ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:ラグビーワールドカップ2019・イングランド代表-南アフリカ代表

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11月2日、横浜国際総合競技場ラグビーW杯決勝戦を観戦。

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(この日は売り子もフェイスペインティングをするなど盛り上げに一役買っていた)

9月20日の開幕から44日間に渡って繰り広げられた激闘もファイナル。

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(すっかりお馴染みとなったメインスタンド前広場の光景)

万国博覧会と野外ロックフェスと海外旅行が一挙にやってきたような空間で観戦するのも最後だと思うと、寂しい気持ちになる。

〇 FINAL:独特の雰囲気

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筆者は今大会5試合目の観戦となるが、流石に決勝戦らしい雰囲気を醸し出していた。

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スタジアムの装飾もFINAL仕様。スタジアムの外周には、この日対戦する両国を含めた歴代優勝国の名が刻まれていた。優勝を知るがゆえに、再びこの栄光を掴みたいという気概も伝わってきた。

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決勝記念のプログラムもファイナル仕様、お値段も決勝価格(笑)

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(日出ずる国なデザイン的に評価が分かれるかもしれない記念Tシャツ)

JAPANな記念Tシャツは何とも言えないデザインではあったが、記念品ということで買ってしまった(汗)

〇 GAME:世界最強を決める一戦

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試合は、戦前の予想通りのガチガチ展開ではあったが、イングランド代表のミスが目立つのは予想外だった。

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確実性を重視するエディー・ジョーンズHCのチームらしからぬ戦いぶりを見て、決勝戦という独特の空間がもたらす緊張感なのだと再認識した。

一方、南アフリカ代表=スプリングボクスは、試合が進むごとに安定感を見せてきた。ハイパントキックを起点に相手陣内にポイントを作り、ペナルティを獲得すればSO・ポラード選手の高精度キックで得点を積み上げる。徹底した戦いぶりであった。

イングランド代表も苦しい展開ながらもPKで追い上げるが、セットプレーが安定せず、なかなか流れを引き寄せられない。試合のカギを握ると思われたスクラムも、序盤からスプリングボクスの圧力に屈し、前半だけで3つのスクラムファウルがあった。

それでも、前半30分過ぎにトライを狙える決定機を迎えたイングランド代表であるが、スプリングボクスの鉄壁のディフェンスが決勝の舞台でも光った。

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大会直前のテストマッチ、準々決勝の2試合を対戦したジャパンも超えられなかったスプリングボクスなライン際の守備に対し、イングランド代表は攻略することができなかった。逆にスプリングボクスが、相手の攻勢を凌ぎ、終了間際のペナルティで6点差に広げることに成功したことが、この試合の大きなターニングポイントだったと思う。

後半、イングランド代表は攻撃のアプローチを少し変えてきたように見えた。前半はポゼッションを重視し、自陣から丁寧に繋ぐラグビーを展開していたが、後半はハイパントキックを活用して全体のラインを上げることを意識したように見えた。

ボールの受け手に圧力をかけてペナルティを手にする場面が成功するなど、一定の効果を見せたが、リードするスプリングボクス側がボールを持つ展開が増えたのも事実。キック合戦に持ち込み、陣地回復を図りながら時間を進め、キックでの得点を広げていく。南アフリカの優位は簡単に崩れなかった。

そして、スプリングボクスがディフェンスラインの裏を突くキックに反応した突破からトライを決めて勝利をグッと引き寄せる。

さらに、前がかりになったイングランド代表に対し、個の突破から2つ目のトライを奪ってダメ押しにも成功。

終わってみれば20点差をつける完勝でスプリングボクスが3度目の優勝を手にした。

〇 FINALE:勝者と敗者の気持ち

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(リッチー・マコウ氏とともに場内を一周したウェブ・エリス・カップ

試合後の表彰式は勝者と敗者がクッキリと分かれる。

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歓喜の輪を作るスプリングボクスと、粛々とセレモニーに参加するイングランド代表。

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(試合後、場内を挨拶してまわるイングランド代表)

様々な競技で見てきた場面であるが、勝負の世界の残酷さを映しだす光景でもある。競技者としても観戦者としても、自分は表彰を見つめる側が大半だったので、イングランド代表の気持ちはよくわかるだけに、前週のルヴァンカップ勝戦と同じような心境だった。

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最後にメダルを受領したエディーさんの表情が印象に残った。今大会でさらに名を高めた名将の「これもまたラグビー」という気持ちが伝わってくるような光景だった。

そして、黄金に輝くウェブ・エリス・カップを掲げるスプリングボクス


クリント・イーストウッド監督の映画『インビクタス 負けざる者たち』で描かれたように、1995年大会で初優勝したスプリングボクスは人種差別から民族融合の象徴へと変わっていった。

この日、カップを掲げたコリシ選手は、初のネイティブアフリカ出身のキャプテンでもある。母国の誇りを胸に、国歌斉唱で声を張り上げて力強く歌う姿も印象的だった。チームの新たな歴史を作り出した素晴らしいキャプテンの姿は、激闘を繰り広げた物語のフィナーレに相応しい光景だった。

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祭りの終わりは寂しさが先行するが、「一生に一度」を体験できた高揚感も忘れ難い。決勝戦で人生初のラグビー観戦をした父親がそうであるように、多くの人たちが今大会を経験したことが何よりものレガシーになると思う。

祭りは終わったが、それぞれの人たちの楕円球を巡る物語はまだこれからだ。そして、全ての参加チームと世界のラグビーファンに大きなハグを送りたい。ありがとう、また次の大会で会おう。

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