ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了・飯尾篤史『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』

残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日

残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日

 

 〇 プロサッカー選手・中村憲剛の「第2章」を掘り下げる

「1番好きなサッカー選手は?」と聞かれれば、かれこれ10年以上は「中村憲剛」の名前を最初に挙げています。ここ数年は毎年購入するようになった、川崎フロンターレのユニホームも「14」を選択しています。本書は、そんな私も大好きな「ミスターフロンターレ中村憲剛選手の物語です。

憲剛さんの場合、自著も含めて、自らのキャリア・技術論を書かれた本が毎年のように出版されております。私自身、出版されるたびに拝読することでアップデートを繰り返してきたという認識がありましたので、本人以外の言葉で振り返りながら、再確認するくらいの気持ちで読み始めていました。

本書は、W杯・南アフリカ大会から現在までの約4年半の出来事を振り返る内容となっております。自分が憲剛さんのことを「知っていたつもりで、全然知らなかった」ことを痛感しました。

 自著でも何度か語られてきましたが、憲剛さんは南アフリカ大会のパラグアイ戦でのプレイに悔いを残しており、その無念を晴らすためにもブラジル大会に出場したいという並々ならぬ意欲をもっていました。彼の原点とも言える「サッカーが上手くなりたい」という飽くなき向上心が、ベテランというカテゴリーに入ってもなお維持されていたのは、日本代表への思いの部分も強かったと再認識させられました。

 一方、大会出場を目指す彼のライバルでもある、南アフリカ大会を一緒に戦った日本代表イレブンは活躍の場を海外に移したことに対する焦りもあったことを初めて語っております。川崎でプレイしたテセやエイジも強い意志をもって海外移籍を実現させていたこともあったと思います。正直、当時のことを振り返ると、残留の確率が海外移籍よりも結構高いと思っていただけに、自分が思った以上に具体的な話が進んでいたことが語られていたことに驚きを覚えました。

憲剛さんが川崎と日本代表でプレイを続けている中で何を考えていたのか。今まで本人の言葉では全く語られなかった部分の重みを読み進めながら感じておりました。「ごめんね」と「ありがとう」の2つの言葉が頭の中で何度も浮かび上がってきました。

 プロ入りからW杯出場までの7年間を「第1章」とすれば、本書で語られる現在までのキャリアは「第2章」とも言えるのではないかと。そして、練習生からプロ契約、クラブでの成長・活躍、そして日本代表へと駆け上った第1章は成り上がりの物語であったとすれば、本書の言葉を借りれば、第2章は多くの挫折とそれからの復活を繰り返す悪戦苦闘の物語であったことを感じました。

日本を代表するプロサッカー選手にまで成長しながらも雑草魂を灯し続けるプロサッカー選手・中村憲剛を全力で応援し続けたいと思います。今年こそ、一緒に笑ってシーズンを終えたい。

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