(公演発表と同時にお披露目になったこのポスター、私もお気に入り)
■ ひしひし、ハラハラ、ドキドキに満ちた空間
吉田智則さん達が中心となって旗揚げした『劇団企画CRANQ』第1回公演を観覧。
今回、若林直美さんと下田麻美さんも参加していることがキッカケで観覧を決めた。
声優さんを中心としたキャストが、どのように演じ、舞台を作っていくのかが関心。
発表の場は下落合のTACCS1179。客席と舞台が非常に近い、密着感のある会場。
舞台は場面の転換と共に回転することで、舞台美術が一変する仕組みにした。
■ あらすじは
舞台は、ニューヨークで暮らす3組の日本人夫婦を中心に展開。
水原家、鮎川家、杉本家は旦那同士、奥さん同士で楽しい時間を過ごす。
そして、奥さん同士で独立記念日にホームパーティーを開くことを決める。
独立記念日を前に、水原家ではたまき(若林直美)の大学時代の友人
椎名夫妻が新婚旅行を兼ねて家を訪れ、鮎川家は些細な喧嘩から家を
飛び出した夫・幹夫(波多野和俊)の妹・葉山ゆり子(下田麻美)が
押しかけ、杉本家には妻・恵美子(松崎亜希子)の両親が訪ねてくる
ということになっていたが。。
■ 感想:ソープオペラというテーマ性
公演のタイトルである『ソープオペラ』とは辞書で調べてみると
ソープオペラ(soap opera):テレビ・ラジオの連続メロドラマ。
アメリカでスポンサーに石鹸会社が多かったところからいう*1
とある。また、公式での解説・解釈によると
1.メロドラマ
2.メロドラマに出てくるのと似たような現実と状況、危機的“不幸”*2
となっている。本公演は、そのテーマ性をストレートに表現していたと考えられる。
その場にいた3組の夫妻が、それぞれの家庭に戻ると、事件が起こることになる。
水原夫妻は妻・たまきは頭を打って、20歳から先の記憶を失ってしまい、
夫・達也(吉田智則)のことをすべて忘れてしまう。鮎川夫妻は、夫婦の
コミュニケーションの疎遠が浮き彫りになり、杉本夫妻は夫・伸良(上田裕之)
が相談なしに何でもかんでも決めてしまうことに妻が腹を立て、ギグシャグに。
自分は、公演を見ていて、押井監督がテレビドラマと映画の違いとして、
「ドラマは常に変化が起きるものだ」と述べていたのを思い出していた。
場面(場所)の転換、各家庭の変化を等分して描く必要な仕掛けだと思った。
また、たまきの記憶喪失から何かを思い出そうとする過程をみながら
「映画において恋愛のすべての過程を映し出すには時間がかかるから難しい」
と同じく、押井監督が仰っていたのを思い出した(本当、何を考えているんだ)
そうした意味で、公演の2時間30分の中で、観客はたまきの記憶喪失*3という
プロセスから、夫婦の出会い、そして結婚までの流れをざっと理解できたのは、
リアルタイムによる恋愛でなく、知ることができたというのはよく出来てたと思う。
最後に、役者さんも熱のこもった演技が間近で見れたというのは良かったです。
若林さんや下田さんもイベントとは違った顔、演技者の一面を見ることができたり。
次の公演も見に行きたいと思いました。演劇観覧という経験もできましたし。