ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

読了:森博嗣 『ナ・バ・デア』

ナ・バ・テア (中公文庫)


■ 大人になってしまった「彼」と、子供のまま永遠を生きる「僕」が紡ぐ物語
スカイ・クロラ』シリーズ第1作、講演会の会場で売ってたので何冊か購入してた。
ネタバレを極力さけるために見終ってから読み始めて、現在もシリーズを読んでます。


物語は「キルドレ」の草薙と同じ基地の「普通の大人」のティーチャ―を中心に進む。
本編の描写を通じて、草薙にとって関心事は飛行機に乗ることにのみ傾けられている。
彼女がティーチャーに興味を抱くのも、基地の誰よりも飛行機を上手に乗りこなすから。
彼がどのように飛行機を乗りこなし、何を考えているのか、それを聞きたくて仕方ない。


作中、彼女は「散香」*1という戦闘機に乗り換えることでパフォーマンスをあげる。
機体から届いてからというもの、子供のように*2喜んで機体に触っている描写などを
見ると、彼女は、すぐにでも空を自由に飛びたい、ずっと飛んでいたいという思いが
伝わってくる。ここに「キルドレ」が持つ空への思いというのが率直に伝わってくる。


映画『スカイ・クロラ』でフーコから語られる、何故か娼館に訪れたという草薙の描写
もここで登場してくるので、映画の内容補足としても、最初から読んでいくべきだろう。

*1:映画『スカイ・クロラ』では、ユーイチをはじめとするクサナギが司令を務める基地で採用されているレシプロ式の戦闘機も「散香」である。

*2:もちろん彼女は「キルドレ」なので「子どもっぽい」というより正確に「子ども」なのである。