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ボンクラライフ

『スカイ・クロラ』関連図書(3):押井守編『アニメはいかに夢を見るか』

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■ 『スカイ・クロラ』の制作現場から
気がつくと連載っぽくなってきたが、自分の中でまとめの意味をこめて。
本書は『スカイ・クロラ』を通じて監督が何を伝えたいのかというパートと
監督が接した「若いスタッフ」の代表格としても、何度か取り挙げられていた
石井朋彦プロデューサーが制作現場での出来事を語っているパートに別れてる。


前者の監督パートは他の関連図書でも取り上げられているが『イノセンス』以降に
監督の身の回りでどういった変化があって、制作に取り組んでいったのかという
ことが丁寧に書かれている。監督の近著『【楽天ブックスならいつでも送料無料】凡人として生きるということ [ 押井守 ]』を押さえた
上で本書を読むと、非常に理解も深まるのではないか。もちろん映画本編も。


そのなかで、興味深かったのは恋愛における部分であった。

アニメーションという表現の中で、どこまで男と女の感情のぶつかり合い
や地獄のような恋愛を表現するかを考えるときに、真っ先に思い浮かんだ
のがフランソワ・トリュフォー監督の『隣の女』という名作でした。
(省略)
相手を殺さないと完結しないという、僕が考える恋愛はそういうものです。

シンポジウムの中でも「恋愛映画として認識されたい」というコメントを
していた監督だが、こうした恋愛観を持って望んだとのだということを再認識。


後者のプロデューサーのコメントは、企画から制作に至るまでの過程を細かく
書かれている。面白かったのが、ロケハンの重要性として、監督のコメントが

1.舞台のモデルとなる場面を、具体的に見つけること。
2.旅をしながら、監督自らの「妄想」を膨らませること。
3.メインスタッフ各々の特性を深く理解する。

大抵、ロケハンは1ないし2の部分を連想するが、意外だったのは?。
ロケハンで行動を共にして、同じ釜の飯を食い、語り合うことを通じて、
スタッフの考え・イメージを共有し、映画製作を共に闘う信頼を構築する。
これが監督のいう「負けない」ための戦略であり、押井映画の秘密だろうな。


本書は、制作現場という裏側から『スカイ・クロラ』を知ることができる。
あの映画を監督やスタッフが、どういった思いを込めて作っていったのか?


いよいよ、私も「深み」にハマってくる関連書籍を読み進めていこうと思う。