ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-湘南ベルマーレ

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7月26日、等々力陸上競技場湘南ベルマーレさんとの試合観戦。

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この日は夏の雰囲気も感じる空模様。(雷雨の予感も含めて)

試合は、3-1で川崎が逆転勝利。試合等を通じて感じたことは以下の点です。

〇「フォームチェンジ」の実装が呼び込んだ6連勝

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川崎は、湘南戦の勝利で6連勝を達成。しかし、観戦者レベルでも、今回の3連戦は難しい試合だった。表1のとおり、再開後の6試合における得点時間を見てみると、前回の3連戦(鹿島~柏戦)は前半で先制点&追加点を奪い、試合を優位に進めて勝ち切ることができた。序盤の膠着状態を打開し、速攻で一気に攻め落としたFC東京戦は最たるものだろう。

一方、今回の3連戦のうち、前半に得点を奪ったのは横浜FC戦の1点に留まった。いずれの試合もボールを保持して主導権を握ったものの、耐えきった相手に攻勢の機会を与えてしまう。この日も、湘南・タリク選手の見事なゴールで先制点を許し、対戦相手が考えるプラン通りの展開に持ち込まれてしまった。

まさに、負けパターンに遭遇してきた川崎であるが、3試合とも選手交代を機に流れを変えて勝利を引き寄せることができた。選手交代が大きな効果を挙げた理由は選手層がもたらすクオリティもそうだが、選手交代によってピッチ上の表現方法における変化が大きいと考える。

今季の川崎は新たなフォーメーションを軸として従来とは違ったアタッキングスタイルを見せてきたが、配置する選手を変えることで変化を与えることができるようになってきた。ヲタクっぽい喩えであるが、平成ライダーシリーズの基本コンセプトの1つと言える「フォームチェンジ」(多段変身)に構図が近いだろう。対戦相手に適したフォームに変えることで試合を優位に進める。過密日程と相手の対策を上回るうえでも有効な手段であると考えている。

横浜FC戦から戦線復帰した小林悠・三笘薫両選手の存在は大きい。狭いスペースを縫うように突破するドリブルを見せる三笘選手、密集したボックス内で受けてからフィニッシュまで持ち込める悠様のプレーは、スピード&パワーが光る長谷川・ダミアンとは対応が大きく異なる。プラン通りに抑え込んでいた各チームも、川崎の変化にペースを狂わされてしまったという印象だ。

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この日の湘南戦は、カードの切り方と組合せが違ったことで、これによって新たな収穫と課題が見えてきた。収穫としては、先発も予想された三笘選手が切り札として結果を残したことである。交代直後でボールを奪われるなど、流石に相手の警戒度もグッと上がり苦しんでいたが、逆転ゴールの場面のように、1人でゴールまで持ち込める個人戦術としての役割を果たした。特に劣勢時は、こうした個で打開する力が求められることを含めて、起用・観戦する側も彼に対する期待はより高まったかたちになる。

課題は、組合せ次第では機能不全・バランスの悪さも出ることが想定される。例えば、今季初の途中出場となったダミアンであるが、周囲の選手たちが彼の持ち味を活かすためのシンプルなプレーができていたとは言い難い。また、湘南さんが見せた三笘対策のように、交代選手まで織り込んだプランが出てきた場合、停滞を抜け出せないケースも想定される。今後も、交代選手の組合せパターンを含めたコンビネーションの応用・発展が引き続き必要となってくるだろう。

〇 8月を突破するために鍵を握る選手たち

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湘南戦までの3連戦におけるタイムシェアの状況を表2で整理してみた。筆者のプレータイムシェアに関する考え方は前回のブログに取りまとめているので、詳しくは下記のリンクを参照いただきたい。

y141.hatenablog.com

中盤のトライアングルを形成する脇坂・大島・田中の3選手は、今回もプレー時間を考慮した起用だったと考えられる。もちろん、今節で先発起用された下田・守田両選手の存在は欠かせない。5選手+憲剛さんで今後の連戦を乗り切って欲しいところであるが、個人的には下田選手に期待したい。加入時から適性を見せていた下田選手であるが、今季取組んでいるワイドに展開する攻撃やセットプレーからの得点など、プレースタイルとの相性も非常に良いと考えている。湘南戦で見せた献身性を含めて「仕事人」の働きに注目して行ければと思う。

また、先述の三笘・小林両選手の復帰で前線のタイムシェアは進んだ。仙台戦の長谷川選手の負傷交代は痛かったが、湘南戦では旗手・三笘両選手でカバーした。負傷状況は明らかになっていないが、いずれにしてもハイレベルな競争が予想できるところだ。こうした中で気になったのは、湘南戦に途中出場した宮代選手である。前の2連戦ではダミアン選手に変わって短時間の出場となったが、この試合ではRWGに入った。

y141.hatenablog.com

2月に開催されたルヴァン杯清水エスパルス戦と同じ位置で起用されていることからも、8月に開催されるグループステージ2試合を意識した起用ということも想定される。3連戦の合間に入る2試合は、1勝すれば突破が確定する。遠距離アウェイも続く中で選手のやり繰りも難しくなることから、彼の活躍が望まれるところだ。

そして、DF陣のプレータイムシェアが大きな課題としてあげられる。ジェジエウ選手の早期復帰は非常に頼もしかったが、谷口・登里・山根の3選手は再開後はほとんど休みなくプレーを続けている。両サイドバックは戦術兵器であり、川崎の攻守を最後尾から支える谷口キャプテン無くしてクオリティ維持は難しいだろう。

そうした意味では、SB・CB双方でプレーできる車屋先生の起用が重要になる。ジェジエウに変わってCBでプレーした3試合は、後方からのフィード、高い位置での潰し等で良いプレーを見せていた。今季のような戦い方で求められるCBのスキルと相性が良いのではないか。悪天候好きを公言する先生としては長い梅雨はもってこいかもしれないが(汗)熱い夏場においても素晴らしいプレーで盛り上げてほしい。

Jリーグの未来を守り抜くために

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有観客試合になって2試合目のホームゲーム。前回の柏戦では新しい観戦スタイルに緊張していたが、この日は少しリラックスして観戦することができた。観客動員をはじめ、多くの事象に制限がかけられているものの、周囲の反応等を含めて、観戦環境があるということが大きな一歩だと思う。

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しかし、我々の立たせている状況は厳しい。試合に喩えれば、前半途中で「Jリーグ1-0コロナ」という状態にすぎない。隙を突いて先制点(有観客)取ったものの、この試合の主導権はコロナが握っている状態だ。下手に攻撃に出れば、一気に攻め込んで同点・逆転を狙ってくるだろう。言うなれば、アトランタ五輪におけるブラジル戦に近い状態だ。

たしかに、ビジター会場で試合を見たい、手拍子や声を出して応援したい、お酒を飲んで楽しく見たいという気持ちは理解できる。自分自身も長くサポーターをしているし、それが普通の光景だったからこそ、あるべき日常に近づけたいという気持ちが早まるのも無理はない。しかし、それは今じゃない。ゴール前にガッチリとブロック(感染対策)を固めて攻撃を凌ぐ時間帯なのではないか。上から目線のように聞こえてしまうが、今スタジアムに足を運ぶ観戦者たちは、プロスポーツの空間を守る立場であるという意識を持ってもらいたいと思う。僕らの世界を、僕らの時代を、守り抜こう。

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