ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:湯浅健二『サッカー監督という仕事』

サッカー監督という仕事 (新潮文庫)


■ ビジネス書としても読める監督本
日本のスポーツ関連本で売れ筋となるジャンルは監督本だと私は考える。
例えば、野球であれば野村監督の本だし(もちろん出版ペースも凄いが)、
サッカーであれば、近年の『オシムの言葉』のヒットは有名だったりする。


これは監督を取り上げた本は、同時に組織を率いていくためのヒントや
マネジメント手法など、ビジネス書の側面を兼ねているからだと私は思う。
なお、著者・湯浅氏はドイツでも資格を取得するなど、豊富なコーチ経験
だけでなくコンサルティング会社を経営するビジネスマンとしても活躍する。


本書の内容はサッカー監督を中心にサッカーの戦術や選手など、幅広い
トピックスを取り上げている。特に、勉強になった内容はメンタル面を
取り上げた心理マネージメントの重要性について。近年の日本代表にも
言及される、いわゆるリスクチャレンジやプレッシャーとの向き合い方
などを、様々な事例を通じて説明している。


また、湯浅氏は、執筆当時に代表を率いていたトルシエ氏が率いる五輪
代表を高く評価しているのは印象的。黄金世代を揃えたチームというより、
トルシエ元監督が「セオリーの徹底」と「リスクへのチャレンジ」を両立
させ、実践してきたからである。ここら辺は、岡田ジャパンも欲しいか。