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ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

『亀田音楽専門学校』でJ-POPを深める

■ 音楽番組の再編成の中で加速するディープ路線
昨今、ジャンルを問わず、テレビ番組は視聴率的に苦戦を強いられていると伝えられていますが、音楽番組も例外ではないようで再編成の真っ最中です。そうした中で現在進められてるのは、演奏や歌唱を重視した番組構成、そして楽曲やアーティストの魅力をディープに掘り下げる路線だと思います。後者について、個人的に今楽しみにしているのが、Eテレの『亀田音楽専門学校』です。

亀田音楽専門学校*1椎名林檎さんや平井­堅さん等の楽曲を手掛ける音楽プロデューサー・亀田誠治さんが「校長」として「講師」として迎えたアーティストの方々とJ-POPに隠された音楽の秘密を解き明かすという番組です。元々、NHKでは、国内外のアーティストの魅力を掘り下げる『SONGS』にはじまり、「言葉(歌詞)」をテーマに講義形式でゲストと対談を行う番組『佐野元春のザ・ソングライターズ』、Eテレでも歴史とともに音楽の魅力を掘り下げる『スコラ 坂本龍一 音楽の学校』を定期的に放送してきました。そのため、いよいよ楽曲を軸に語りだす番組が出てきたのかと楽しみにしていました。

偉そうに書いていますが、音楽が詳しいわけでも超絶好きとは言えない私が、本番組の魅力として考えているのは以下の3点です。

◆ 1.テクニックをわかりやすく表現する


放送前の私は、番組を楽しみにしていた反面、テクニックをいかに解説するのかということで難解な用語がでてきやしないか身構えしていました。しかし、実際に見てみるとその不安は払しょくされました。各エピソードのタイトルを見るだけで、そうした要素が垣間見えると思います。

第1回「おもてなしのイントロ術」
第2回「アゲアゲの転調学」
第3回「無敵のヨナ抜き音階」
第4回「オトナのコード学」
第5回「七変化のテンポ学」
第6回「韻をふんだっていいんじゃない」
第7回「ツンデレのシカケ術」

転調、ヨナ抜きといった専門用語とともに、「おもてなし」や「アゲアゲ」や「ツンデレ」といった流行り(流行った)言葉に目が向けられます。番組では、何が「アゲアゲ」なのか「ツンデレ」なのかといった切り口で、一般的な言葉を用いて非常にわかりやすく解説しているのが特徴的です。ドレミの音符が読めるレベルで大丈夫だと思いますし、下手するとその部分も何となくで問題ないと思います。何故ならば、その場の講義で演奏をしてくれるアシスタントの方がいらっしゃるので音を出しながら、感覚的に学ぶことが出きるからです。若干、門が立派で入りづらいな〜と思うところですが、入ってみれば自由で楽しい学校といたところです。

◆ 2.豪華なゲスト講師陣
2つ目の魅力は番組を彩る講師陣です。現在までに第7回が放送され、講師としてアンジェラ・アキさん、秦基博さん、KREVAさん、槇原敬之さんが登場しています。各テーマに適した亀田校長とも縁のあるアーティストの方々が講義に参加、その場で演奏したり、歌を歌いながら解説の一端を担っています。丁度、解説を行う校長と視聴者の間にいる立場と言いますでしょうか、番組を盛り上げる重要な要素だと思います。当たり前ですが、決して自分の持ち歌ではなくても、講師の方々の歌唱は最高に上手ですし、テクニックが「使われなかった場合」という特殊なシチュエーションまで披露してくれます。そうした貴重な場面を見れるのも非常に面白いです。

◆ 3.講義の実践編=校長とゲストによるライブコーナー

3つ目は講義の最後のライブコーナーです。講義で取扱ったテーマが取り入れられた楽曲について、ゲストの講師と亀田校長率いるバンドによるコラボレーションで披露されます。例えば、KREVAさんをゲストに迎えてBPMの解説を行った第5回『七変化のテンポ学』において、『あまちゃん』でも取り上げられた、YMOの『君に、胸キュン』を披露しています。普段ではなかなか披露されないような楽曲を、素晴らしい演奏とともに聞けるというのは普通に良いですし、講義のまとめの役割を果たしています。個人的には、先日放送された槇原さんによる『プレイバック Part.2』が非常に気に入ってます。本当、この部分を再録してコンピレーションアルバムを作ってほしいです(笑)


■ まとめ:J-POPの解体新書であり、再入門書でもある
既に特定のライト層を狙った路線も失敗した再編期でもあり、このようにディープな路線に傾きつつあることは個人的に大歓迎です。CDが売れていない=音楽を聴かない、というわけではなく聞き方や楽しみ方が多様化しただけですし、過去から現在まで、幅広い楽曲を取り上げることで触れていなかった音楽に親しむ契機にもなるので需要は絶対あると思います。個人的には再入門的な位置づけでもあるので、レンタルショップなどで入念に回るようになりました。シリーズは年末まででひと段落となりそうですが、是非ともシーズン化してほしいものです。