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ボンクラライフ

観戦記:明治安田生命J1リーグ・川崎フロンターレ‐サガン鳥栖

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昨日は、等々力陸上競技場サガン鳥栖との試合を観戦。水曜日にナビスコカップで対戦した山形戦では、相手のハードワークとフィジカルの強さに苦戦を強いられたフロンターレですが、鳥栖相手にタフに闘えるかに注目しておりました。ホーム・等々力での勝利が1か月近く遠ざかっているだけに、これ以上に負けられないという強い気持ちを胸に試合に臨みました。

試合は、2度のリードを追い付かれる苦しい展開でしたが、杉本健勇選手の2ゴールで見事に勝利を掴むことができました。観戦を通じて感じたことは以下の通りです。

 1.川崎の「変化」がもたらしたもの

普段から足を運ばれている川崎サポの方であれば、キックオフから10分ほどで川崎側の変化に少なからず気付いたのではないかと思います。この日の川崎は、ショートパス主体の組み立てに拘らず、序盤から中長距離のパスを意図的に使うアプローチを見せてきました。憲剛選手の前線の選手へのロングフィードはもちろん、角田選手が中距離の浮き球のパスをサイドの選手に付けるというプレイも序盤から見られました。もちろん、長身の健勇選手が先発に名を連ねていたこともあり、序盤から「長いボールを生かす」という選択肢を選びやすかったという点も考慮されますが、愚直に繋ぎに徹していれば、鳥栖により一層押し込まれていた可能性もあったと思いますので、その点では相手との相性を鑑みてもベターな選択であったと思います。

〇 人よりもボールを走らせ続ける

ただし、プレイの正確性という観点ではロングボールやミドルパスはミスが発生しやすいのもわかりますし、前半はロングボールを健勇選手が収められずに相手にボールを奪われる場面も少なくなかっただけに、従来のパスワークを織り交ぜながら戦えたことが良かったと思います。何よりも、いずれのアプローチにしても、人よりもボールを走らせ続けることが出来たことが、後半の攻勢に結びつけられたと思います。

 2.鎌田選手の起用から考察する鳥栖の「変化」

鳥栖の試合は普段は全然見てなかったのですが、この日の試合をパッと見た感じ、森下監督はジュビロ磐田の監督時代にも試みた、チーム全体の運動量を押し出しつつも、パスを丁寧につなぐアプローチを組込もうとしているのは読み取れました。特に、後半に投入された鎌田選手は素晴らしい選手だと思いますが、今までの鳥栖だとあまり出場機会を得ることができなかったとも考えられます。ある意味では、森下監督のスタイルの1つの色を表す選手だったと思います。

しかし、あくまで私見ですが、上記のような「全部取り」のアプローチであれば、流石に選手の体力が持たないのではないかと思いました。例えば、昨季途中まで指揮をとられたユン元監督の鳥栖は、前半は少し運動量を抑え、対戦する側も怖さがそこまで感じることが無く、後半にギアを上げてハードワークで圧倒されてきた印象があります。一方、この日の試合は、後半の川崎の中長距離のボールがズバズバと通すことが出来たのは、鳥栖イレブンの運動量にバラつきが出てきたからだと思います。ペース配分を含めた90分の戦い方を考えると、運動量の消費というのは考えなければなりませんね。

3.杉本健勇選手の武器は何か?

この日、先制点と決勝点の2ゴールを挙げた健勇選手。プレイを見ているうちに、所謂、絵にかいたような長身FWとは違った特性を感じつつあります。

〇 空間認知能力

例えば、相手のディフェンスとの空中戦の競り合いは得意ではないという印象はありますが、空間認知能力があるのではないかと。前半に比べて後半はボールを収める場面が増えていたのですが、競り合いというより、ボールの落下点を読んだうえで位置を確保して収めていた印象です。局面での体の張り方だったり、相手選手に体を入れ替わられたり、体の使い方や強度という点では物足りない部分がありつつも、こうした目に見えない能力に隠れた特性があるのではないかと思いました。

〇 首のスナップ

また、個人的な見方なのですが、ガンバ戦と鳥栖戦で見せた2つのヘディングでのゴールを見て感じたのは、健勇選手の首のスナップです。

解説者の秋田豊さんが著書『センターバック専門講座』において、ヘディングでボールを遠くに飛ばすためには首のスナップを効かせることが重要であると指摘しております。ガンバ戦のゴールシーンもよく見るとわかるのですが、クロスの軌道の影響もありますが、頭を当てる時にしっかりと首のスナップを効かせています。シュートの弾道は強くて、ヘディングした位置を考ると、かなり遠くまで飛ばせております。この首のスナップの強さが、意外な武器になるのではと期待しております。

〇 足元の技術

もちろん、足元の技術は素晴らしいものがあると思います。受けてからの捌きも素早く、この日の先制点となったゴールの難度は相当なものだと思います。もちろん流れの中でのミスも少なくはありませんが、本当に技術のある選手だと感じさせる場面は随所にあります。それを強みにしてもらいたいところです。

ガンバ戦に続くリーグ戦2試合連続ゴールとなりましたが、本人も周りの選手を含めて「まだまだ」といったコメントを残しているだけに、さらなる成長と活躍を願っています。

以上です。このチームは個の成長がダイレクトにチームの力になるように設計してありますので、個々の選手が良いパフォーマンスを発揮できれば強さに直結します(逆に個人の不調がチームにもたらすものも大きいことは否めません)。GKとして試合数を重ねている新井選手であったり、健勇が成長すればするほど、チームは強くなります。まだまだチームとしての伸びしろはありますし、限界はまだ見えません。苦境を抜け出しつつある手ごたえを感じるだけに、引き続き、試合の中で結果を残していきたいところです。

 

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