昨日は、明治安田生命Jリーグチャンピオンシップ準決勝を観戦。
年間2位・川崎と1stステージ王者・鹿島の対戦は、0-1で鹿島が勝利。今回の試合を通じて感じたことは、以下のとおりです。
1.スタイルの激突
虎の子の先制点を奪い、水を漏らさぬ集中した守備で勝ち切る。川崎は、鹿島さんの「定石」を打ち破ることが出来ませんでした。
鹿島アントラーズが日本で最も多くのタイトルを獲得してきた理由は、クラブに「スピリッツ」と「スタイル」が宿っているからだと常々考えています。個人的な考えですが、鹿島さんの勝利は、勝者のメンタリティー、あるいは勝負強さのような1試合単位で図れるものではなく、歴史とともに積み重ねてきた土台の上にある、立ち返るべきスタイルをピッチ上で表現できたからだと感じました。
一方、数年ぶりに優勝争いを繰り広げ、この舞台にたどり着いた川崎フロンターレも、時間をかけて自分たちの「スタイル」を磨いてきました。1からの積み上げ、世代交代を含めたメンバーの入れ替わりもあり、5年近くの時間を要しましたが、今季はスタイルの成熟を感じさせる戦い方だったと思います。特に、セカンドステージでは、様々な要因で選手起用に苦慮しましたが、成績的に大崩れすることなく勝ち点を積み上げることが出来たことは、チームが追及するスタイルがあったからだと考えております。
だからこそ、この日の川崎に足りなかったことは、積み上げてきたモノをピッチ上で色濃く表現できなかったことに尽きます。守備の粘り強さ、若手選手の頑張りといった部分で何とか対抗できたものの、フィニッシュの精度、相手の激しいプレッシャーの中での判断といった部分では鹿島の「型」を崩すためには物足りなかったと思います。
肝心の試合に敗れてしたものの、この日に至るまでに見られた川崎市内、あるいはクラブが友好協定を結んだ陸前高田市での盛り上がりは大変素晴らしいモノでした。
陸前高田市でもCSポスターを掲出していただいているのは昨日もお伝えしましたが、今日は市役所の正面入口に横断幕を掲出していただきました!皆さんからは「もうぴぁっこで優勝だ!けっぱれ フロンターレ!」と熱い声援をいただきました!#frontale #いざ決戦 pic.twitter.com/X1jo926QA4
— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) 2016年11月21日
クラブを応援するファン・サポーターの範疇を超えて、街全体が水色に染まっていく過程を目にして、静かな感動を覚えていました。「スポーツで街を元気にする」、Jリーグの理念や天野春果氏が常々語っていたものが鮮やかに映し出された風景でした。
CSを盛り上げるべく、川崎市役所旧本庁舎の壁面ににユニフォーム型ビックフラッグを取り付け中!写真の通り、存在感抜群です! #frontale #いざ決戦 pic.twitter.com/Q4xD8M7deg
— 川崎フロンターレ (@frontale_staff) 2016年11月18日
今回の盛り上がりは、通常のリーグ戦ではなく、チャンピオンシップという大会方式を最大限に生かしたアプローチであると思います。1人のサッカーファンとして、年間王者の決定方式としての違和感は大いにありますが、使えるものは最大限に利用して効果を引き出す意味では1つの答えを導き出したと思います。
ある種の祭りに向かって邁進する地域に一体感が生まれる中、慌ただしくも充実した時間を過ごしながら、変な話ですが「このまま試合の日にならないで欲しい」という思いも芽生えるようになりました。
少々強引な発想かもしれませんが、映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』において、終わりなき文化祭前夜を願っていたラムちゃんの感覚に近いものだったかもしれません。
試合に敗れた瞬間、敗戦のショックと同時に、夢の世界から目覚め、現実の世界に引き戻される感覚に寂しさを覚えました。今年でクラブを去る風間さんや嘉人さん、天野さんや高尾さんたちと、もう少し同じ夢を見たかった、コレが今の素直な気持ちです。
「11月23日」。13年前の同じ日、私は超満員の等々力に駆け付け、大きな喪失感を味わいました。正直、降格を経験した時以上に心が折れた瞬間でした。
ただし、同じように等々力に自分が立っていたことも事実です。この時はもちろん、快晴の国立競技場、雨の日立台で幾度となく経験してきた挫折から復活したように、12月24日の味スタに戻っていけるように心の準備を始めていきたいと思います。
それでも、私は川崎フロンターレが好きだから。