ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

ヒリヒリとした緊張感が与えた衝撃:遊魚たいむ Vol.14


■ 初めて感じた感覚に対する戸惑いと興奮
ふとしたことから情報をいただきまして、学校の方々と見に行くことに。
会場となったスタジオSKホールというのは新高円寺駅の間近にあるスタジオ。
キャパとしてはさほど大きくない会場だったが、天井が異様に高かったりする。
入ってすぐに「声を出すと、非常に響く場所だろうなぁ」と思ってたりもした。


本イベントは朗読劇、私にとっては鑑賞という点で馴染みのある形式である。
しかも、私もよく知る宮沢賢治作品ということで落ち着いて聞けると考えていた。
始まってみると、その考えは甘かった。ヒリヒリとした緊張感が伝わってきたのだ。
それは演者との距離が近かったことだけでなく、ステージなどの段差がないことで
発生する演者目線での鑑賞というのが与えたものではないかと、今になると考える。


とにもかくにも、公演時間の1時間半はドキドキして仕方なかったのだけれども、
セロ弾きのゴーシュ』の際に演出で演者の一人が観客席を突っ切ってきたときは、
さらに「ビクッ」と来てしまって、心臓が止まるかと思った。いやはや何もかも新鮮。


馴染みの形式と演目で、ここまで興奮したというのは何とも驚くべきことだろう。
イベレポだと素人の興業論の視点から、会場について語ることが多い自分ですけども、
この会場でなかったら少なくともここまでのインパクトというのはこなかったと思う。
やはり、演出も含めて、イベントにおいて会場のセレクトは大切であると改めて感じた。


あと、公演の最後に主宰されている遊魚静さんのアンケートで50種類のパターンで
声の感情を感じ取るという実験が行われたのだが、これがまた興味深かったりする。
自分も駄目な意味でアニヲタ、声優ファンとして学生時代を過ごしているわけだが、
こうして資格の情報なしに意識をして聞いてみると、声に感情を乗せることの難しさ
というのを感じた。声のプロフェッショナルである声優という職業の専門性を感じた。


ベスト、というセレクトとはまた違った発見の多いイベントだったと思います。
遊魚たいむの公演は来月にも行われるそうです。興味をもたれた方は是非とも。
なお、詳しい情報は『遊魚たいむ ─冤罪主張─』にて公開されています。


文:Y.Ishii@連休中はしゃぎすぎて疲労困憊