ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

『THE NEXT GENARATION パトレイバー』第2章


■ 「そこを何とか」
新宿ピカデリーで限定公開中の『THE NEXT GENARATION パトレイバー』第2章を見てきました。1、2カ月ごとに新しいエピソードが公開されるという形式は、マノフレであり、作品ファンとして実に嬉しい話です。今回は押井監督の手がけたエピソードはなく『真・立喰師列伝』に監督として参加した湯浅監督と辻本監督がそれぞれ担当されました。第1章はイントロダクションとなる内容だったので、ココから、どのように物語を描いていくのかは注目していました。そんな、エピソード2・3を見た感想は、以下のとおりです。

■ エピソード2:98式再起動せよ
動かないイングラムを何とか再起動させて、動かそうとするエピソード。パトレイバーの物語のはじまりは、イングラムの起動によって号砲が鳴らされることを踏まえると、このシチュエーション自体がセルフオマージュにも見えなくもない。
エピソード1で継承されたように、圧倒的に多くの時間を待機というかたちで無為に過ごす二課の面々。しかし、整備班は日々レイバーの整備等の作業に追われている。本来、起動においては朗たちが主役になるものだが、このエピソードでは無理難題に必死に取組む整備班にスポットが当てられる。そして、レイバーは出動することなく、立ち尽くすことになる。そうした意味では、過去のシリーズで展開された「起動せよ」のエピソードに関する、逆展開と言えるのではないかと思います。また、アクションや銃に対する思い入れのある辻本監督らしく、作品の鍵を握る部分にリボルバーカノンを出してきたのは、こちらもニヤリとさせられました。

■ エピソード3:鉄拳アキラ
エピソード3はゲストに竹中直人さん登場ということで注目しましたが、内容はかなり癖のある内容でした。パッと見て、パトレイバーファンか、押井ファンか、で大きく評価が分かれる内容ではないかと思いました。
エピソードは、ゲーマーである泉野朗が、ゲームセンターで出会った、ものすごく強い親父に完敗し、彼を打倒するために奔走するというもの。竹中直人さん演じる、ものすごく強い親父は、ゲームセンターという場所には馴染まない異様な雰囲気をはなち、対峙した半端者たちには勝つための思想が必要だと述べ、朗には「ごとを語る」。この立ち回りで感づくのは、おそらく、私みたいな押井ファンくらいだと思うのですが(笑)、この親父ゲーマーは立喰師という立場に置き換えることができると思います。マッハ軒にいたことも含めて、押井監督の作り上げてきた立喰師のイメージをインスパイアした存在であることを読み取れます。
そして、このエピソードは実に不可解な終わり方をします。しかし、これもまた立喰師にある、ある種の自己完結の部分であったり、孤高である部分を鑑みると「らしい」終わり方かなと思ったりもします。個人的には大変面白かったのですが、コレはまたチャレンジングな内容だったかなと(笑)

以上です。本シリーズにおける「導入」を経て、各人の色が出てきたという印象。シリーズとしてエピソードを積み重ねていることが織り込まれているだけにできる冒険でもありますが、ある種の「カオスさ」こそがパトレイバーの魅力だと思いますので「いいぞ!もっとやれ」という姿勢で今後も見続けたいと思います。