ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-サガン鳥栖

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2月22日、明治安田生命J1リーグ開幕戦を観戦するために等々力へ。ルヴァン杯を観戦したものの、リーグ開幕戦を迎えると、改めて新シーズンの訪れを実感する。

〇「笑う時もあれば泣く時もある」

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マルコメ様からは開幕を祝う糀甘酒が振舞われた)

開幕=ファンにおける「新年」と言われることもあるが、個人的には学校・会社の新年度の感覚に近い。異動・新卒の人たちを迎えた部署が上手く回るのかと考えたり、昨年異動した自分を移籍した選手の心境に置き換えたりした。

一方、自らがプレイヤーである仕事と観戦が決定的に異なるのは、観戦者はどこまで極めても選手・チームに運命を委ねられていることだ。日頃の行いが良くても、しっかりと準備をしてスタジアムに向かっても結果に結びつくとは限らない。

先日、DAZNで試合観戦をしてきた時に、ベップ・グアルディオラ監督の「笑う時もあれば泣く時もある だからスポーツは美しい」という言葉が紹介されていた。観戦を通じて得られるエモーショナルな瞬間は、スタジアムで生まれる喜怒哀楽によって作られる。観戦内容によってはネガティブな感情を抱えてしまうこともあるが、それを含めてスポーツなのだ。そんなことを考えながら、スタジアムに向かった。

〇 君去りし後

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トークショーに登場したOB。立場が異なる三者三様のいでたちが面白かった)

試合前、フロンターレOBを招いたトークショー、引退セレモニーが開催された。谷口博之さん、黒津勝さん、井川祐輔さんの3人は、J2からJ1タイトル争いに大きく成長する過程で活躍した選手たちだ。筆者も、年数試合からスタジアムに足繁く通うになった時期でもあるので思い入れのある選手たちだ。多くの人たちが詰めかけたことにMCを務めた中西哲生さんは驚いていたが、同じような感情を抱く人たちが今もフロンターレを応援してくれる証拠でもある。

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(現在、サガン鳥栖のスカウトを務める谷口さん)

自分は、初めて給料で買ったユニホームはボランチながら高い得点力を誇り、等々力劇場の劇場主・谷口博之だった。クラブ創成期の選手たちは皆好きだったが、明確に応援したいと思える好きな選手が出来たのは彼が初めてだった。そして、大好きな選手がチームを離れてしまう初めての経験でもあった。

それでも、移籍後も動向は少しでもチェックしていた。フル代表合宿で憲剛さんと一緒になったのは嬉しかったし、近年は怪我で苦しんでいることも気になっていた。引退することを知った時、労いの言葉をかけたい、顔を見たいという気持ちが強かっただけに、こうした場を設けてくれたことは感謝しかない。

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(引退セレモニーで挨拶をする3人)

クロやイガもそうだが、年齢の近い選手が引退することも珍しくなくなった。会社では中堅、もっとしっかりしなければと言われる立場にある自分と比較すると、プロの世界の厳しさを実感するとともに、新たなスタートをきった3人を改めて応援したくなる。

〇 陽は昇り 風熱く 空燃えて

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試合前からエモさ全開だったが、鳥栖さんを迎えた試合も白熱した展開。攻撃的な姿勢を押し出した配置で臨んだ両チームであったが、特に後半は主導権を握った川崎が、鳥栖陣内を攻略するという構図が展開された。VARで取り消しとなった得点が決まっていれば、試合の流れも変わったと思うが、結果的に鳥栖さんが専守防衛の意識が強まるかたちになってしまった。

川崎は、ルヴァン杯・清水戦から宮代選手⇒家長選手に変更。スピード感のある人選ではなくタメを作る家長選手を起用したかたちになるが、一定の効果と課題が出たという印象ではある。

フィジカル強度と技術があるのでボールは簡単に奪われず、余裕のある状態でピンポイントに出すボールの精度は高いことからペナルティエリアで体を張るダミアン選手にボールを送り出す役割としては適任だ。実際、目の覚めるようなダミアン選手のバイシクルシュートの助演は家長選手である。彼の持つ技術はチームに加えたいという鬼木監督の意図がよく伝わる場面だったと思う。

一方、家長選手らしく、試合が進むごとに「漂泊のプレイヤー」と化していく状態が良くも悪くも目立ってしまった。鳥栖さんもサイドの突破力を起点としていただけに、WG・IH・SBの3人が揃っていない状態で守備をするのは負担が大きい。山根選手も高い位置で攻守に絡みたいだけに、この辺の負担増は大変だったと思われる。ゲームモデルと個の特性を融合するのは簡単ではないが、家長選手を組み込めるかどうかが1つの課題だろう。

手詰まり感が出てきた後半途中、大卒コンビの三笘・旗手を同時投入したところで勢いを生み出せた。三笘のドリブル突破は、脇坂・長谷川とはまた違ったタイプで相手を剥がせる技術を持つ。水の呼吸で言えば、長谷川が勢いよく飛び出す「壱ノ型 水面斬り」であるならば、三笘は回避と攻撃を「参ノ型 流流舞い」の使い手といったところであろうか(個人の感想です笑)

三笘のチャンスメイクが左で目立ったところで、逆サイドに入った旗手は攻守でハードワークできるタイプ。特に守備でも頑張れることが、山根選手の攻撃参加にも繋がった。そして、ゴールの嗅覚も働き、ゴール前に絡むところまで持っていたが、惜しくもゴールには結びつけられなかった。

同年代の鹿島・上田選手、もっとわかりやすく言えば嘉人さんがそうだが「ゴール前に顔を出せる」状態を作り出せるのは、技術と感性の融合だと考えている。プロの世界でそれを表現できていることに、彼のポテンシャルの高さを感じるし、東京五輪代表候補であるということを関係なく、鬼木監督が起用しているのだということを改めて感じるプレーだった。

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ホーム開幕戦がドロー発進は慣れ過ぎたが「あと一歩」の雰囲気で終われたことは悪くないと思う。観戦者は客観的な立場でしかないが、選手たちに「あと一歩」を踏み出すための後押しはできる。新しい季節を迎えた喜びと不安を胸に、勇気をもって力強いサポートを継続できればと思う。

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