ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

観戦記:ACL・川崎フロンターレ-水原三星ブルーウィングス

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水曜日は、等々力陸上競技場AFCチャンピオンズリーグ(以下「ACL」という)のグループステージ・水原三星戦との試合を観戦。

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(両ゴール裏が閉鎖されたため、この日の観客の密集度が高かった)

鬼木新監督が率いる新生フロンターレの今季初の公式戦は1-1の引き分け。試合を終えて考えたことは、以下の通りです。

1.鬼木新監督のシステム更改案

2012年シーズン途中から指揮を執られた風間前監督からバトンを受けた鬼木達監督は、就任後のインタビュー等において、風間さんが作り上げた攻撃的なサッカーを継承し、新しい要素を加味するといった趣旨の発言をされていたと思います。

企業等で利用するシステム更改で置き換えて考えると、現行システムの基盤を維持しながら、システムの一部更改を実施する旨の開発案を提示しているのに近いのではないかと思いました。ハイブリッド案と評することも出来る更改案の利点は、完全リニューアル時のような開発リスク・コストがかからない点であり、現行システムのパフォーマンスレベルが計算できることだと思います。

しかし、新規開発の部分が現行システムと異なる開発言語で作成することになったらどうでしょうか? 1つのシステムを動かすためには2つのアプリケーション同時起動することが必要になれば、操作性・使い勝手は低下すると思います。どの分野においても、築き上げたモノに新しい要素を加味することの難しさは、こうした状況にあると考えています。そして、鬼木監督ならびに今季のフロンターレが直面する最初の課題であると、本日の試合を見て感じました。

2.鬼木フロンターレの総合運転試験

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(両チームともに今季初の公式戦。局面のプレーで粗さが目立つ内容だった)

その意味で、この日の試合は新システムの総合運転試験といったところでしょうか。試合を振り返ると、両チームとも今年初の公式戦ということもあり「粗さ」は感じました。プレーに対する緻密さ、正確性は川崎のサッカーの生命線であることは、鬼木新監督においても不変であることは選手たちのプレーを見れば一目瞭然であり、この部分の「質」を早い段階で一定水準まで引き上げてほしいところです。

一方、鬼木新監督の意図していた新規開発の部分は随所に垣間見ることができました。キャンプ中に選手からコメントが出ていた「ボールを奪う」部分は、高い位置や中盤の密集した位置でボールを保持する相手選手に圧力をかけるアプローチが、試合全体を通じて見られたと思います。また、成功率は高くはありませんでしたが、従来のパスワークに味方を飛ばす、スルーする動き等を交えて距離を延ばすことで、相手の意表を突くだけでなく、攻撃を展開するまでの時間のスピードアップを促すことが出来るのではないかと思います。選手たちのコメント等も含めて考えると、今季のキャンプ等を通じて仕込んで、準備してきたプレーだと思います。

本日の対戦相手の水原三星は、仕上がりとしては川崎同様にまだまであると感じましたが、Kリーグのチームらしい、球際での強さ、プレッシャーのかけ方などを見ると、高いプレー強度がピッチ上で求められたと思います。そうした対戦相手のプレッシャーの中で実践できたことは良かったと思います。同時に、プレーの成功率が低かったことを踏まえると改善が必要であることはよくわかりました。

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試験結果としては、失点を含めて不具合は発生したことは否めませんが、新規開発部分の稼働実験としてはまずまずであったこと、何よりも試験中止になるほどの大規模トラブルが発生しなかった点は、次戦に繋がるのではないでしょうか。

 3.鍛「連」の時期

また、選手単位で見てみると、この日の先発メンバーのうち、今季新加入の選手は3名(舞行龍選手、阿部選手、家長選手)が名を連ね、途中出場でハイネル選手が登場するなど、観戦していて新鮮な感覚を受けました。個人的な印象としては強烈なインパクト、とまでは言いませんが、各選手ともに自分の色を滲ませていたと思います。

舞行龍選手は、ビルドアップ時のボールの入れ方は良かったと思いますし、高さの部分では存在感を出していたと思います。阿部選手は、ガンバ時代からの代名詞とも言える豊富な運動量を武器に素早いチェック、上下運動を繰り返しており、今季の鬼木さんが志向する積み上げの部分で求められるタスクをこなせていたと思います。そして、家長選手に関しては、ボールをキープする身体の強さ、難しい体勢からのシュート等の技術の部分では目を見張るモノがあり、川崎においても風間前監督の言葉を借りれば「個人戦術」になりうるポテンシャルを改めて感じました。

あと、短いながらもハイネル選手は、何度か見せたボールの出し方を見ただけで恐縮ですが、思ったよりも視野を広いように感じましたが、空いたスペースに出すというアプローチであったことも含めて、意識のすり合わせを進めてもらえれば、良いアクセントを作れる選手になるのではないかと思います。

ただし、各選手ともに個人でのプレーに存在感は見せたものの、他の選手との連携面はまだまだといった印象。リズムやテンポの部分はもとより、周りの選手との関係性をいかに構築できるかが今後のチームのパフォーマンス向上の鍵になると思います。

チーム単位の新規開発部分を軌道に乗せつつ、選手間の連携を密接にしていくことが当面の課題になると感じました。

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以上です。2017年初戦は、ベンダーさんとの打ち合わせみたいな試合の感想を書いていて寝落ちしてしまいました。でも、今シーズンが始まった実感はほろ苦くも嬉しい感覚です。応援するクラブとともに喜怒哀楽をともに過ごす日々の到来に胸を弾ませつつ、今年も頑張りたいと思います。

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