『能町みね子のときめきサッカーうどんサポーター』、略して 能サポ (講談社文庫)
- 作者: 能町みね子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/05/13
- メディア: 文庫
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ジャイアントキリング発サッカーエンターテイメントマガジン GIANT KILLING extra Vol.01 (講談社 MOOK)
- 作者: 講談社
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ジャイキリ読んで〇〇してきました (KCデラックス モーニング)
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- 発売日: 2014/01/10
- メディア: コミック
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◯ 「サッカー」から「うどんサッカー」へ
連載(本書の)序盤は、アルシンドで脳内時間がストップしてる能町さんをスタジアムに連れて行くことからスタートし、清水エスパルス(と岡崎慎司)の試合観戦を中心に進んでいきましたが、ある回からコラムの内容が劇的に変化していきます。
それが、連載当時にJFLに昇格したカマタマーレ讃岐との出会いです。連載担当(スルギくん)の影響も大きいですが、讃岐との邂逅が発端となり、Jリーグから所謂コミュサカの世界に舞台を移し、サッカーからうどんサッカーに内容を進化?させていきます。。
1試合のレポートを前・後編にまとめる形式を利用して、前編は讃岐で食べたうどんの話で大半を占める内容を中心にまとめ、後編で試合内容や観客周りを中心に語る形式になりました。連載時から楽しく読ませていただいておりましたが、まとめて読んで見て、本連載のうどんの割合に驚かされます(汗)
ということで、サッカーというより、ある種のグルメレポートや紀行文の趣を見せてきた連載ですが、連載中にJFLの舞台でカマタマーレ讃岐も徐々に力をつけて、連載の最後の方には天皇杯で浦和を追い詰める健闘を見せ、連載終了後には見事J2に昇格を果たします。そういう意味では、カマタマーレ讃岐というプロサッカークラブの成長記録としても貴重な文献ではないかと。
◯ 「熱けりゃいいもんじゃない」
また、個人的に印象に残ったのは能町さんの「熱けりゃいいってもんじゃない」という言葉です。この言葉は、本連載のスタンスを凝縮していると思います。
現在では「コミュサカ」とも呼ばれる地域におけるサッカーシーンの魅力がそうであるように、緩い雰囲気が観戦の大きな魅力でもあるという本書の意見には同意です。
熱かろうと、緩かろうとクラブを応援する気持ちは同じであり、そこに差は無いですしね。その証拠?に能町さんもクラブに対する愛着を強め、選手を愛でたり、勝てなかった試合に悔しがる、うどんとサッカーの両立?は図れていたと思います。
連載が終わり、サッカーからは少し距離を置いてしまいましたが、能町さんの示した讃岐への愛着と思いというは不変のモノだと思います。
なお、余談ですが、そんな能町さんが相撲絡みでフロンターレに一瞬目を向けてくれたのが嬉しくもあり、鞍替えできなかったことには残念でもあります(笑)
劇薬っぽくもありますが、サッカー観戦の魅力の原点に立ち返る良書だと思います。そして、うどんサッカーを求めて讃岐に行きたくなるはずです(私含む)。