ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

【観戦休題】「2022年 東京ドーム完全キャッシュレス化」に関する考察

f:id:y141:20210918142434j:image

9月17日、東京ドームで巨人主催試合を観戦。

f:id:y141:20210918142453j:image

自軍の完敗ぶりもさることながら、現時点における両軍の立ち位置が現れる試合だったと思う(遠い目)

さて、今回の記事は「今季の巨人軍に対する嘆きを上から目線で大いに語る!」わけではなく、観戦を通じて知ることとなった、2022年から東京ドームで予定されている完全キャッシュレス化に関する考察を取りまとめていきたいと思う。

1.来場者アンケートから想定される態勢整備

f:id:y141:20210918142534j:image

現在、東京ドームでは来場者アンケートが配布されている。アンケートでは、来場者に対する球場観戦に関する質問事項が並べられているが、店舗等での決済サービスに関する質問事項は項目・事例も細かく記載されており、本アンケートの主な実施目的として考えることができるだろう。

f:id:y141:20210918142654j:image

本件に関する質問事項を丁寧に読むと、Q20にある「2022年から東京ドーム場内が完全キャッシュレス化され、店舗等で現金が利用できなくなること」は決定事項であると考えるのが自然だろう。

www.giants.jp

観戦後に調べてたところ、今季から本格化した東京ドームのDX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けたプロジェクト「GIANTS × TOKYO DOME DX PROJECT」の中に明記されている。アンケートの質問内容は、実施後の態勢整備を検討材料であると考えることができる。

f:id:y141:20210918142721j:image

アンケートの質問事項、今季の東京ドームの端末配備状況から勘案すると、キャッシュレス決済規格の縛りは最小限に留まり、後述するがnanacoの優遇が図られるものと考える。一方、非対応者に向けたサポートについては、

  1. 球場内のICカードの販売・貸出サービスの展開
  2. キャッシュレス決済のサポートデスク設置
  3. オリジナルプリペイドカード配布

といった対応策が考えられる。

y141.hatenablog.com

「①」「②」の取組は、完全キャッシュレス化にいち早く進めた楽天生命パーク宮城およびノエビアスタジアム神戸でも実施されており、現実的な対応と言えるだろう。

www.giants.jp

「③」の取組については、今月開催されている「nanacoチャージキャンペーン」のように来場者サービスの一環としてプリペイドカードの配布と利用促進を促す取組を継続することが考えられるだろう。

2.完全キャッシュレス化移行には絶好の機会だと考える理由

本件について、9月のタイミングで事実を知った筆者であるが、これまでの取組を調べていくと段階的に進められている印象を受ける。

スタジアムにおけるキャッシュレスの取組については、観戦を通じて継続的にウォッチしてきたが、キャッシュレス化とFCポイント制度を導入していたパ・リーグの球場に対し、東京ドームは相当遅れていたが、近年の取組で猛烈な追い上げを見せている。

完全な私見であるが、東京ドームの導入が遅れた理由として2点ほど考えられる。ひとつは東京ドームに訪れる観客の年齢層が高く、日常レベルから少額決済=現金決済率が高いことが挙げられる。もう一つは、コロナ禍前の巨人主催試合の観客動員数のベースが3~4万人に対して、場内通路上の弁当販売、売り子によるビール販売等の形態を取られており、観客数を捌くうえで処理に時間を要する端末決済との相性が良くないことがネックとして考えられる。

しかし、新型コロナウイルス感染対策に係る入場者制限、感染対策において前提条件が大きく変化し、取組を進めやすくなった。今季はもちろん、来季も動員にある程度の規制が入った状態で開幕すると思われるため、完全キャッシュレス化のトライアルを1万人規模からスタートすることができる。運用状況で得た課題等を取り込みながら、来るべく80%以上の動員に向けて準備することができる。

また、今季の東京ドームでは売り子は移動することなく決済端末を利用してコンコース上で販売する変則方式を採用しており、来季も継続すれば大きな混乱はないだろう。球場内の定点観察()レベルだが、半々くらいの利用ペースで見られており、一定規模の需要があると思われる。

3.完全キャッシュレス化は観戦者に恩恵をもたらすか?

個人的にはキャッシュレス化に積極的に取組んでいることから、こうした球団・球場の取組に好意的に捉えているが、本来であれば数万人規模の観客が訪れる場所であることから、広く観戦者・球場利用者の観点から考える必要はあると思う。

www.meti.go.jp

まず、前提条件となるキャッシュレス化の浸透度であるが、経済産業省の「キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果」(2021年6月公表)によれば、回答事業者の約7割でキャッシュレス決済を導入済であるという事例があるように、想像以上に決済手段の多様化は進んでいる。また、公共交通機関が広く利用される首都圏では他地域に比べて交通系電子マネー決済も広く進んでいる点も後押しになるだろう。

次に、本調査結果にあるキャッシュレス決済の利用単価と、球場内の飲食利用等における単価の相性は近似しており、決済手段としてミスマッチなものではないと考えられる。その意味では、日々キャッシュレス決済を利用する観戦者にとって球場内の環境に大きなギャップを感じないのではないだろうか。

たしかに、クレカ・〇〇ペイを所持していない学生であっても、SuicaPASMO等のICカードを所持している人はいるだろう。また、球団としてはnanacoの配布・販売・貸出をを検討しているようなので、場内に関しては例外的手段を設けずに適応を促すかたちが想定されるだろう。

そして、今更の話であるが、東京ドームの周辺は多数の飲食店があり、持ち込み禁止を設けておらず、試合途中までの再入場を可能にしている。Jリーグのようにスタ飯が全ての需要を一手に担っているわけではない。そうした環境も、このような強気の施策に出れる背景なのかもしれない。

ただし、導入後に想定される混乱はいくつかあると思う。完全キャッシュレス化の移行に対して周知レベルが正直低いため、知らぬ間に来季開幕を迎えるケースは見られるだろう。球団としては、今の段階から積極的に周知を図る必要があるだろう。本ブログも、東京ドームの取組について少しでも知ってもらうために書いたものである(謎の使命感)

この他、筆者がキャッシュレス化が進んだ楽天生命パークで観戦時に感じたことだが、横座席の真ん中に位置する観客が移動中の売り子からビールを買う場合は相当な苦労が見られる。飲料メーカー側も、可能であれば、利益も見込まれる従来の販売形式に戻したいと思うので、数年前まで推しの売り子がいた筆者が今考えられる最大の課題たと思われる(汗)

そもそも、DX化はデジタル化への移行がゴールではなく、移行に伴う利便性・効率性を高めることが目的であるので、不便になっては本末転倒なのである。完全キャッシュレス化は設備投資と運用のハードルを乗り越えれば、現金管理・売上集計等で恩恵を被ることができるだろう。ただし、決済利用者がいてこそ商売が成立することを忘れてはならない。だからこそ、現金決済という選択肢を無くすことのメリットをアピールできるかどうかも、本施策の円滑な移行と安定に繋がるものと考えられる。

東京ドームをホームグラウンドとする1人の観戦者として、本施策がより良い観戦環境の実現に繋がることを強く望む。

f:id:y141:20210918143959j:image

にほんブログ村 その他スポーツブログへ
にほんブログ村