ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:リポビタンDチャレンジカップ2019・日本代表-南アフリカ代表

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9月6日、ラグビー日本代表の試合観戦のために熊谷に遠征。

ラグビーダウン・熊谷

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サッカーファンにおける「熊谷」といえば、大宮アルディージャさんのホームゲーム、あるいは天皇杯で利用する熊谷陸上競技場でお馴染みだろう(筆者も3年前の大宮戦で初めて足を運んでいる)。

一方、ラグビーファンの間では、熊谷は「ラグビータウン」として知られており、同大会の開催都市として、3試合が行われることになっている。

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(大会アンバサダーを務める埼玉出身のハロプロ現役&OGメンバー)

自国開催のラグビーW杯を控えた日本代表の最後のテストマッチは、壮行試合に相応しいラグビー熱の高い場所であると同時に、本大会に向けたリハーサルとして開催された。

○ 大会に向けた特別態勢

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(熊谷で試合を行う国々の幟)

試合会場の熊谷ラグビー場に向かう前に、W杯期間中も利用される「ファンゾーン」に足を運ぶ。

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(熊谷駅から徒歩8分にあるファンゾーン)

ファンゾーンは、パブリックビューイングに加えて、食事をしながら屋台などが並んでおり、開催都市の盛り上げを創出する空間として位置づけられ、各開催都市においても準備が進んでいる。

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パブリックビューイングは連日開催予定)

ちなみに、スタジアム同様、手荷物検査が徹底されている。

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(富士山登頂もしたウェブ・エリス・カップ

また、この日はW杯の優勝国に送られるウェブ・エリス・カップが飾られていたので記念ツーショット。オールブラックスのリッチー・マコウ選手が掲げる映像を幾度となく見ていたので小さいサイズのイメージを持っていたが、マコウ選手が大きいのだと実感する。

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また、ファンゾーンは、スタジアムの無料シャトルバスの発着場所の役割を担う。車道を封鎖して設けられた無料シャトルバス乗り場に向かうと、おそらく県内からかき集めてきたであろうバスの大群が待ち構えていた。

筆者は比較的早く足を運んだこともあるが、10分程度でスムーズに乗車→発車。満員になるのを待つのではなく、出来る限り待機者を作らず、回転率を上げる運用のようだ。おそらくだが、本大会期間も行きのアクセスには問題無いだろう。

このような運用を形成するにあたり、多くの人員と物量が割かれていることからも、観戦者ながら、W杯の開催規模のスケールをヒシヒシと感じたりもする。

○ 専用スタジアムが生み出す独特の雰囲気

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(長蛇の列ができる熊谷ラグビー場

バスに揺られること約15分、試合会場のある熊谷スポーツ公園に到着。既にスタジアム入場の長蛇の列ができていたことに驚く。

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売店スペース等は全てゲート内にある)

再入場不可、指定席ゾーンも非常に多いはずなのだが、飲食・グッズ等のスペースが全て入場ゲート内の敷地内にしかないからであった。こうした運用は、大会期間中、他のスタジアムも同じかもしれない。

一方、筆者の座席に割り当てられたエントランスはすぐ入ることができた。手荷物検査+金属探知機に加えて、この日限定で認められたペットボトルの安全性確認が行われた。

乃木坂46のライブ並みの厳重態勢(わかりづらい例え)だが、国際大会ではスタンダードだという印象もある。大会期間はペットボトルのチェックは無いので、些か円滑に進むかもしれないが、観戦予定の方は時間に余裕を持った行動をオススメしたいところ。

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(メインスタンド入口の階段を登る)

スタジアムに入場。メインスタンドをの階段を登り、ゲートをくぐり、ピッチが見えてくると高揚感は一気に高まる。

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新しいスタジアム独特の匂い(雰囲気を含む)はもちろん、専用スタジアム特有の距離感が堪らない。コンパクトな2万人規模のスタジアムだからこそ作り出されるわい雑感(天野春果風)は観戦者にとっても嬉しいところだ。

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ちなみに、サイドスタンドの上層部は仮設で増席されている。

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サッカーW杯が行われたロシアのスタジアムでも見られていたが、個人的には楽天生命パーク宮城の外野席を思い出してしまった(汗)

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売店などはコンコースも含めて各所に設定されているが、どこも混雑状態。一般的な動員規模に対する売店数は悪くないと思うが、飲食物が持ち込み禁止のため、観客数に対する利用者割合が多く、先述の区画の問題もあり、上手く回らなかった印象がある。

自由度の低さは、大会運営上の制約との兼ね合いもあるため、観戦者としてはなかなか難しいところだと感じた。

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なお、筆者は、世界の強豪()を前に個人的に強化試合を図ろうと思っていたが、長蛇の列に万事休すと思ったが、場内にハイネケンの売り子がいたので助かった。ローカルスタイル、おそらく海外のファンにウケるだろうが、数捌けるかは不安なところだ。

○ 敢えて選んだ険しい道だからこそ

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大会前の最後のテストマッチの相手に強豪・南アフリカ代表を組んだジャパン。

4年前の奇跡の勝利で若干感覚が鈍っているが、4カ国しかいないラグビーW杯優勝国(自国開催の初優勝の軌跡はクリント・イーストウッド監督作品『インビクタス負けざる者たち』でも描かれている)であり、現在進行形の超強豪国だ。

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本大会への期待を膨らませる華試合ではなく、あくまで大会を見据えたテストマッチであるという位置づけには勇気も感じた。だからこそ、結果はともかく試合内容に注視して観戦。

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予想どおりではあるが、前半からスプリングボクスの前に攻守で厳しい展開。全体的にミスの多さ、プレー精度の低さは気になる。ティア1相手には許されないところだろう。

練習量で高めてきたフィジカルの部分で健闘できていたのは救いではあった。スクラムで潰されず、モールの場面でも極端に押し込まれるケースは見られなかった。体格に優れ、当たりの強いスコットランドアイルランドとの対戦が控えているだけに、数少ない収穫と言える。

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後半は修正が見られたが、ゴールライン手前の攻防でフェイズを重ねてトライを奪うことができなかったことは、やはり強豪国の壁を否が応でも感じざるを得なかった。密集戦の守備の密度、キックを利用した陣地挽回やスペースメイクの部分など、日本はまだまだだと感じた。

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それでも、松島選手の快足を生かしてトライを奪った場面は会場のボルテージを一気に高めてくれた。

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終盤の2トライは勿体なかったが、ポゼッションを高めて攻撃の時間帯を長くとること、オフロードパスを繋いで、相手陣内に攻め込むかたちを見せることができたのは悪くなかった。

ただし、連動性が求められるだけにパスと受け手の精度はこだわって欲しいところ。1本繋がればトライになるところを落としてしまった場面、相手のカットから一気にトライを奪われた場面はわかりやすい事例だろう。

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7- 41でホーンが鳴る。奇跡は簡単に起きるものではないし、ザラっとする確かな感触を持って突きつけられた現実だろう。

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日本代表が強くなっているのは確かだが、世界の強豪も研鑽を積んでいる。他競技と同様、世界という壁はベルリンの壁のように、ある日を境に無くなったりするものではないのだろう。

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しかし、壁の厚みと高さを把握できるようになり、どう乗り越えるかを突き詰める段階に入ったことはラグビーにしても、アメリカ戦を終えたバスケ日本代表には言えるだろう。

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ナショナルチームの戦いもまた「終わりなき物語」なのだ。奇跡の南ア戦から4年、積み上げてきた物語で構成された1つのチャプターの集大成は華やかに締めくくりたいところだ。

◯ 祭りの「終わり」と「始まり」

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試合後、行きと同様、シャトルバスで駅まで戻る。流石に観客が一気に出たのでシャトルバス列は長くなっていたが、バス台数も相当数あるので物量作戦で乗り切る。40分程度導線をグルグル回って乗車→発車。交通規制の影響もあり、駅前までスムーズに行くことができた。スタジアムを出た瞬間は若干、面を喰らうかもしれないが、本大会で訪れた際は素直にバスを待つことが良いと思われる。

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日本一暑い街で行われた熱い戦いが、これから日本各地で繰り広げられていく。そろそろ耳を傾ければ祭囃子の音が聞こえてくるはずだ。

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