ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:ルヴァンカップ・北海道コンサドーレ札幌-川崎フロンターレ

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10月26日、埼玉スタジアム2〇〇2でYBCルヴァンカップ2019ファイナルを観戦。

「死闘」という表現も飛び交った試合は、PK戦の末に川崎が勝利。観戦を通じて感じたことは以下の点です。

〇 GAME:敗北と栄冠の経験値

阿部選手のコメントにもあったとおり、試合中に何度も敗戦を覚悟した。

仕方ない、前半早々にゴラッソで失点を喫し、後半アディショナルタイムに追いつかれ、10人になった延長前半に素晴らしいFKで逆転され、何とか持ち込んだPK戦でリードを許したのだ。まさに、川崎フロンターレが経験してきた、数々の敗戦の歴史を総集編にまとめたような展開だった。

- 選手層を活かして苦境を乗り越える

敗戦の歴史を繰り返すような展開を乗り越えることができたのは選手層だと思う。

ルヴァンカップで結果を残した【脇坂・ダミアン】ユニットを先発起用し、大黒柱の【悠・憲剛】ユニットを途中投入でブーストをかける采配を仕掛けた。

ココまでの道のり、一発勝負の難しさを双方加味した布陣・采配であったが、投入された悠様が2得点の活躍を果たし、憲剛さんもサポーターも含めた皆を鼓舞した。

また、最終ラインで120分フル出場、延長戦の同点弾に絡み、PK戦もキッチリ決めた山村選手も大一番の奮闘も光る。ビルドアップを含めた多岐に渡るタスクをこなしながら、冷静さを失わずプレーを続けたこと、セットプレーで反応できる得点感覚といい、持てる力を出し切ってくれたと思う。オファーを出し続けたS氏の執念が活きた。

最初のタイトルを取る時には、最大限のエネルギーが必要であることを2017年に感じた。今回の試合も、チームの総力を出し切って結果を手にすることができた。その意味では、今季の川崎だから乗り越えることができたと考えられるだろう。

-「諦めずに追いかける」鬼木フロンターレ

筆者の心境はどうだったかというと『敗戦』の2文字が頭をよぎりながらも、心中では「はいはい、今日はそういうパターンね」と客観視できるほどに冷静になっていた(流石に後半アディショナルタイムPK戦は頭が真っ白になった)。

だから、冷静に今そこにあるプレーを応援できていた。ファイナルで追いかける展開は見慣れた光景で、筆者もそうだが長くチームを見てきたサポほど勝利以前に「1点を取る」(過去4回は無得点で敗戦)にフォーカスしていたからだ。

正直、失点の場面以外にも危ない場面も多々あった。しかし、得点を奪える雰囲気もあったのは確かだ。筆者の日頃の行いが悪いのか、勝負パンツを履いてこなかったせいなのか(と勘繰りたくなるほど)、数ある得点機を潰してきたのであるが、ボールを支配して攻撃を続けていけば、必ずゴールを奪えると思っていた。

冷静さを失ってもおかしくはない場面も多かったはずだが、ピッチ上の選手たちも諦めず、焦れずにプレーすることができていた。過去のファイナルでは、自滅するパターンが多かっただけに、上手くいかない時間帯もあったが、退場者が出てもなお、自分たちの戦い方を徹底することができたのは進歩だと思う。

ゲーム記録・速報 - 2019/YBCルヴァン 決勝 vs.北海道コンサドーレ札幌 | KAWASAKI FRONTALE

試合後に札幌・ペドロヴィッチ監督も触れていたように、2016年以降、川崎がタイトル争いの大一番で喫した敗戦と、諦めずに追いかけることで手にした栄冠の経験値を活かすことができたのではないか。 

HISTORY:ルヴァンの歴史は、フロンターレの歴史

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試合後、川崎に所属してきた選手たちから優勝に対する多くの反応があった。塩川さん、黄川田さんといった懐かしい名前から、テセや賢太郎といった近況をチェックする選手たちまで多岐に及んだ。

ルヴァンカップ(旧・ナビスコカップ)は、鬼木監督をはじめとする現在のクラブスタッフが現役時代に挑戦した00年、関塚監督時代の07・09年、現在の鬼木監督の17・19年と、クラブの23年の歴史にリンクしたタイトルでもある。敗者にはどこか残酷に感じるほどの国立の晴天を見上げるしかなかったOB選手たちの悲願を叶えられてのだと改めて実感したのだ。

早朝に国立競技場近くののホープ軒で食べたラーメンの味、浦和美園駅までの道のりを放心状態で歩いた時の感覚さえも蘇ってきた。初タイトルと同じくらい、クラブにとって価値のある初冠だと思う。

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対戦相手の札幌さんはファイナル初出場ながら、自分たちが志向するサッカーをしっかりとピッチ上に表現し、それに応えるようにサポーターの熱量を表したコレオ・応援には対戦する私も心が震えた。

まるで、ファイナル常連のような堂々たる振る舞いには、クラブが積み上げてきた歴史と経験が濃いことを強く感じた。タイトルを争う場面で対戦するときは、絶対来るはずだ。素晴らしい対戦相手と戦えたことにも感謝だ。

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歴史を動かした一日、一生忘れない試合。

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