ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

アフターレポ:水樹奈々座長公演「水樹奈々 大いに歌う」

■ 特別興行として、奈々ライブのお試し版として
参加された他の方々のレポを拝見していて、感想をパッと書けなかったり。
率直な感想としては「本当に参加できて良かった」と思えるグレードの高さ。
私など到底追いつかない熱狂的な方のブログ等を読んでも、好感触な意見が多く。
では、自分の視点を含めて、改めて感想などについて書いていこうと思う。


今回のイベントの規模や採算の部分を考えると、かなり規格外な仕掛けだった。
今年で閉館することが決定している新宿コマ劇場で「最初と最後になる」公演となれば、
今回のような3部構成で普通に興行として取り扱ってもソールドアウトは固かったと思う。


私見ではあるが、今回の企画には二つの目的があったのではないかと考えている。
一つは、誰しも考えるだろうがCD販売促成のためのキャンペーンとしての位置づけだ。
コアなファンであればあるほどイベントに参加したいと思うがために、複数枚購入に
走る衝動に駆られてしまうのではないか(自分はそこは割り切って1枚に託しましたが)
結果的に本作の第1週の売り上げは5万枚を突破、オリコン初登場2位を獲得できた。


もう一つ、ここは自分の意見が部分が強いのだが、購買層のレベルアップという目的だ。
ファン層として、今回参加できた人は少なくとも「奈々さんのCDを購入する層」である。
さらに大きく分けると「ライブにも行く層」と「ライブには行かない層」のまとまりができる。


今回のイベントは、参加した後者の一部の層にとってのキャッチアップになったのでは。
会場を見て普段よりも客層が若く、ライブに慣れてない感じの人が多い印象を受けたり。
そうした意味で今回の第1部は「奈々ライブお試し版」としての機能を持ちえたのでは。


例えば、以前私が取り上げた『きゃらびぃ』のグッズ等への投資金額の統計を読んでも
高校生だと平均して5000円にも満たないというデータがあった。近年では、会場規模
の拡大などもあって、チケット料金もいささか高騰していることから、若いファン層には
ライブに行くというのは国家プロジェクトクラスの財政出動である。だからこそ、こうした
機会は非常に貴重だし、上手くいけば間近で奈々さんを見ることができたかもしれない。


自分が何よりも大切だと思ってる「ファンを育てる」という視点で考えれば、
採算の部分でも今回の企画は非常に将来性のある投資だったのかもしれない。


さて、自分の立場から考えていくと、一応、そこそこのライブ参加経験がある。
自らの視点、つまり主観的な感想、意見というのを述べていかないといけない。
コマ劇場は彼女が演歌をバックボーンとして歌手のキャリアをスタートされた
経緯を知っている自分としては、あの初の武道館以上に意味ある興行だと思った。


公演前に感じていたのは、ポップないしロックサウンドである彼女の楽曲が
コマ劇場で映えるのかどうか、違和感やギャップという部分が気になった。
しかし、1曲目の『DISCOTHEQUE』での演出でそれは杞憂に終わった。
コマ劇場名物の回転する盆を、ディスコのお立ち台を連想させる演出は見事。


プライズとなった第二部の歌謡ショーもまた、多くの演歌歌手が座長公演を務めた
コマ劇場らしい催し物となった。雑誌でのインタビューの中でも「演歌が歌いたい」と
述べていたけども、あの流れの中での夜桜お七』『河内節』は良かったと思う。


だから、会場の特性を生かしきった意味でもパッケージングは本当に良くできていた。
自分はともかく、コアなファンにとっても満足度の高い内容だったと思えるのはそこだ。


結論として「ファンを育てながら、興行を成功する」という理想的な形を描けた今回の
イベントは今後の展開に向けてもいい布石にもなったと思うし、来年のツアーに向けた
ネタ振りとしても格好の予告編だったといえる。座長、三嶋さんをはじめとしたスタッフ
の頑張りがあってこその成功だ。この勢いで、多くの観客とともにライブでフィーバーだ。