ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

5・6月集中講座:『魔法のスター マジカルエミ』(全38話)

魔法のスター マジカルエミ コレクションBOX(1) [DVD] [rakuten:densuke:10212976:image]


■ あらすじ
マジシャンを夢見る主人公・香月舞はある日、鏡の妖精であるトポと出会う。
舞はトポがくれた魔法を使って「マジカルエミ」に変身、マジックショーに出演。
エミの出演したショーはジャパンテレビの小金井プロデューサーの目にとまる…。


■ 感想:よく出来すぎた作品
ぴえろ魔法少女シリーズ、『かみちゃまかりん』の安濃高志監督の代表作。
クリィミーマミ』や『ペルシャ』に比べると見てなかったのでレンタルでコツコツ。
この作品の大きな特徴を自分が指摘するとすれば、以下の3点について取り上げたい。


まずは『マミ』を連想させる大枠*1の一方で、物語は人物描写が中心という点である。
同時に独特の「間」を用いた描写や場面を盛り上げる演出は、本当に素晴らしかった。
私的な感想であるが、ここまで固唾を飲んで見たエピソードの多いアニメは数少ない。


次に作品における「魔法」の扱いであり、作品で自分が非常に最も惹いた点でもある。
魔法少女作品の「魔法」は調和に導く、もしくはそれに準ずる働きをするツールだ。
しかし「エミになること」は、主人公が様々な人と接するためのツールだと私は考える。


舞はエミになることで「マジカラット」*2のメンバーや多くの人達と接していく。
その人達の考えや行動に舞は素直な疑問を抱いたり、逆に自分も悩んだりすることも。
エミになることより等身大の主人公・舞が何を考え、どうしたかが鮮明に映し出された。


最後は、前述の二点を含めた上でのクライマックスの着地点である。
物語の終盤でエミは小金井達が設けた「エミリー賞」に見事に輝いている。
同じく出場したマジカラットの若手団員達のグループは特別賞を獲得している。


喜ぶ団員達の姿を見て、栄冠に輝いたはずのエミは大きな寂しさを覚えたのだ。
時を同じくして、彼らの成長を見て祖父母はマジカラットの解散を決意するのである。
マジカラットがなくなり、団員達は修行に、小金井からはエミの独立を勧められ悩む舞。


そんな折、舞は憧れであるエミリー*3のマジック映像を見ることに。
舞は、天才少女の異名をもつエミリーの失敗や必死に練習する姿を知ることになる。
それを見た舞は本格的にマジックの練習を決意し、祖父からの課題に取り組むように。


そして、彼女が出した答えは「エミより舞の方がいい、魔法をトポに返そう」である。
マジカラット最終公演でマジカルエミは密かに舞台を去り、トポも妖精の国に帰る。
この舞の自らの力で夢を叶えようとする決意は、物語の積み重ねを経て重さを感じた。


総括すれば繊細な反面、華やかさに欠ける作品だが、印象深いエピソードが多いかと。
『マミ』や『ペルシャ』での経験を生かし、本当に深い作品に仕上がっていると思った。
本来のターゲット層には響かない部分は多いが、私みたいなダメヲタは大絶賛しそうだ。
余談ですが、主題歌の『不思議色ハピネス』は私的にOP映像含めて、かなりツボです。

*1:テレビに出て歌を歌ったりするアイドル路線はマミと被る部分が多い

*2:舞の祖父母が主催するマジック団体、エミは所属という扱いでテレビに出る

*3:物語に登場する伝説のマジシャン、エミの由来はエミリーからくる