ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:なでしこ・EAFF E-1 サッカー選手権2017 決勝大会(女子・3日目)

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12月15日、フクダ電子アリーナでE-1 サッカー選手権2017の女子最終日を観戦。

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2010年以来の同大会の優勝を目指すなでしこジャパンは、3連覇を目指す北朝鮮と対戦。試合は、後半に見事なミドルシュートで先制点を奪い、さらにカウンターから追加点を挙げた北朝鮮の前に完敗。幾度となく苦しめられてきた北朝鮮の高い壁に再び跳ね返られる結果となりました。

〇 ディティールアップが求められるジャパンウェイ

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日本は、高い位置にラインを設定し、コンパクトな陣形を作りました。適切な選手間の距離を維持することで、相手のボール保持者に対し、人数をかけて素早くプレスをかけてボールを奪う意図が見えてとります。

お約束の話なのですが、ハイラインの裏には広大なスペースがありますので、前半の北朝鮮は裏のスペースを狙ってロングボールを蹴ってきます。しかし、今大会でCB起用の鮫島選手の俊足とカバーリングでスペースをケアし、相手の突破を許しませんでした。

また、球際の強い相手の潰し役として獅子奮迅の働きを見せていた阪口選手、サイドで粘り強く対応する宇津木選手といった歴戦の経験者たちの高いタスク処理能力が戦術を機能させていたと強く感じる戦いぶりでした。

高倉監督が志向した戦術アプローチは、フィジカルに勝る相手に対峙し、日本人選手の俊敏さ・運動量を駆使する戦術としては理解できますが、対価として攻撃にリソースを回すことができない課題が浮き彫りになりました。

例えば、上記の選手たちに当てはめると、CB起用の鮫島選手は終盤まで攻撃参加・決定機に絡むことができず、なでしこリーグでは多くの得点を奪ってきた阪口選手も守備に追われ、パスをさばくのが精一杯という印象です。そして、運動量・体力を摩耗するアプローチを採用したものの、攻撃に素早く移行するための守備として機能することなく、相手の攻撃を止めることに終始していたことで、攻守のバランスの観点からはコスパの悪さが際立つ内容になってしまいました。

さらに、今大会に全線で起用された岩渕、田中美南、籾木各選手は、テクニックと俊敏さを武器に攻守に非常に奮闘しましたが、北朝鮮のタフでサボらずに走りきれる組織的な守備の前にゴールはもちろんシュートに持ち込む場面も作れませんでした。

組織で崩す部分を突き詰める、あるいは裏に抜け出して鋭い突破を図るにしても攻撃のスイッチを入れる宮間選手のような司令塔、個の力でゴールを奪うには永里選手のように前線で身体を張れるようなCFの選手が不在の大きさを実感する結果でもあります。

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今回の敗戦を踏まえ、課題の修正とディティールアップが求められる内容です。来るべく女子W杯、そして東京五輪に向けて、なでしこジャパンの試練は続きますが、女子サッカーを応援し続けている方々とともに、盛り上げていければと思います。

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