読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

『Wake Up ,Girls! 青春の影』

https://instagram.com/p/8Db31lgBqp/

2014年1月に劇場作品が公開され、同時期にテレビシリーズが放送されたアニメーション作品『Wake Up,Girls!』(以下「WUG」とする)の続編(前後篇の前篇)。本作の主なあらすじと感想は以下の通り。

 

〇 物語

仙台を拠点に活動する7人組のアイドルグループ・Wake Up,Girls! は、地元で地道な活動を続け、結成1年で全国規模のアイドルイベント『アイドルの祭典』で東北代表として出場するまでに至る。『アイドルの祭典』の本戦で結果を残せなかったものの、その時に披露した『7 Girls War』が大手レコード会社・bvex trax(ビーベックストラックス)の目に止まり、同曲のメジャーデビューが決定する。地元・仙台と東京を往復する生活が始まるが・・。

 

〇 リアル志向のアイドルアニメ

WUGの特徴は、劇場版『7人のアイドル』のインタビューの中で山本寛監督が述べた「虚実混同」に凝縮されていると思います。事実、本シリーズの動きを振り返ると、アニメの中のWUGと出演声優で結成されたリアルWUGを出来る限りリンクさせてきたように、アニメとリアルの枠組みを取り払おうとする意図を強く感じました。

本作もそうした志向を継承した上で、地元から活動の拠点を東京に移したアイドルグループの活動を、出来る限りリアルに寄せて描いていたと思います。

ネットやアイドルイベントで注目されて、大手レコード会社のオファーを受けて東京でメジャーデビューする。日常茶飯事とまでは言いませんが、アイドルの世界では普通にある出来事です。山本監督のコメントにもある通り、WUGがその流れに乗った場合、どのような軌跡を辿るのか、というのが本作の流れであり、その中で過程が、地元・仙台から離れたにも関わらず、過去作以上に、ご当地アイドルらしさを引き出していたと思います。

また、所属レコード会社内のレッスン環境、レコードショップの新譜陳列の風景、秋葉原のイベント会場(ソフマップアソビットシティ)や地元からの遠征民が参戦するリリースイベント等、過去作で意識することがなかった細部のディティールに拘りを感じました。ネタバレを避けながら書きますが、序盤から徹底したプロセスと細部のディティールを積み重ねてきたことが、物語の中でのWUGの浮沈に重みを与えたと思います。

 

〇 「WUGらしさ」を追求すること

本作のテーマは、島田真夢が語る「WUG!らしさって、なんだろうね?」だと思います。玉石混交、数々のアイドルがしのぎを削る中で少しでも上のステージを目指すうえで大切なことは「自分たちが何者であるか」を知ることだと思います。

上記のテーマで語るうえで、彼女たちに楽曲を授けた作曲家・早坂の存在が非常に重要や役割を担っています。彼はWUGのことを「イモ」と表現しますが、物語の中で言い回しが変化しています。それが、早坂が彼女たちに対する見方であると思います。彼女たちが東京で積み重ねてきた部分との対照として考えると興味深いですし、山本監督のアイドルに対する思想が少し垣間見えたと思います。

f:id:y141:20150830205745j:plain

余談ですが、今年の夏に開催された、乃木坂46の真夏の全国ツアーが「乃木坂らしさ」を模索することがテーマとして掲げられていました。全国区のアイドルグループへと成長を遂げる中でも、乃木坂のメンバーたちは、目指すべきステージである紅白出場に向けて、自分たちの持つ色を強く意識する大切なツアーと位置付けていました。グループのレゾンデートルを見つめ直すことが、成長を促すことに繋がるのではないか、と神宮で強く感じさせられたことから、本作には非常に説得力を感じさせる内容でもありました。

 

〇 アイドルファンの視点

『7人のアイドル』の感想の中で、WUGはアイドルファンの文法で語られる部分が強い作品であると書いたのですが、本作も演じ手や運営側ではなく見る側=ファンの視点に重きを置いた作品であると感じました。

山本監督は、本作のインタビューにおいて、制作現場の事情が最大の理由としながらも、映画というクローズドの形式を利用して、ファン(=ワグナー)に響くような作品作りを意識したことを述べていました。映画を見ていて、自分が作品に出てくる熱心なファンに感情移入をしてしまうのは、ファンを意識した視点で作品を作っているからだと思います。ただし、監督自身は「手堅い」と評しておりますが、ファンサービス的な媚を売った作品ではなかったと思います。意地悪な言い方かもしれませんが、アイドルファンなら誰しもが予期するだろう「壁」に正面からぶち当たり、乗り越えようとする姿を丁寧に描いた好感を持ちました。

 

以上です。アイドルを取り扱った作品は、アニメ・ゲーム業界でも人気ジャンルの1つと言えます。企画がスタートした当初のWUGも大規模なモノとは言えませんでしたが、作中のユニット達と同様に、大きく成長して、今回の続編公開にまで到達しました。作品内外でのWUGの成長曲線をリンクさせることは、ファンに大きなやりがいを与えてくれますし、成長を実感させてくれます。後篇にも大いに期待したいところであります。

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村