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ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

等々力陸上競技場の入場者数・プロモーションに関する考察

サッカー

今回の記事は「川崎フロンターレ Advent Calendar 2015 - Adventar」の13日目として投稿します。

普段はグダグダと試合の感想を書いている当ブログですが、本日は「入場者数」と「プロモーション」をテーマに自分なりの考察を述べたいと思います。

〇 はじめに

https://www.instagram.com/p/5jvzqmABlb/

川崎フロンターレでは、今季の明治安田生命J1リーグのホームゲームを17試合開催し、全試合を等々力陸上競技場で開催しています。既に専門サイト等で紹介されておりますが、今季の総入場者数は「356,976人」、平均入場者数は「20,999人」の方がスタジアムに足を運んでいただきました。この数字は、昨季比で比べると75,000人以上の増加であるとともに、クラブ史上最高の入場者数となります。

本記事では、この数字から一歩踏み込んで、ホームゲーム全般や試合単位の入場者数の推移等を踏まえた考察を述べていきたいと思います。

 

1.前提:等々力陸上競技場の収容人数の拡大

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入場者数増加の前提条件として、ホームスタジアムである等々力陸上競技場の新メインスタンドの運用がはじまり、観客収容人数が仮設スタンド運用時から5000人以上も増加しました。約26,000人の入場者が収容可能となったことが挙げられます。

 表1:2014年シーズンに前売券予定販売枚数終了した試合

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もちろん、収容数の増加=入場者数の増加とは単純に言えません。しかし、昨季のJ1リーグ戦のうち、7試合がチケット完売しています。昨季までの収容数では吸収しきれなかった需要を収容数の拡大によりカバーしたことにより、入場者数の増加に繋げることができたと私は考えます。

 

2.話題:得点王・大久保嘉人選手の存在

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前提条件として、国内サッカーに対するメディアに対するクラブの情報発信において、今季も大久保嘉人選手の存在は非常に大きかったと考えています。

風間監督が志向する川崎の独特のサッカースタイルは、年々、サッカーファンの間でも浸透してきたと思いますが、マスメディアにおける報道では、取扱いの大きさからも、クラブ単位の情報は優勝等が絡まなければ広く行き渡りません。

一方、日本代表に関係する個人の選手に関する報道は、話題性が出れば大きく取り上げられます。象徴的なのは、昨季の嘉人さんのW杯メンバーの選出に関連した報道であり、クラブの勝敗・成績に問わず、夏場まで嘉人さんの動向が連日メディアで大きく取り上げられました。今季は、U-22日本代表の大島選手・中野選手、東アジア選手権に出場した谷口選手を除くと、代表チームを巡る報道にクラブは絡まなかったものの、Jリーグ史上初の3年連続得点王に王手をかけた嘉人さんを取り扱う報道は、終盤の優勝争いと並行して大きく取り上げられました。

特に、11月22日の最終節では、嘉人さんのゴール、そして得点王が確定する瞬間が大きな注目度を集め、この点は集客にも大きく影響したと思います。

 

3.条件:試合日程と天候

次に、ホームゲームの試合日程で振り返ると、今季のリーグ戦の平日ナイター開催は、夏休み時期の1試合(最近2年間は2試合)に留まり、夏場の連戦がコンディション面に及ぼす影響は拭いきれませんが、近年においては比較的良い開催日程で公式戦を消化することができたと思います。

表2:2015年シーズンのホームゲームにおける天候

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また、今季は17試合中の天候を見ると「晴」と「曇」の試合が16試合、試合中に雨に見舞われたのは1試合のみ(昨季は3試合)。新メインスタンド稼働により、観客席の屋根のカバー率が増えたとはいえ、スタジアムまでのアクセスやイベントへの影響等を踏まえると、天候は観客入場数に少なからず影響を与える要因となります。

 

4.対戦:上位の安定推移と昇格組のインパク

表3:川崎フロンターレのホームゲームの入場者数・集客率(2015年シーズン)

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表3は、今季の対戦チームごとの入場者数と収容率です。

試合単位で見てまいりますと、例年、入場者数(集客率)の上位を占める浦和、横浜FMガンバ大阪FC東京の4クラブ(昨季の入場者数と収容率は上記の図表参照)は前年並みの集客率で推移し、今季の収容数の増加に伴い、入場者数がいずれも23000人を超えました。

また、昨季は対戦がなかった昇格組との対戦においては、神奈川ダービーの湘南戦、J2屈指の動員力をJ1でも大いに発揮した松本戦においては対戦クラブのサポーターさんも多く駆けつけていただきました。また、山形戦も平日開催ながらも夏休み時期と重なったことも影響して、日程面の不利をカバーすることができました。対戦チームの変更は、入場者数の推移にも影響してくるだけに注視するポイントですが、今季の3クラブとの対戦ではポジティブな要素が大きかったと思います。この点は、グロスの入場者数の増加にも大きく影響したと思います。

 

4.イベント:集客に繋げる3パターンのプロモーション

入場者数に関する分析をするに当たって、川崎フロンターレのホームゲームを語る上では欠かせないのはスタジアムで開催するイベントの存在です。

川崎フロンターレのイベントを手掛ける名物スタッフ?・天野春果氏は、プロモの形を「一発型」と「継続型」と「一発継続型」の3つのパターンに分けて考えております*1

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「継続型」はレギュラーポジションとも言えるイベントです。西城秀樹さんによるYMCAショーが目玉の「市政記念試合」をはじめ、動物とのふれあいを楽しむ「フロンターレ牧場」「那須どうぶつ王国ランド」、川崎唯一の相撲部屋・春日山部屋とのコラボ企画「イッツアスモウワールド」は5年以上の老舗企画です。

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また、近年では「一発型」として、2013年「闘A!まんがまつり」(アニメ・漫画とのコラボ)や、2014年「勝点」(落語とのコラボ)等の、既存のファン層を多く抱えるジャンルとのコラボを実現にも力を入れています。サッカーと絡むことが大きな話題を作るとともに、普段はサッカーに全く関心が無い人がスタジアムに足を運ぶ契機を作ることができました。

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今季は、筋肉をテーマにした「マッスルスタジアム」という一段と奇抜なイベントを実現、ボディビルダーの肉体美、串田アキラさんによるステージイベント等、大きなインパクトを残していきました。

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さらに、「一発型」から「継続型」に移行する「一発継続型」も増えてきました。「一発型」の中でも最も大きな衝撃を受けた「川崎の車窓から」(鉄道とのコラボ企画)は、沿線活性化を目指す東急電鉄という強力なパートナーとの結びつきを強化することで継続開催することとなり、今季は川崎×東急×きかんしゃトーマスのトリプルコラボが実現しました。また、マスコット・カブレラの完全移籍を記念して昨季開催された「カブの日」もイベント企画として継続開催し、カブトムシのギネス記録を達成した哀川翔さん、株主優待生活でお馴染みの桐谷さんとのコラボが実現し、まるでテレビ番組を見ているような超特大企画に進化しました。

今季も冒険心に溢れるイベントを数多く開催してきた川崎ですが、日々足を運ぶサポとしては、今年は一段とパワーアップした印象を感じさせるシーズンだったと思います。特にフォーマットがある程度構築されている「継続型」の強化が印象的でした。これは私見ですが、「一発型」を「継続型」にシフトする作業と逆のアプローチで、「継続型」に「一発型」の要素を加味してパワーアップしています。例えば、今季のFC東京との「多摩川クラシコ」は、「天の川クラシコ」と題し、星に精通する篠原ともえさんを呼んだトークイベントを開催する等、開催時期に重ねたイベントとして少し変化を加えました。

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また、「イッツアスモウワールド」も日本相撲協会を絡めることで、国技館の雰囲気を等々力に持ち込むビッグイベントに進化しました。GW前の開催日程も影響して、近年の柏戦の動員では大きな集客率の上昇を記録しました。

継続型の企画については毎年トライアンドエラーを繰り返しながら進化させてきたイベント企画ではありますが、今季のような一発要素をプラスさせるアプローチは増えてくるかもしれません。ピッチ上のサッカー同様、日々進化を続けていることを感じます。

 

5.支援:明治安田生命様のアシスト


この他、リーグスポンサーである、明治安田生命様の働きかけによるスタジアム観戦動員が継続して実施していただいた点も、少なからずプラスに働いたと思います。簡単には言えないくらい、本当に大きな支援であったと思います。

 

〇 おわりに

以上のように、今季の入場者数について、前提条件となるスタジアムの集客数の増加に留まらず、様々な角度から考察を重ねてきました。正直、自分は「平均入場者数2万人」は3年後くらいの目標だと考えていただけに、今季達成してしまったのは嬉しい誤算でもあり、大きなハードルであると感じています。

特に、今季は開幕戦・最終戦を除き、成績上でのシチュエーションが生じることなく、2ステージ制という短期決戦を活かした盛り上がりに最後まで乗ることはできませんでした。クラブ単位での入場者数を取り上げましたが、来季の対戦チームの変動がもたらす影響は少なくないと思います。

川崎フロンターレをはじめ、Jリーグに加盟するプロサッカークラブは、プロ選手で構成されたチームであると同時に、観客を集めて興行を開催する興行主でもあります。ガンバ大阪の前社長でもある金森喜久男氏は、プロサッカークラブの成功とは「プロチームの優秀な成績」と「会社の黒字経営と健全な財務体質」であると述べております*2私も、プロクラブである以上は、競技レベルの成功と同じレベルで、興行や経営の側面でも結果を残していく必要があると考えています。

今季、ピッチ外での結果は残せたと思います。しかし、来季以降にさらなる成果を収めるために、チームとしての結果も残していかねばならないと思います。チームとクラブの両輪が嚙合わせていくためにも、自分もできる限りのサポートを続けていきたいと思います。

https://www.instagram.com/p/4JTny7gBor/

最後まで読んでいただきありがとうございました。

明日のアドベントカレンダーはWith Supportersさんの「海外から見たJリーグ」です。

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*1:天野春果・いしかわごう『カブ料理 ~カブレラ誕生から桐谷さんまでの約500日クッキング~』18-20頁。

*2:金森喜久男『サッカー界における顧客の創造』42頁