ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

【鑑賞記】俺のダブライズ

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1月17日、翌日の自分に仕事を託して新宿LOFTで開催された『俺のダブライズ』(以下「オレダブ」という。)を鑑賞。普段は首都圏開催の対バンライブの感想は書くことは無いのだが、興味深いライブだったので記録として残しておきたいと思う。

1.変則ツーマンライブ企画「ダブライズ」とは?

横浜発グループ・nuance(ヌュアンス)がゲストとともに開催してきた変則対バンライブ『ダブライズ』シリーズ。開催概要は、当方が書き出すよりも正確なnuance公式の説明ツイートを参考いただきたい。

サウンド・振付を含めて独自の世界観をステージ上で映し出すのがnuanceの魅力であるが、BPM・人数・振付の構造も異なる2組が曲間をシームレスに繋げるダブライズの噛み合わせは難しい。しかも、今回のオレダブでは、ライブ当日にくじ引きで楽曲を選び、約1時間でセトリに仕上げて披露する過酷なレギュレーションを設けていた。

2.ワークショップ型で垣間見たアイドルの「考える力」

観客を入れたライブハウスのステージ上でくじ引きを終えた2組は、組合せや繋ぎ方をその場で考える。まるで、演劇におけるワークショップを見学しているような感覚であった。セトリを作り上げるため、演者は自身の持ち曲の構造を相手に的確に伝えること、相手側の楽曲の構造を把握して自分たちの曲に繋げるアイディアを出し合う。

【参考図】クロスノエシス『VENOM』⇒ nuance『ナナイロナミダ』

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レダブのセトリを作るということは、単純に曲順を並べるだけではない。楽曲をシームレスに繋ぐためには、【参考図】のようにクロスノエシスとnuanceが並ぶ配置を設計するとともに、nuanceをステージ上に呼び込み、クロスノエシスを上手く袖下に逃がす仕組みも考えなければならない。

ameblo.jp

両陣営サウンドプロデューサーの助言、過去のダブライズで培った再現性のある繋ぎはあったものの、大半はその場で決めた内容であった。終演後に双方のメンバーに話を聞いたところ、想像以上に頭の体力が削られたようだった。

そうした中で、議論の場を回す進行役を担ったnuance・misakiさん、持ち歌の振付を論理的に説明する等の高い言語化能力を発揮したクロスノエシス・FLAMEさん&AMEBAさん、アイディアの内容をメモを取りながら要点整理を行ったnuance・わかさんなど、自分の出来ることを率先して行う姿勢も興味深かった。

過去の企画を含めて、ダブライズが成立しているのは彼女たちのスキルだけではなく、論理的思考力も大きいということがよくわかる場面だった。10分ほど押したものの、約1時間で10曲のセットリストを仕上げた彼女たちの仕事ぶりには唸った。

3.作り手側が「ダブライズ」を経験させる意図とは?

インターバルを挟んで臨んだライブは、大きな混乱もなく10曲+αを繋ぐことに成功した。双方のメンバーには疲労と安堵が先行していたが、そして自信にも繋がったようだ。こうした経験は自分たちの表現の幅を広げることであったり、自身の楽曲を客観視する機会にもなったと思う。

nuanceを手がけるフジサキ氏の場合は「これやったら面白そう」の感覚も伝わってくるが、こうした経験を踏まえた伸びしろの部分を意識してるのはたしかだろう。演者にとって相当大変なのは承知であるが、両ユニットのファンとして今後もダブライズ企画を継続して欲しいと思う。メンバープロデュース等の更なる変化球も期待。

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