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ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

『幕が上がる』

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■ 行こうよ!全国

ももいろクローバーZ(以下「ももクロ」)主演映画『幕が上がる』を鑑賞。昨年から今年にかけて、気になるアイドル映画が充実している印象です。ある意味では「アイドル「映画」戦国時代」とでも言うべきでしょうか、アイドルも映画も好きな私にとっては嬉しい悩みでもあります。さて、本編ですが、後半は涙をずっと堪えているほど、胸が熱くなる素晴らしい映画でした。見終わった直後「年間ベスト確定」と心の中で連呼していました。以下、あらすじを紹介しつつ、映画を見て感じたことを書いていきたいと思います。

 〇 あらすじ


静岡県立富士ヶ丘高校演劇部に所属する2年生部員・さおり(百田夏菜子)は、華のある演劇部の看板女優・ゆっこ(玉井詩織)、元気いっぱいのムードメーカー・がるる(高城れに)に煽られるかたちで、新部長を任せられることになる。さおりは、演劇部として最後の1年を迎えて「(大会で)勝ちたい」という思いを熱く語るものの、新入生オリエンテーションで初めて劇作りを担当した『ロミオとジュリエット(抜粋)』は生徒に見向きもされず、惨憺たる結果に終わる。

結果を重く受け止めたさおりは「部長を辞めたい」と言いかけるが、そんなところに新任の美術教師・吉岡(黒木華)が現れる。演劇への造詣を感じさせる言葉でオリエンテーシンの内容に触れた吉岡は、さおりたちに、一人一人が自分のことを演じる「肖像画」と呼ばれる手法を提案する。気落ちしていたさおりは、八つ当たりのように吉岡に手本を要求すると、即興で始めた吉岡の演技に圧倒される。吉岡は、元「学生演劇の女王」と言われる学生演劇の経験者であった。さおりは吉岡に顧問になってもらうことを切望、顧問にはならなかったものの「見学」というかたちで演劇部に参加することになる・・・。

 〇 「演劇」を「映画」にすること

自分は、作品そのものに感情移入しすぎて後半は泣きそうになって見ていました。そのため、見終わった後も、普段の映画とは少し違った感覚になっていました。少し落ち着いてみて考えたところ、自分が舞台鑑賞した後の感覚に近いと感じました。

『幕が上がる』の原作者・平田オリザ氏はもちろん、本作の脚本を手がけた喜安浩明氏、あるいは主演の両サイドを固めた、黒木華さんやムロツヨシ氏も舞台を中心に活躍されてきた方々とあって、作品の中で舞台や演劇の熱量や魅力をいかに伝えていくのか、という思いを節々に感じました。

そして、役者の演技と対峙することで緊張感が伝染する感覚、物語が進みながら「終わってほしくない」という欲求、見終わった後の独特の高揚感を通じて、まさに本作は演劇や舞台を題材にした映画なのだと身を持って教えてくれた気がします。その点では、ジャンルを描いた映画としても非常に優れた作品であったと思います。

〇 文化部にだって「絶対に負けられない戦い」はある

青春の全てを捧げて目標に向けて突き進む主人公たち、素晴らしき師との出会い、葛藤を乗り越えて深まるチームの結束、そして負ければそこで終わりの大会、少し馴染みのない高校演劇を舞台しながらも、高校野球の映画を見ているような熱さがありました。言い方を変えれば、スポーツ作品では王道すぎて避けられていた印象もある「ど直球」の内容が展開されたことが、作品の熱量に繋がっているのだと思います。


丁度、今度公開される映画『セッション』の予告編を見た時にも感じていたのですが、音楽や演劇の中にも、スポーツの世界と同じような構図は多く内包されております。私も中学・高校と部活動を経験していた人間でもありますので、非常に共感を覚えましたし、中学時代は吹奏楽部が強い学校だったので、文化部の中にある「絶対に負けられない戦い」の世界観も理解できました。だからこそ、感情移入できたのだと思います。

 〇 真剣勝負の精神とプロレスの魅力

パンフレットを拝見すると、本作を撮影するにあたり、ももクロメンバーは平田オリザ氏のワークショップに他の演劇部員の方々と参加していたそうです。演技経験が少ない彼女たちの技術向上と舞台の作る雰囲気を学ぶというのが目的だったそうですが、多忙なスケジュールの中で時間を確保し、肌感覚で叩き込むあたりが、グループの歴史の中で積み重ねてきたガチンコ精神の延長線であると感じました。

また、作品では、少し異様なまでに役に馴染んでいて驚かされます。極端かもしれませんが、百田さんなんかは、ももクロのメンバーであることを忘却しそうになるほど、明らかにグループのセンター、あるいは女優というより、演劇部部長・演出家の顔でした。この辺の境界線が見えてこない、ある種のプロレス的な構図もまた、ももクロ「らしさ」かもしれません。小ネタはともかく、作品の中にグループ色を押し出していませんが、結果として、作品を構成する要素の中に、彼女たちの「目に見えない色」を引き出していたと思います。

<「時間を切り取る」表現者としてのアイドル>

高校生の青春の1ページを切り取る、という意味では、ももクロのメンバーは年齢では少しだけ大人ではないかと見る前は感じていましたが、これ以上に無い適役だったと思います。アイドルファンでもありますので「アイドルは何を表現するのか」ということを時折、突き詰めて考えているのですが、個人的には、歌にしてもグラビアにしても自分が生きた時間や時代を切り取って形にすることが、アイドルの表現力だと感じています。ヒロイン映画の魅力も、この点に共通すると思います。

 以上です。ももクロの主演映画というフィルターで見逃すと本気で損する映画だと思いました。ももクロ自体に思い入れの無いに自分が言うくらいですし、見に行って本当に良かったです。アイドル映画、青春映画、何よりも日本映画として、過去の歴史を継承し、見事に更新する素晴らしい映画だと思いました。自分が欲していた「日本映画らしさ」そこにありました。心の底からおススメです。

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