ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-清水エスパルス

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8月29日、等々力陸上競技場清水エスパルス戦を観戦。

試合は、川崎が3試合ぶりの勝利。以下、当日の観戦を通じて感じたことについて書いていきたいと思います。

1.ビルドアップVSプレッシング

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対戦相手となる清水さんは、フレッシュな選手を起用して試合に臨まれた。その意味では、両チームとも、起用したメンバーがピッチ上で上手くかみ合うのか否かが、勝敗の行方を占うという印象を受けた。こうした条件下において、川崎は前線からのプレッシングで優位な状況に持ち込むことに成功した。

クラフモフスキー監督が就任した清水さんは、GKから組み立てるビルドアップを採用し、自陣から手数をかけてボールを運ぶことをコンセプトにしておりました。この日の川崎は、相手陣内の深い位置までアグレッシブにプレスを仕掛けていった。連動性は高いとは言えなかったが、両翼に据えた斎藤・宮代両選手の出足の速さは鋭く、ダミアン選手の迫力ある単騎特攻プレスは、ここまで出場機会が限られていた選手を中心に臨んだ清水さん側にとっては嫌なアプローチだと思う。

また、清水さんが最終ラインの圧を外したところに待ち構える、中盤のトライアングルの潰しが効いていた。下田・旗手両選手もやはり機動性に優れ、キャプテンマークを巻いた守田選手も前に出て潰す役割を担うなど、この日の組合せの良い部分を引き出すことができたと思う。

このように、ボール奪取から素早くゴールを狙うかたちを狙う縦の推進力を押し出すことによって、積極的に攻め続けた結果がシュート数「36本」に表れている。極端であるが、今季の川崎が目指す、攻め続ける姿勢を色濃く体現する試合になったと思う。

2.タイムシェア&ローテーション

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表1:川崎フロンターレ 試合出場選手・プレー時間(8月版)

モーニング娘。の往年の名曲『真夏の光線』ではないが、エンドレス、エンドレスサマー連戦中の川崎。去年どころか、今後もまず起こり得ない展開だろう。地獄のような日程の中でも、ルヴァン杯プライムステージ進出、リーグ戦の連勝を10まで伸ばすことができたことは客観的に見ても大きな成果だ。

ただし、アウェイ連戦となった直近2試合は「1敗1分」。今後の戦いに不安を感じたサポーターも少なくはなかっただろう(筆者を含む)。上記表2-2にあるとおり、10連勝を達成した直前3連戦もアウェイ連戦だったこともあり、連戦の疲労度が多くのメンバーに集中していた。連勝が止まった名古屋戦の終盤、名古屋さんのプレー強度の前に跳ね返すことができなかったのは、名古屋イレブンの高い集中力とタスク処理能力によるところが大きいが、川崎側に反撃するだけのエネルギーが残されておらず、ガス欠状態であったことも追い打ちをかけてしまった。連戦の難しさをあらためて実感する敗戦だったと言える。

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表2:8月の出場選手数、プレー時間が180・215分以上

等々力に戻って迎えた8月最後の試合、鬼木監督はフレッシュな選手を先発起用し、リハビリを続けてきた憲剛さんも約10か月ぶりにメンバーに名を連ねた。上記の試合雑感で述べたとおり、清水さんのゲームモデルとの相性は大きかったと思うが、斎藤・宮代選手のように運動量を全面に押し出せるのは疲労度の少なさも攻守のアグレッシブさを後押しするかたちとなった。清水戦の前半は、出場機会と活躍に飢えた選手たちのエナジーに満ち溢れた45分だった。

8月を振り返ると、タイムシェアによる特定選手への依存傾向の軽減に加えて、ターンオーバーによる休養を置くことでコンディションを高い水準にキープする重要性が求められることを実感した。1か月で9試合を消化する非常にハードなスケジュールを、負傷等による離脱は無く乗り切れたことは良かったと思う。7月に離脱した長谷川選手が戻ってくれば、今季を戦う陣容は概ね整ったといえる。まずは、ルヴァン杯を含めた9月13日までの中2~3日の4試合を乗り切るか?鬼木監督の運用面での対応に注目していきたい。

3.思いは重なる

futabanet.jp

清水戦を迎える前日、1枚の写真が話題となった。神戸戦の試合前に斎藤選手がジョギングをする場面を撮影した写真だった。前節の名古屋戦で負傷した三笘選手に変わって急遽、ベンチ入りする可能性があった斎藤選手だが、結局出番は訪れず。折しも、最初の移籍ウインドー終了間近だったこともあり、サポーターは様々な思いを巡らせた。3年目を迎えた斎藤選手の今季にかける決意は誰しもが知るところであり、こうした状況下で出場機会を得られないことに憤りを感じているかもしれないとも考えた。

清水戦で先発出場した斎藤選手には、一段と大きな手拍子が送られたように思えた。今日の活躍に対する期待、真摯な姿勢に対する敬意の双方がこもっているように感じた。思いに応えるかのように斎藤選手はピッチを全力で駆け抜けた。若手選手のようなハツラツとしたプレーに等々力の観衆は一喜一憂した。清水・大久保選手の好セーブの前にネットを揺らすことはできなかったが、振りぬかれたシュートの瞬間、スタジアムの心は重なっていたと私は感じていた。更なる輝きを次の試合でも見たいところだ。

メンバー入りしたものの、出場機会は限られると思っていた憲剛さんであるが、後半2点を追加したことで投入できる状況を作ることができた。久々にピッチ上で見る背番号14番は、テンポよくボールを捌いたと思えば、ペナルティエリア近くで勢いよくシュートを放っていた。「憲剛さん、ゴール狙っているな」と感じた川崎サポは少なくないだろう。そうした隠しきれないゴールへの強い意欲が、ゴールに繋がったとも言える。

一昨年の2018年のゴールも相手のビルドアップをかっさらって決めたかたちが多かったので、近年の得意なかたちでもあるが、ブランクを感じさせない高い集中力と技術で見せるあたりは見事としか言いようがない。

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優勝するために必要なラストピースであることを強く印象づける復帰戦となった。憲剛さんとともに、僕らは走っていく。

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素敵な思い出があなたとまた増えたわ

僕たちだけの エンドレス エンドレス サマ〜

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