代表とウルグアイ代表の試合中継が広場を盛り上げた。控え選手主体であるが、今大会ではワラビーズにも勝利したウェールズ代表相手に前半を終えて1点差で折り返したウルグアイ代表の奮闘に、日本のファンは拍手と歓声を送った。

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(戦況を見守る両国のファン。ラグビー好きで溢れた空間だ)

今大会を通じて、ラグビーそのものの魅力に気づいた人が非常に多くなったことを印象付ける光景であった。

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(大会マスコット・リンジ―&レンジ―に遭遇。モフモフ度はワールドクラス)

〇STUDIUM:「ホームゲーム」の雰囲気

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キックオフ1時間前頃に着席。「新たな歴史を作る」という意気込みが感じられる独特の空気感が伝わってきた。

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本大会で観戦した他の試合とは、明らかに異なる雰囲気。簡単に言えば「ホームゲーム」の雰囲気であった。

開催国が迎える大一番なので「当たり前だ」と思われるかもしれないが、6万5000人以上の観客が入ったラグビー会場で、こうした雰囲気を作れていることに感激していた。だからこそ、この試合に勝ちたいという気持ちが強くなったラグビーファンも多かったのではないだろうか。それほどまでに、会場の雰囲気は試合前から素晴らしかった。

〇 GAME:「ONE TEAM」の集大成を見せた歴史的勝利

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前半は、ジャパンが序盤からアグレッシブな攻撃で3トライを奪うことに成功。

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(前半、福岡選手のトライが決まった直後の観客席。鳥か?飛行機か?福岡だ!)

スコットランドに先制トライこそ許したものの、70%以上のボールポゼッションで主導権を握り、素早いパスワークと、松島・福岡の両WGのスピードを武器に相手の守備網を突破。

流れの中でのキックを減らし、パスを回して保持率を高めるアプローチを選択したのは、体力面のアドバンテージと、スコットランドのキックを使ったワイドな攻撃を封じるにも非常に良かったと思う。3試合を通じて積み上げてきたスクラム、トライが自信に繋がり、勇気をもってアグレッシブに攻め込むことで素晴らしいプレーを連発したため、観戦しながらも、ジャパンの強さに戸惑いさえも感じる40分であった。

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(非常に大きかった後半早々の福岡選手の独走トライ。いだてん炸裂)

後半、開始早々に福岡選手がトライを決めて会場のボルテージはさらに上がる。しかし、その後はジャパンにとって試練の時間帯となった。スコットランドが展開力と推進力を発揮し、後半20分以上を残して2トライを奪い返す。

前半のようにボールを握れないジャパンは、スコットランドの猛攻を耐える展開が続く。心臓が締め付けられるような、本当に苦しい展開。押し込まれながらも、的確なタックルと必死のカバーリングで凌ぎ、時計の針を進めていく。

終盤、ジョセフHCは疲弊するFW陣から堀江・リーチの2人を下げる決断を下す。苦境の中で精神的支柱である選手を下げるのは大きなリスクもあったかもしれないが、ジャパンは全員で戦う「ONE TEAM」だった。

残り数分でボールを奪取することに成功したジャパンは、懸命のボールキープと前進を見せる。時間の経過が非常に遅く感じていたが、試合終了のカウントダウンが始まった10秒だけが早く感じた。

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(試合終了直後。試合中の日本コール一転し、グワングワンとした歓声が響く)

40分を告げるホーンが鳴り、ピッチ外に蹴りだした瞬間、座席から飛び上がった。そして、目から溢れる涙が止まらなかった。

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(インタビューを受けるリーチ主将。素晴らしきリーダー)

4年前にイングランド大会をテレビ観戦し、日本でW杯が見れることの楽しみと重みを感じた。同大会で3勝を挙げたジャパンの目標は、決勝トーナメント進出に他ならなかったからだ。その道のりは平坦ではなかった。

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(大会直前の南アフリカ戦の試合終了後、挨拶する選手たち)

テストマッチでティア1の強豪国に差を見せつけられ、スーパーラグビーサンウルブズも苦戦が続いた。確かな成長曲線を描いたとは言えない。しかし、4年間ともに歩んだチームの結束と勇気が見せた歴史的な快挙だ。

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(2トライを決めて勝利を引き寄せた福岡選手。サクラ超特急が運行した)

ジャパンの「いだてん」福岡堅樹選手がPOTM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)に選出されたのも感慨深い。福岡選手は医師を目指すために来年引退を表明している。彼にとって、今回が最後のW杯。そんなラグビー人生を賭けたプレーが歴史を動かすトライに繋がったことは本当に嬉しいことだ。

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スコットランド代表は、後半に強さを見せつけた。薄氷の勝利だった)

そして、忘れてはならないことは、開催国のアドバンテージを最大限に活かしても、ギリギリの勝利だったということだ。

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スコットランド代表を拍手で迎える日本代表)

ティア1の壁は本当に厚く、高いものだと強く感じた。今回の歴史的勝利を次の歩み、パスに変えていかねばならないのだと強く感じた。パスを繋ぐために、この大会でさらなるゲインを狙っていきたい。

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おめでとう、そして感動をありがとう。桜の季節はまだ終わらない。

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