ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ‐名古屋グランパス

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9月22日、等々力で名古屋さんとの試合を観戦。

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(まるで鏡映しのようなウォームアップ。トメルケールウォーズ)

風間前監督を対戦相手として等々力で迎え撃つ。燃えないわけがない。

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(MOMは貴重な追加点となるゴールを奪った阿部選手。荒稼ぎラスカルタイム)

試合は3得点を奪った川崎が勝利。観戦を通じて感じたことは以下の点です。

 

エドゥアルド・ネットを封鎖せよ

名古屋さんは、夏の移籍期間に積極補強を実施し、第25節までに7連勝を達成する快進撃を果たしてきました。風間監督のフィロソフィーは開幕当初から1ミリもブレず、前線のテコ入れは前田選手のみながら、攻撃力を上げることができたのか?この点については、名古屋サポさんが多くの分析を拝見しておりますが、今節の対戦を振り返るうえでも、理由の1つである「ビルドアップの安定」という部分に着目したいと思います。

フロンターレもそうですが、名古屋さんは、後方からのビルドアップにおいてMFが1人、2CBの間に下りてくるメカニズム(戦術用語では「サリーダ・ラボルピアーナ」と呼ばれる)を採用しております。両サイドバックを高い位置に押し上げ、最終ラインと中盤以降の数的有利を作ることができます。

川崎においてエウシーニョ選手、名古屋さんであれば金井選手がそうであるように、本来はSBの選手が得点を量産する背景は、本人の得点能力もありますが、SBが攻撃参加をしやすいアプローチを採用しているからです。

「イイことだらけ」に聞こえるサリーダ・ラボルピアーナですが、ディフェンスラインに求められるタスクも多岐に渡ることが1つのハードルです。風間監督がMFの選手を最終ラインに起用する背景は、こうしたタスクをクリアできる人材を配置するためでもあります。ただし、忘れてはいけないのは、最終ラインで相手の攻撃を止めるというディフェンス本来の役割も求められ続けるということです。

前半戦の名古屋さんは、このメカニズムの脆弱性を突かれて失点する場面は少なくなかったと思います。夏の移籍期間にディフェンス陣の補強に力を割いたのも、単純な守備力の強化と言うよりも、後方からのビルドアップの質を高めることを意識したからだと考えることができます。その意味では、フロンターレからネットさんを獲得したのは非常に大きかったと思います。長短のパスを駆使して最終ラインからボールを供給する役割を果たすと同時に、驚異的なボールキープ力を発揮することでボールを持ち続ける状態を作り出すことができるからです。

自分は、フロンターレの名古屋攻略のカギを握るのは、得点源のジョー選手を抑えるだけではなく、多くのパスルートに関与するネットさんをいかに封じるか?という部分に着目して観戦に臨みました。これに対して、フロンターレが出したアンサーは「憲剛さんをつける」という単純明快なモノでした。

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(試合中、ネットさんに対して憲剛さんが単独でプレッシャーをかける場面が何度も見られた)

最終ラインに吸収されたネットさんに対し、憲剛さんが執拗にプレッシャーをかけ続けることで、名古屋さんの中盤へのパス供給の拠点を突いてリズムを崩させると同時に、ネットさんのメンタルにも揺さぶりをかけることに成功します。試合後会見において「自分達のリズムが作れなかった」と風間監督も述べておりましたが、ネットさんを窮屈にプレーさせる状態に持ち込ませたのが大きかったと考えています。

〇 鬼木フロンターレの真骨頂

「風間監督のスタイルを宿す2チームの対戦」という構図を意識して観戦に臨みましたが、試合を終えてみると鬼木フロンターレのカラーが浮かび上がった試合だったと思います。

本ブログでも何度か書いておりますが、ボールを保持するスタイルというベースは同じですが、鬼木監督は風間監督のスタイルに「攻守の切替」と「球際の強さ」の部分を付け足しました。

今季は、相手の動きを予測した読みのディフェンスで相手の攻撃を遮断し、ロスト時からのボールの即時奪回、スイッチを入れて相手からボールを「狩る」側面にも力を入れることでボールを保持し続けるための守備を実践してきました。相手からボールを取り上げることで自分たちが握り続ける状態を維持し、相手の決定機を作らせないアプローチが鬼木フロンターレの守備を支えています。

相手のプレッシャーを無効化するために、終盤でボールを繋ぐかたちも夏以降に見えてきたかたちだと思います。勝ち切るための手段としてのロンドは、時間を使いながら、敵陣内で相手にボールを握らせずに締めることができますし、このスタイルを続けてきたからこそできるアプローチだと思います。

たしかに、劇的な進化は無いかもしれませんが、ディティールは日々成長の過程にあると思います。味を付け足すことで深みを出していく秘伝のソースというわけではありませんが、鬼木フロンターレの進化と真骨頂を表現することができた試合だと思います。

〇 等々力に吹きこんだ「突風」

前半2得点を奪ったフロンターレは、後半もボールを支配し、3点目を狙って決定機を作るなど試合を優位に進めていきましたが、前田選手のゴールで雰囲気が一転させられました。正直、「やられた」という悔しい気持ちと、一連の素晴らしい流れに心を奪われてしまった自分がいる複雑な気持ちでした(笑)

ピッチを広く使いながら、中央でテンポよくボール繋ぎ、「何故かそこにいる」サイドバックの選手からのスルーパスに抜け出してシュートに持ち込む。まるで、風間監督が志向するサッカーが突風のように等々力に吹き荒れた瞬間でした。

パターン化しないからこそ、ピッチ上でスタイルを表現できるかが日々進化の証跡となる。肌感覚で触れて、同じルーツを持つチームだからこそ今後も対戦を重ねていきたいと強く感じました。

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以上です。猛チャージで首位の背中が見えてきました。しかし、連覇のために一戦必勝は続きます。まだまだ、シーズンはココから!さらに力強く前進していきましょう!!

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