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ボンクラライフ

観戦記: 平成26年度 第93回全国高校サッカー選手権大会 決勝戦

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■ 頂点をかけた埼スタ決戦!

月曜日に埼スタ全国高校サッカー選手権の決勝を観戦。「蹴都移転」と銘打たれた今大会は、数々の激闘を見守ってきた国立競技場から埼スタに決勝の舞台を移しましたが、今年も素晴らしい試合となりました。試合を通じて感じたことは以下の2点です。

〇 星稜:イレブンを鼓舞した3つの「思い」

激闘を制した星稜イレブン。選手権に連続出場するだけではなく、2年連続で決勝の舞台に立つのは大変難しいことだと思います。昨年の決勝戦を観戦し、試合終了とともに崩れ落ちた黄色のユニホームの姿を見ているだけに、決勝の舞台にかける思いというのが肌感覚でピリピリと伝わってきました。
また、試合後の選手インタビューによれば、試合前、入院中の河崎監督のメッセージが届けられたそうです。言葉を聞いて試合前から涙が出そうになった選手もいたそうで、病床の監督からの言葉が選手たちの思いを一層強くしたのだと感じました。
そして、延長戦に殊勲の2得点を挙げた森山選手。彼がインタビューで述べたのは「仲間のために」という言葉でした。「迷惑をかけてきた」という仲間たちの思いを乗せたゴールがチームを栄冠に導いたのですから、素晴らしいの一言に尽きます。
後半の短時間で逆転を許したものの、食らいついて追いつき、そして勝ち越すことができた星稜の「心」の強さが「芯」のある「真」の強さを証明していたのだと私は感じます。優勝に相応しい、素晴らしい戦いを見せてくれたと思います。

前橋育英:あと一歩だった“縦縞無き”タイガー軍団

「タイガー軍団」の由来でもある、お馴染みの黄と黒の縦縞のユニホームではなかった前橋育英イレブン。初戦から接戦に次ぐ接戦を制して勝ち上がってきたチームということで、また違った勢いがあったのではないかと思います。前半はキープレイヤーの一人であるボランチの鈴木選手が絡む場面が少なく、ロングボールの応酬のようなかたちでゴールに迫りましたが得点には至らず。
後半に入ると、鈴木選手も絡めた地上戦を併用するようになり、リズムを掴みはじめました。同点ゴールはGKからのロングボールをゴール前で受けた野口選手が素早くシュートに持ち込んだもの。同点の2分後、再三シュートを打ち続けた渡邊選手のゴラッソが決まって一挙に逆転。鮮やかな逆転劇でした。
昨年度に同じシチュエーションを経験した星稜の段違いの経験値がモノを言ったのではないかと思いますが、悲願の初優勝まであと一歩だっただけに、イレブンの悔しい思いは見ていても十分に伝わってくるものでした。
 

以上です。選手権決勝に外れなしと言わんばかり、今大会も素晴らしい激闘でした。プリンスリーグ等を経て各校の技術レベルも向上を感じつつ、名門校や強豪校でさえ規律のある組織プレイとハードワークを惜しまないチームで臨んできたのが特に印象的でした。

日本経済新聞の吉田誠一氏はコラム記事『フットボールの熱源』*1において、こうした高校生たちのプレイを見て村井チェアマンが述べる「笛が鳴るまで全力でプレーする」を連想したそうです。レベルが上がっているとはいえ、高校生のレベルはプロと比べれば大きく差はあります。しかし、彼らのプレイが観戦者の心を惹きつけるのかといえば、こうした全力プレイの姿勢であり、双方の選手の「勝ちたい」思いがぶつかりあう対戦だからだと思います。そうした選手権の魅力を再確認する試合であったと思います。

 決勝が終わり、表彰式がひと段落すると流れてくる『ふり向くな 君は美しい』が流れてくると寂しくなります。君たちのその顔は忘れない、来年も素晴らしい大会になりますように。

 

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*1:日本経済新聞」2015年1月14日朝刊