ぶらり人生途中下車の旅

ボンクラライフ

雑誌:UTB6月号『音楽系アイドル特集』を読んで

UP to boy (アップ トゥ ボーイ) 2008年 08月号 [雑誌]


■ 「歌うアイドル」の復権に二次元世界の存在
素人目にしても、「歌うアイドル」というのは過去の存在・定義になりかけていた。
しかし、昨年からの中川翔子の奮闘、Perfumeの大爆発から復権の兆しがあるとか。
ということで本誌では復権と開拓を担うアイドルをカラーページでピックアップ、
モノクロでは吉田豪氏をはじめとした論客たちによる、音楽系アイドルの検証企画も。


歌うアイドルの再注目を『女性アイドル歌手 THE DEEP CHRONICLE』という記事では
Perfume平野綾中川翔子から、アニメやゲームとのシンクロニティを指摘している。

この3者の成功は、“熱いけど少数”的なイメージのあった二次元カルチャ
ーが、もはや“熱くて多数”のジャンルになったことを示すのではないか。
異端ではなく、エンターテイメントに溶け込んだというべきか。ネット社会は
特に、大メディアでの戦略や意向と別のところでムーブメントが形成され
る。そんな中で受け入れられた3者の歌への取り組みは、自己発信的かつ
地に足を付いたものだった。

私見としては、女性アイドルのファン層で大きな割合を占めるであろう
10代からM1までの層が、二次元カルチャーの文化圏に流入していると考えている。
同時に、そうした層に支えられた市場もまた、未だに拡大していると言えるだろう。


また、90年代初頭から長らく、マスメディアから冷遇され続けた二次元カルチャーは
インターネットなどの自己発信という形でムーブメントを拡大する展開が主流だった。
その後「アキバ系」と枠組みされた情報がブログやSNSという自己発信の手段に対して
大きな影響力を持ち、大きなムーブメントを作り出したのも必然であったと思う。


だから、この復興はマスメディアに対するカウンターであるネット(メディア)で早くから
発信力を磨いてきた二次元文化圏の優位性が、生み出した現象なのかもしれない。


そのため、アニメ・声優系音楽はネットを意識したプロモーション展開が増えてきた。
ハルヒ」や「らき☆すた」というサクセスモデルが提示されているため、当面の間は
この路線の売り出しは続きそうだ。それ以前から親しんできた自分は少し複雑だが。


アイドル声優ファンとしての視点
ある意味で『声優グランプリ』を購読してた時は、アイドル雑誌の扱いであった。
在りし日のアイドルシーンを髣髴とさせたていたアイドル声優は、新たな世代の台頭を
迎えて、進化と変革の時期を迎えている。ヒットチャート上位にランクされ、興行規模
は拡大の一歩を遂げている。その向こう側に見えるものは何か、全く見当がつかない。


かつての自分がこの現状を望んでいたのかどうかも、今になって考えるとわからない。
ただ、一つ断言できるのは、本誌の表現で言う「80年代アイドルの冷凍保存庫」という
役割を終えて、アイドル声優もまた常温の世界でさばかれているということであることだ。


そうした世界で光を放とうとする平野綾は、果たして新たな時代のアイコンなりえるか?
それが、アイドル声優という存在と共に「狂った季節」を過ごした私の今の関心事である。