2月16日、等々力陸上競技場でYBCルヴァンカップを観戦。
(とどろき会館手前の小鳥さん。青黒とオレンジで対戦を表す)
4年目を迎えた鬼木フロンターレは、挑戦者の気概と青き意志を胸にシーズンに臨む。Jリーグ王者の看板を背負って開幕を迎えていた昨季までとは良い意味で心持ちが違っている。新しい挑戦に対する期待と不安を胸に、スタジアムに向かった。
フロンパークを抜けると、真新しい「等々力陸上競技場へようこそ」と書かれた横断幕でスタジアムが出迎えてくれた。そうだ、自分は等々力に帰ってきたのだ。
〇 攻守に「鋭さ」を見せた新布陣
久々のホームゲームというだけで満足しているところもあるが、ピッチで躍動する選手たちを見なければ満たされない。(それはそう)ということで、ポエムはそろそろ店じまいにして試合雑感を述べていきたい。(分析は各所に任せるスタイル)
2/16(日)
— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) February 16, 2020
2020 JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第1節
川崎フロンターレ vs 清水エスパルス
14:03キックオフ 等々力陸上競技場
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(ポジション毎に背番号順に左から掲載) 【広報】 #frontale pic.twitter.com/869zuFpb89
川崎は、現時点のベストメンバーに、大会規定のU-21枠=宮代選手を加えた布陣。戦前、若手を積極起用する考えも頭によぎったが、Jリーグ開幕戦の鳥栖戦まで中5日を確保できることからも、出し惜しみしなかったのは良いと思う。
春季キャンプの模様は、江藤高志さんの『川崎フットボールアディクト』でフォローさせていただいたが、ライブで見るのは初めてなので、特に前半は事前情報とのすり合わせを行いながら観戦を進めていた。
- 垣間見えたレーンの整理
(前半キックオフ直前。攻撃時の各選手の配置に注目)
個人的にチェックしたかったのが、攻撃時における選手の配置だ。一次キャンプのレポートの中で(ピッチを縦分割して見た時の)レーンを整理しているという記述があったことから、新布陣に内包されている仕込みが気になっていたからだ。
上記の写真にあるとおり、川崎の両WG(長谷川・宮代)はタッチラインに近い位置に立つ。攻撃時において、彼らの後ろでプレーする両SB(ノボリ・山根)は同じレーンには立たず、手前のレーン=ハーフスペースの位置を取るようにしていた。
前半から、両サイドバックの鋭いランニングが見られたが、戦術として仕込まれたものだろう。ノボリ・山根両選手の攻撃力を引き出すには良いアプローチであるし、昨季の川崎が苦しんだ、引いた相手を崩すための打開策にもなり得るかもしれない。
また、配置の妙は、インサイドハーフでプレーした大島選手を見ていても感じた。ボランチより前目でプレーする機会を得ることで、守備時において高い位置からボールを刈りに行く機会が増えた。元々、高い位置でボールを奪うための配置であることからも、綺麗にボールを奪い、自由自在にボールを動かせる大島選手の存在は重要だ。これもまた、個の力を引き出すためことに寄与しているだろう。
もちろん、初戦ということも含めて、課題は何点か見られた。例えば、最後尾からのビルドアップは、従前よりも手薄な状態だ。この日は、幸いにもほとんど見られなかったが、相手が人数をかけて猛烈なプレスを仕掛けてきた時、中盤と連携して上手くプレスを剥がせるかが課題となるだろう。
また、攻撃性を高めた分、被カウンター耐性は昨季以上に厳しいことが想定される。特に、アンカーを務める選手が潰されてボールを奪われると、最小人員で広大なスペースを守らなければならない。ボールを奪うことも大事だが、自らが悪いかたちで奪われないようにすることも大事だと感じる試合でもあった。
- 「猛る」若人たち
新戦術という、もぎたての果実のいいところを摘まみつつ、本大会らしく、若者たちの奮闘に胸を熱くさせられる90分間でもあった。
宮代選手は、トップ昇格後初の先発起用。本職とは言えないウイングでのプレーだが、積極的にシュートを狙う場面を見せる等、結果を残そうと必死に戦っていた。
彼の交代後、途中出場を果たした旗手・三笘両選手のギラギラした雰囲気は客席にいても伝わるものだった。そんな2人の気迫がサッカーの神様にも伝わったのか、2人とも後半の得点に絡む活躍を見せた。
三者三様に「結果を出して、生き残るぞ」という気持ちが痛く伝わるし、彼らの姿を見て神谷・イサカ両選手も刺激を受けたに違いない。若きフロンターレ戦士の猛る姿をもっと見させて欲しいところだ。
〇 「青き意志」を胸に抱いて
(悠様のゴールとともにホイッスルが鳴り、試合終了)
等々力で全然勝てなかった昨季、最終戦はショッキングな敗戦で終わった。まさにバッドエンドと言える内容だ。最終成績以上に、心身に堪えた敗戦だった。こうした経験を積み重ねてきたからこそ、開幕を迎えるのは嬉しさと同じくらい、敗戦することへの恐怖というのは何年サポーターをしていても拭うことができない。
(今年初の「あんたが大賞」は2ゴールの長谷川選手)
だからこそ、今季掲げる「青き意志」を胸に前へ進んでいきたい。未来と4つ目の星を手にするために。