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ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:大久保嘉人『情熱を貫く 亡き父との、不屈のサッカー人生』

■ 再び燃え上がる情熱の向こう側
先日の四国遠征中、大久保嘉人選手の初の自伝『情熱を貫く』を拝読しました。嘉人さんのキャリアを鑑みると、初めてというのは意外にも感じましたが、それだけに、今まで知らなかった事実やエピソードも多かったと思います。
本書は、昨年の5月、父親の克博さんが亡くなる直前のセレッソ戦の出来事から始まります。父親の最期を看取った彼が手にした遺書、そこから少年時代から現在に至るまでの半生を父親とのやり取りに触れながら語っております。

国見高校時代には高校三冠を達成、若い頃から代表に名を連ねて五輪やW杯に出場、個人としてもスペインやドイツのクラブでのプレイを経験してきた嘉人さん。本書では、その充実した選手キャリアの背景にあった、両親の支えと本人のひたむきな努力の軌跡が語られています。日々の生活も苦しい中で、国見の中学への越境入学を後押ししてくれた父親、厳しさと温かさをもって息子に接してきた母親の存在が、彼にとって本当に大きく左右したものであったと感じます。フットボーラーにおける、家族の存在を改めて考えさせられる一冊でした。
そして、時には反発しながらも、愛してやまなかった父親のために、日本代表を目指して再燃する大久保嘉人というフットボーラーの情熱を本書が伝えてくれたのではないかと思います。もちろん、川崎サポーターとしては、彼をサポートしていこうという思いが一段と揺れ動かしてくれる一冊でした。

本書の構成も含め、よくできているなと感じるとともに、サッカー本という枠に限らず、家族の物語として読める内容であることも好印象です。また、子供を持つ親御さんや、部活等に勤しむ中高生が、どのように感じたかも聞きたい内容です。W杯後の夏休みの読書感想文にもオススメしたい一冊です。