ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦休題:楽天生命パーク宮城で感じた球場ビジネスの最前線

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4月15日、仙台遠征を利用して楽天イーグルスの本拠地・楽天生命パーク宮城を訪問。

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以前から足を運びたいと考えていた球場ではありましたが、本年は遠征日程と試合日が上手く重なったため、念願の初訪問となりました。

〇 「スタジアム」ではなく「パーク」

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仙台駅から徒歩20分(シャトルバス8分)の宮城野原公園総合運動場内にある宮城球場魔改造命名権変更を繰り返し、現在の姿に進化した「楽天生命パーク宮城」。

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球場名に「スタジアム」ではなく「パーク」と名付けたように、同球場は本場・アメリカの球場作りを強く意識したボールパーク化を進めてきました。

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(観覧車が目印のグリコスマイルパーク)

球場が目指すべき方向性を象徴するのが、観覧車が目印となる外野裏に設置された「グリコスマイルパーク」の存在です。

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観覧車等のアトラクションを楽しむことや、カフェで試合前の空いた時間を過ごすことができる同パークは、視界の先にグラウンドが見えてこなければ、野球場の一角にあるとは想像しづらい空間です。

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正直、足を運ぶ前は「観覧車が球場運営に必要なモノなのか?」という素朴な疑問を持っていました。しかし、実際に足を運んで感じたことは、単なる話題作りだけでなく、観客が球場で長い時間を過ごし、楽しんでもらう=顧客満足度を高めるための仕掛けであるということです。

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(この日、場内を走っていたロンドンバス)

特異性の部分で言えば、現時点では国内唯一の取組であることから、今後の進化・活用も気になる存在です。

〇 好みに合わせた観戦方法を選択できる構造

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スタジアムに入ると、様々な席種が揃えた球場の異様な構造に驚かされます。

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(一塁側内野席にあるバー形式のイーグルズネスト)

売店を求め、試合前の時間を利用して場内を散策しましたが、様々な形態のシート・スペースを見つけることができました。

たしかに、各球団の本拠地球場ではテーブルシート、団体観戦席等の充実化を目指し、魔改造に取組んでいるところですが、こうした動きの背景にあるのは、観戦に対するセグメント化の考えが浸透してきたからだと思います。

たしかに、応援歌を熱唱して一生懸命応援したい人もいれば、じっくりと見守って観戦したい人も、友達とワイワイと観戦したい人もいると思います。チケット購入時に「席の種類多すぎ」と頭を抱えましたが、おそらく今後の球場運営においても強く進められるのではないかと。普段、なかなか球場を歩き回ることがありませんので、今回の観戦を通じて1つのトレンドを垣間見ることができたと思います。

〇 「選択と集中」ではなく「揃える」スタグル

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(選手プロデュース弁当も豊富な品揃え)

また、当日はデーゲーム観戦(13時試合開始)ということで、筆者も昼食を球場で調達しようと考えて売店を見て回ったのですが、バリエーションに富んだお店の数々に目移りする状況でした。

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(則本選手プロデュース弁当をチョイス)

球場飯の定番・お弁当類をはじめ、球場オリジナル、阿部蒲鉾店等のご当地グルメ、大手ファストフード、さらには楽天市場の人気グルメに特化した店舗などもありました。

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(個人的にツボだった合鴨スモーク串)

たしかに、遠方からの来場者でご当地グルメを食べたい人もいれば、ファストフードで手軽に済ませたい人、昼からガッツリ食べたい人、飯ではなく、酒のつまみ類を揃えたい人もいます。「選択と集中」ではなく、観客の多様なニーズに対応できるように「揃える」という編成は、様々なジャンルの商品を取扱うことで成長をしてきた「楽天市場」のDNAを垣間見た気がします(汗) 

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余談ですが、ビールクズとしては、オリジナルブランドのイーグルスビールが美味であったことを報告できればと思います。

 〇 決済システムの導入

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球場内で買い物をするうちに気づいたのが、同球場において、楽天グループ会社が運営のプリペイド電子マネー楽天Edy(ラクテンエディ)」が決済手段として普及(緩く推奨)されていることに気づきました。

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実際、自販機からビール売り子に至るまで、球場全体で広く利用できる手段として進めており、スタジアムEdyカードを利用することで楽天ポイント・割引特典の周知等を行っていました。欧州のサッカークラブでは、スタジアム決済専用のICカードではあると耳にしていますが、グループのインフラを直接導入することにより、日本でも実現していることには驚きました。

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観客・販売側は支払に係る煩雑さを回避できることはもちろん、楽天サイドとすれば「楽天Edy」利用者を増やす契機にも繋がることから、ある程度のWin-Winの関係性を築けるのではないかと考えています。

〇 「米国かぶれ」ではなく「融合」

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試合の方は、初回に大量8得点を奪うなど大量得点を奪ったイーグルスが勝利。お目当てだった松井裕樹投手は最後ヒヤヒヤでしたが(汗)

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これまでの記述において、米国風のボールパークの魅力などを語ってきましたが、試合における応援・試合を盛り上げる演出等は見慣れた光景でした。

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メガホンバット、ネームタオル応援、そしてジェット風船といった日本ではお馴染みの応援スタイルが展開され、ある意味でリラックスして観戦することができました(笑)

やはり、全てをアメリカ風にアレンジするのではなく、日本の野球文化に噛み合わせていく方向性は良いと思います。この点においても、観客に「選ばせる」のではなく「双方を併せ持つ」という選択肢を提示している点も好感を持ちました。

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(試合終盤にかかった虹が綺麗でした)

以上です。野球観戦歴はそこそこありますが、ココまで刺激を受けたのは久々でした。(悪い意味ではなく)ビジタースタジアムに行くのは外国に行くようなものだと、常々感じていると思いますが、今回ばかりは大陸を超えたくらいのインパクトでした。スタジアムやスポーツビジネスに関心のある方は、フィールドワークとして足を運んで見ても損は無いと思います。

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