ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ-名古屋グランパス

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5月17日、周囲が残業体制に入る中で「強い気持ち」で退社して等々力へ向かう。

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業務内容がガラリと変わった異動先、「金曜ホーム+日曜アウェイ」の今季の日程の双方にも慣れてきた今日この頃。しかし、今日の対戦相手は気持ちの入り方が少し違っていました。

名古屋戦の試合観戦を通じて感じたことは、以下のとおりです。

〇 プロレス観戦後のような余韻

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ライブ観戦で初めて「感情が爆発する」体験をしたのは、プロレスでした。大技が決まり、食らった相手もカウント2.9で返す。

肉体のぶつかり合いから生まれる一連の攻防に興奮し、低重心ストンピングする自分。日常生活では体験できない感情の高まりを覚えたことで、会場に足を運ぶ契機となりました。

そうしたプロレス観戦でも、感情の行き場を失うような試合を何度も経験しました。高度で危険な技と切り返しの連続する壮絶な試合には、己の存在意義を観客に問いかけるプライドのぶつかり合いを垣間見ることがあります。

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試合終了のホイッスルを耳にしたとき、そうした過去のプロレス観戦の記憶が頭をよぎりました。両クラブのテクニカルな攻防はジュニアヘビー級のハイテンポな技の応酬に見え、豪快なゴールシーンはヘビー級レスラーが繰り出す大技のダイナミズムを見ているような衝撃を受けていました。

ピッチ上で繰り広げられたのは間違いなくフットボールの風景であったはずなのに、受け手として感じたものは普段とは違うものでした。

観戦後、気持ちの整理が出来なかった時、大きく深呼吸をすることがあります。この日も無意識に、自分を落ち着けるように大きく息を吸っていました。

負けなかった、勝てなかった、ダミアンさんの怪我は大丈夫なのか、名古屋さんの攻勢がとにかく怖かった等、終わったはずの試合が脳内では95分を過ぎても止まりませんでした。余韻だけでも、この試合の特殊さを考えさせられます。

 〇 「しなやかな」強さ、「ブレない」強さ

昨季から「同門対決」「同じDNAを持つチーム同士の対戦」などと言われた名古屋さんとの対決。独特のサッカー観を述べてきた風間監督の志向を試行錯誤の上に体現してきた両クラブだけに、単なる古巣対決という切り口に留まらないことは自分も理解しています。

一方、対戦する当事者としては、同門対決といっても、Berryz工房と℃‐uteぐらい違っている(表現が古い)。何が言いたいのかといえば、プロデューサーが同じでも、メンバーや楽曲が違えば、全く異なる景色を見せてくれるように、両クラブのサッカーも似ているようで違ってくるわけです(無駄に早口で)。

今回の対戦を振り返ると、両者の違いを印象付ける試合内容であったと思います。

川崎・鬼木監督は、風間監督時代に培った「ボール握る」技術を駆使した攻撃スタイルに加えて、「相手からボールを奪う」守備を上積みさせて「上手いチーム」を「強いチーム」に変貌させました。今季の川崎は、自陣からのロングカウンター、個の力を活かしたシンプルな攻撃等も組み込もうとトライ&エラーを重ね、融合が進めてきました。

前年王者として戦った昨季は、対戦チームからの徹底した対策が行われることを強く理解させられる1年でした。だからこそ、従前の「川崎らしい」戦い方に固執することなく、変幻自在の「しなやかな」強さを目指すという今季のチームの志向は必要な進化であると考えています。

これに対して、風間監督が率いる名古屋さんは、自らのスタイルを突き詰め「ブレない」強さを目指す姿勢を感じさせられました。川崎も「握る」「奪う」という部分を意識しておりますが、名古屋さんは「握り倒す」「奪われない」くらいの強い気持ちを感じさせられるプレーの印象を受けました。

ジェジエウ選手とのフィジカルバトルを展開したジョー選手に対して、川崎イレブンはボールをなかなか奪うことができませんでした。同点で迎えた終盤、名古屋さんにボールを握り続けられた川崎は、押し込まれ、耐える展開を強いられました。跳ね返し、耐える展開は何度も乗り越えてきたディフェンス陣の奮闘で引き分けに持ち込むことができましたが、今までにない大きな脅威を感じました。等々力に強風を吹き込ませた名古屋さんの進化を川崎の選手、サポも体感する90分であったと思います。

〇 名古屋が突き詰めたい「奪う力」、川崎が立ち返るべき「握る力」

名古屋サポさんのブログ等を拝見したうえで、ピッチ上の事象を振り返ると、名古屋の前線の選手たちが即時奪回の意識が徹底されていることがわかりました。川崎の選手がボールを奪っても、プレスをかけて奪い返す場面が何度も見られました。

今季の名古屋さんの失点が少ない要因であり、この試合においてもラインを上げてコンパクトな陣形を維持できていたのも、こうした仕組みを組み込んだからだと思います。

ただし、この点に関しては、川崎側も得意とする部分でボールの奪い合いにおける球際の強さ、相手の仕掛けを綺麗に刈り取る読みの守備を前半から随所に発揮することで相手の決定機を潰してきました。名古屋さん側からすると、特に前半は川崎の守備陣に攻撃の芽を摘まれてきた印象を強く受けたのではないでしょうか。

一方、川崎側に立つと、ボールを扱うところのミスの多さが気になりました。当方が勝手に述べるところの「トメルケール」(ボールを止める、蹴る)が疎かになっているとまでは言いませんが、名古屋さん側の方が徹底していました。

簡単なミスで相手にボールを渡してしまった場面は勿体なかったですし、ダミアンさんの怪我の影響もありましたが、終盤におけるプレー強度では名古屋さんが完全に上回られました。

同じ土俵で勝負するのであれば、ボールをもっと丁寧に扱わなければならない。相手を凌駕する技術を持つ家長選手の不在を痛感するとともに、原点に立ち返る必要性を感じさせられる試合でもありました。

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次回対戦時、どちらのチームがボールを愛し、愛されるのか、「求愛方法」にも注目したいと思います。

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以上です。技術という名の玉鋼を材料に鍛錬を繰り返し、切れ味の鋭い攻撃サッカーの刀を生み出そうとする刀鍛冶のような所業を続ける名古屋さん。そんな名古屋さんの刃を打ち破りし時、3連覇の道は開けるのではないかと。Jリーグで一番面白く、熱い「決闘」を制するために、進化を続けるチームを後押しできればと思います。

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