だれでもわかる居酒屋サッカー論 日本代表戦の観戦力が上がる本
- 作者: 清水英斗
- 出版社/メーカー: 池田書店
- 発売日: 2013/10/18
- メディア: 新書
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本書は、著者である清水英斗氏のWeb連載『居酒屋サッカー論』*1を書籍化したもの。居酒屋で交わされるようなサッカー談義(=居酒屋サッカー)を盛り上げるために、身近なキーワードとともに注目度の高い試合を「深く」でも「わかりやすく」掘り下げています。
サッカー談義における日本代表が特にそうですが、どうしても印象的なシーンからイメージが先行しがちです。著者の清水氏は、観戦術に関する書籍を発表されていることもあって、本書でも得点や失点の場面・局面を細かく解体しながら、「どこを見るか」という視点を提供しています。個人的にはセットプレイの守り方における選手配置の考え方は全然見落としていたところで非常に勉強になりました。
また、本書は「居酒屋のサッカー談義」をコンセプトとしているのもあって、サッカー用語を極力使わず、例示を用いながら一般的な言葉を用いて説明しています。サッカー仲間でも、普段はサッカーを見ない会社のおじさん相手でもサッカー談義に重要なのは「共通理解」を結び付けることです。そのためには、難しい専門用語よりも、わかりやすい言葉で伝えることが重要だと思います*2。観戦者の自分も苦戦するのですが、実は難しいことでもあり、わかりやすさの中に著者・清水氏の造詣の深さも伝わってきます。なので、今後積極的に拝借させていただきたいと思います(笑)
例えば、日本代表や海外サッカーの試合をテレビをリアルタイムで見る時、twitter等のSNSを利用しながら見る機会が増えました。理由は、自分がフォローしてるしている方々にサポーター層が多く、反応はもちろん、試合後の見方なり、考え方を知ることができることも大きいからです。
私も普段はスタジアムという熱狂する空間に身を置いている時と異なり、テレビ桟敷席の一歩引いた視点にもなることから、興奮しながらも色々と考えを巡らせてます。観戦とは少し楽しみ方は異なりますが、これもまたサッカーの楽しみ方だと思います。そうした文化が広がっていけば、次第にダイジェストとテンションだけのサッカーだけでは物足りなくなるのではないでしょうか。サッカー文化の成熟には、居酒屋サッカー論の普及が必要なのでは、そう感じました。
*1:https://cakes.mu/series/1173
*2:誤解されることもありますが、川崎の風間八宏監督の一連の著書もその形式であると思います。著書の多くの内容においてサッカー用語は使われておらず、例示を用いながら一般的な表現でまとめられています。